就労継続支援B型の個別支援計画は、指定基準第58条の項目(本人と家族の意向、総合的な支援の方針、課題、目標と達成時期、留意事項)に、その人の作業・通所・工賃・将来の働き方についての希望を具体的に落とし込み、6か月に1回以上見直すのが基本です。基準の上では「就労継続支援B型計画」と呼ばれ、B型の運営基準(第202条)が療養介護の第58条を読み替えて準用しています。

この記事は、令和6年度報酬改定・令和8年6月の見直しを踏まえた内容です。令和6年度改定で、計画を作る会議には原則として本人が参加すること、作った計画を相談支援事業所にも交付することが基準に入りました。令和8年6月の期中改定ではB型の報酬区分の基準が見直されましたが、計画の作り方そのものは変わっていません。


B型の個別支援計画が求められる仕組み

基準の置き場所

B型の個別支援計画の根拠は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)です。B型の章には計画の条文が無く、第202条で第58条を準用し、「療養介護計画」を「就労継続支援B型計画」と読み替えます。

第58条が求めているのは次のとおりです。

  • 管理者は、サービス管理責任者に計画の作成に関する業務を担当させる(第1項)
  • 計画の前に、面接してアセスメントを行う(第2項・第4項)
  • 意向・方針・課題・目標と達成時期・留意事項を書いた原案を作る(第5項)
  • 原案について、本人と支援にあたる職員が参加する会議を開く(第6項)
  • 本人または家族に説明し、文書で本人の同意を得て、本人と相談支援事業所に交付する(第7項・第8項)
  • 少なくとも6か月に1回以上見直す(第9項)

B型ならではの前提:工賃と就労への移行

B型は、雇用契約を結ばずに生産活動の機会を提供するサービスです。第201条は、生産活動の収入から必要な経費を引いた額を工賃として支払うこと、1か月あたりの工賃の平均額を3,000円以上にすること、年度ごとに工賃の目標水準を決めて利用者に知らせ、都道府県に報告することを定めています。また第202条は、A型の実習の実施・求職活動の支援・職場への定着の支援の条文(第193条〜第195条)もB型に準用しています。

つまりB型の計画は、「生活の安定」だけでなく、作業に取り組む力、工賃、一般就労への希望まで見通して書くことが基準から求められています。


計画に書く項目とB型での書き方

項目基準の根拠B型で書く中身記入のしかた
本人の意向第58条第5項働き方、好きな作業・苦手な作業、通所の日数、工賃への希望、将来の就職の希望本人の言葉をそのまま書く。家族の意向とは分ける
家族の意向同上通所の継続、生活リズム、送迎の希望など本人と違う場合は、違いが分かるように並べる
総合的な支援の方針同上事業所として、どの方向に支援するか1〜3文で、計画期間を通じた方針を書く
生活全般の質を向上させるための課題同上作業、体調、対人関係、通所、金銭管理などアセスメントで分かった事実から書く
長期目標・短期目標と達成時期同上長期は1年程度、短期は次の見直しまで評価できる行動で書き、時期を必ず入れる
支援の内容同上誰が、いつ、どの場面で、何をするか作業の場面と生活の場面に分ける
留意事項同上体調の波、服薬、休憩の取り方、配慮の方法職員全員が同じ対応を取れるように書く
他のサービスとの連携第58条第5項後段グループホーム、相談支援、医療機関など連携の中身(情報共有の方法など)を書く
同意・交付第58条第7項・第8項説明日、同意日、署名、交付日と交付先同意日は会議の日より後。空欄のまま綴じない

原案に書く項目の多くは、アセスメントの段階で集めた情報から作ります。アセスメントシートに何を聞いておくかはアセスメントシートの項目と面接の進め方で整理しています。


記入例:目標と支援内容の書き分け

B型の計画で運営指導の際に確認されやすいのは、目標が評価できる形になっているか、支援内容が目標とつながっているかです。以下は、書き方の違いを示すための例です。

よくある書き方評価できる書き方の例
作業に慣れる例えば「箱折りの作業を、午前中の2時間、休憩を自分から申し出ながら続けられる(達成時期:3か月後)」
工賃を上げる例えば「週3日の通所を、週4日に増やす(達成時期:6か月後)」。工賃への希望は本人の意向欄に書く
生活リズムを整える例えば「欠席するときは、始業時刻までに自分で事業所に電話で連絡できる」
就職をめざす例えば「施設外での作業に月1回参加し、職員と振り返りを行う」(施設外で行う場合の要件は指定権者の資料で確かめる)

