障害福祉サービスで、単位数が増える加算や報酬区分を新たに算定するときは、指定権者への届出(いわゆる体制届・加算届)が必要です。 国の留意事項通知は、毎月15日以前に届け出れば翌月から、16日以降なら翌々月から算定を始めると定めています。

1日遅れるだけで、算定の開始が1か月ずれます。反対に、加算の要件を満たさなくなったときは、翌月ではなくその日から算定できなくなります。この記事では、厚生労働省の報酬の留意事項通知(障発第1031001号、令和8年5月28日一部改正)と、こども家庭庁の障害児通所支援の留意事項通知にもとづいて、届出の期限と算定の開始・停止の時期を整理します。


1. 届出で算定が始まる時期

基本は「15日以前なら翌月」

留意事項通知の「届出に係る加算等の算定の開始時期」は、次のとおりです。

届出の日算定の開始
毎月1日〜15日翌月から
毎月16日〜末日翌々月から

対象は「算定される単位数が増えるもの」です。利用者や相談支援事業者などに知らせる期間を取るためと説明されています。障害児通所支援(児童発達支援・放課後等デイサービスなど)の留意事項通知(障発0330第16号)にも、同じ定めがあります。

例:児童指導員等加配加算を11月から算定したい場合は、10月15日までに届け出ます。10月16日に届け出ると、算定は12月からです。

前年度の実績で決まる区分は4月中に届け出られる

生活介護、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援の基本報酬の区分や加算は、前年度の実績で当年度の区分や単位数が決まります。そのため、翌年度4月からの区分や加算の届出は、4月中に行うことを認めるとされています。例えば、B型の平均工賃月額による区分や、就労移行支援の定着率による区分がこれに当たります。

A型の基本報酬の区分はスコア(評価点)で決まり、届出にあたってはスコアの留意事項通知(障発0330第5号)を参照します。区分の決まり方は「就労継続支援B型の報酬区分」「就労継続支援A型の加算一覧」で扱っています。

令和8年6月のB型の区分の届出

令和8年6月から、B型の基本報酬の区分の基準が見直されました。改正後の留意事項通知は、見直しの対象外の事業者を除き、令和8年6月からの基本報酬の区分を改めて届け出ることとし、指定権者は6月分の算定に間に合うよう審査するとしています。見直しの中身は「障害福祉の報酬改定2026」を参照してください。


2. 加算が取れなくなったとき

加算の要件を満たさなくなった場合や、満たさなくなることが明らかな場合は、速やかに届け出る必要があります。

  • 算定をやめる時期:加算が算定されなくなった事実が発生した日から算定しない(特定事業所加算は、事実が発生した日の属する月の翌月の初日から)
  • 届け出ずに請求した場合:不正請求となり、支払われた報酬は不当利得として返還の対象。悪質な場合は指定の取消し

「15日までに出せば翌月から」は、単位数が増える届出の話です。単位数が減る方向の変更は、待ってくれません。例えば、加配していた職員が月の途中で退職し、児童指導員等加配加算の要件を満たさなくなった場合は、その日から算定できなくなります。

人員の欠如で基準を満たさなくなった場合は、加算の停止とは別に減算の対象になります。「障害福祉の減算一覧」を参照してください。


3. 届出の審査と事後調査

留意事項通知は、指定権者側の手続きも定めています。

段階内容
受取り統一的な届出様式と添付書類で、サービスの種類ごとに受け取る(同じ敷地内の複数サービスや多機能型は一括提出も可)
要件審査原則2週間以内を標準、遅くとも概ね1か月以内(補正にかかる時間を除く)
受理要件を満たせば受理。満たさず補正にも応じない場合は不受理
公開届出事項は指定権者で閲覧に供し、事業所でも利用料に関する情報として掲示する
事後調査届出の内容が適正かを、適宜事後的に調査する

事後に要件を欠いていたと分かったとき

  • 指導の上でも改善しない場合、その届出は無効になり、受け取っていた報酬は返還
  • 改善した場合でも、要件を満たすまでは算定できず、それまでに算定した分は返還
  • 返還したときは、利用者が払った利用者負担の過払い分も、計算書を付けて利用者に返す

届出を受理されたことは、要件を満たしていることの保証ではありません。運営指導で根拠書類を示せるよう、届出の控えと添付書類を保管します。点検の項目は「運営指導の準備ガイド」で整理しています。


4. 届出の手順

  1. 算定したい月から逆算する:開始したい月の前月15日を締切として、準備の日程を組みます。
  2. 要件を満たす日を確かめる:職員の採用・資格・研修の修了など、要件を満たしてから届け出ます。見込みで届け出ると、事後調査で無効になるおそれがあります。
  3. 指定権者の様式をそろえる:多くの指定権者は、体制等に関する届出書、体制等状況一覧表、加算ごとの添付書類(勤務形態一覧表、資格証の写し、研修の修了証など)を求めます。様式と提出の方法(郵送・窓口・電子申請)は指定権者の案内で確かめます。
  4. 提出の記録を残す:受付日が分かる控え(受付印、電子申請の受付番号など)を保管します。
  5. 請求ソフトの設定を変える:届出が受理されたら、算定開始の月から請求ソフトの加算の設定を変えます。受理前の月に算定すると返戻や過誤の原因になります。

落とし穴

  • 15日の締切を過ぎ、算定開始が1か月遅れた
  • 退職で加算の要件を欠いたのに、「翌月から外せばいい」と考えて請求を続けた
  • 前年度の実績で区分が下がったのに、4月の届出を出さず前年度の区分で請求した
  • 受理の通知を待たずに、請求ソフトで先に算定してしまった

チェックリスト

  • 算定したい月の前月15日を締切として、届出の予定を立てた
  • 要件を満たす日(採用・資格・研修の修了など)を確かめてから届け出る
  • 加算の要件を欠いたときに、すぐ届け出る担当と手順を決めている
  • 前年度の実績で決まる区分・加算は、毎年4月に見直して届け出ている
  • 届出の控えと添付書類、受付日の記録を保管している

5. まとめ

  • 単位数が増える加算・区分の届出は、15日以前なら翌月、16日以降なら翌々月から算定
  • 加算が取れなくなったときは速やかに届け出て、事実が発生した日から算定しない
  • 前年度の実績で決まる区分・加算(生活介護・就労系など)は、4月中の届出が認められている
  • 事後調査で要件を欠いていれば届出は無効となり、報酬と利用者負担の過払い分を返す

締切の数え方(到着日か受付日か、休日の扱い)や様式は、指定権者によって違います。所在地の都道府県・市の案内で確かめてください。

参考資料