支援内容も、目標ごとに対応させて書きます。

  • 例えば「箱折りの手順を写真付きの手順書にし、作業の最初の10分間は職員が横で確認する」
  • 例えば「休憩の申し出ができた日は、終業時の振り返りで職員が一緒に確認する」
  • 例えば「通所日を増やす前に、相談支援専門員と体調の見通しを共有する」

「見守る」「声かけする」だけで終わる支援内容は、何をすれば支援したことになるのかが分かりません。 場面・頻度・方法まで書くと、モニタリングのときに「計画どおりに支援したか」を評価できます。


作成から交付までの手順

  1. 契約から1か月以内を目安に初回の計画を作る:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日)の問82は、サービス提供の場面でのアセスメントを基にする必要があることから、当初の計画は契約締結後1か月以内に作成することを基本とするとしています
  2. 面接してアセスメントを行う:面接の目的を説明し、理解を得たうえで行う(第58条第4項)
  3. 原案を作る:上の表の項目を埋める。事業所全体の工賃の目標水準(第201条第4項)と、本人の目標を混同しない
  4. 個別支援会議を開く:原則として本人が同席し、支援にあたる職員の意見を聞く。本人の参加の考え方と議事録の残し方は個別支援会議の本人参加で詳しく整理しています
  5. 説明し、文書で同意を得る:同意日は会議の後の日付にする
  6. 交付する:本人と、担当の相談支援事業所に交付する。Q&Aの問82は、見直しの結果、変更がない場合も含めて速やかに交付すべきとしています
  7. 6か月に1回以上モニタリングし、見直す:面接と記録の残し方は障害福祉サービスのモニタリングの頻度と記録を参照

B型で指摘されやすい落とし穴

  • 全員に同じ文言の計画:「作業を通じて生活リズムを整える」のような同じ方針・同じ目標が並んでいると、アセスメントに基づいて作ったとは言えません。本人の意向欄から書き始めると、自然に書き分けられます
  • 在宅支援・施設外での作業が計画に無い:在宅で支援する日や施設外で作業する日があるのに、計画にその支援の中身が書かれていないと、請求の根拠を説明できません。実績記録票の備考欄への記載を求める自治体もあります。書き方はサービス提供実績記録票の書き方で整理しています
  • サービス管理責任者以外が作った計画:計画の作成はサービス管理責任者の業務です(第58条第1項)。和歌山市が公開している実地指導の指摘事例では、サービス管理責任者以外が作った計画、会議の記録が無い計画、同意日が会議より前の計画などが、個別支援計画未作成減算につながった例として挙げられています。減算の割合と期間は障害福祉の減算の一覧を参照してください
  • 見直しの期限切れ:6か月の起点を「同意日」「計画期間の開始日」のどちらで管理しているかを事業所内で決めておかないと、気づかないうちに期限を過ぎます
  • 報酬区分の話を計画に持ち込む:令和8年6月からのB型の報酬区分は、平均工賃月額などで決まる事業所の区分です(詳しくはB型の報酬区分と平均工賃月額)。個人の計画に事業所の区分の都合で通所日数や作業量の目標を書くことは、本人の意向に基づく計画とは言えません

まとめ

  • B型の個別支援計画は、指定基準第202条で準用する第58条が根拠で、名前は「就労継続支援B型計画」
  • 書く項目は、意向・方針・課題・目標と達成時期・留意事項。B型では作業・通所・工賃・就職の希望まで具体的に
  • 目標は評価できる行動で書き、支援内容を目標ごとに対応させる
  • 契約から1か月以内を目安に初回の計画を作り、本人が参加する会議、文書での同意、本人と相談支援事業所への交付までを一続きで行う
  • 6か月に1回以上見直し、変更が無くても交付する

運営指導でどの書類を見られるかの全体像は、運営指導(実地指導)の準備で整理しています。


参照した資料

  • e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号。第58条、第75条、第193条〜第195条、第201条、第202条)(条文)
  • 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日。問80〜問82)(PDF)
  • こども家庭庁・厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(障害者関係)」(PDF)
  • 水戸市「個別支援計画の作成について」(PDF)
  • 和歌山市「実地指導における主な指摘事例」(PDF)
  • 名古屋市「請求時におけるサービス提供実績記録票の入力について」(PDF)