就労継続支援A型(以下A型)は、基本報酬を1日の平均労働時間などのスコア(評価点)で決め、加算は体制と実績で別に積み上げる仕組みです。スコアで決まるのは基本報酬の区分と就労移行支援体制加算の単位数で、ほかの加算の多くは職員の配置や資格、利用者の状態で決まります。
令和8年度に入って変わったのは、就労移行支援体制加算の数え方(4月)と、処遇改善加算の率と区分(6月)です。令和8年6月1日以降の新規指定に掛かる基本報酬の特例は、A型には適用されません。
この記事は、令和6年度報酬改定・令和8年6月の見直しにもとづく内容です。単位数は厚生労働省の報酬算定構造、要件は障害福祉サービスの留意事項通知(平成18年障発第1031001号、令和8年5月28日改正を反映)、令和8年度の変更は令和8年こども家庭庁・厚生労働省告示第5号で確かめました。スコアの項目と点数の付け方は「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法の留意事項について」(令和3年3月30日障発0330第5号、以下スコア留意事項通知)で定められています。
1. 基本報酬と加算の関係
A型の基本報酬は、人員配置(7.5:1か10:1)、利用定員、評価点の3つで決まります。定員20人以下・7.5:1の場合、評価点170点以上で791単位、60点未満で325単位と、同じ定員でも2倍以上の開きがあります(報酬算定構造)。
加算はこの基本報酬に上乗せされます。考え方は次の3つです。
| まとまり | 主な加算 | 決まり方 |
|---|---|---|
| 体制の加算 | 福祉専門職員配置等加算、賃金向上達成指導員配置加算、視覚・聴覚言語障害者支援体制加算、高次脳機能障害者支援体制加算、重度者支援体制加算 | 配置や利用者の構成で決まり、利用者全員について毎日算定 |
| 実績の加算 | 就労移行支援体制加算、就労移行連携加算 | 一般就労や就労移行支援への移行の実績で算定 |
| 個別の支援の加算 | 初期加算、欠席時対応加算、訪問支援特別加算、送迎加算、医療連携体制加算、食事提供体制加算 など | 支援をした日・回数で算定 |
スコアの評価項目や点数の付け方は基本報酬の話なので、この記事では加算に絞ります。
2. 主な加算の一覧(定員20人以下の単位数)
| 加算 | 単位数 | 主な要件(要約) |
|---|---|---|
| 福祉専門職員配置等加算 | Ⅰ 15/Ⅱ 10/Ⅲ 6(1日) | 資格者の割合、常勤職員の割合や勤続年数 |
| 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算 | Ⅰ 51/Ⅱ 41(1日) | 重度の視覚・聴覚・言語障害のある利用者が一定割合以上で、対応できる職員を配置 |
| 高次脳機能障害者支援体制加算 | 41(1日) | 高次脳機能障害の利用者が一定割合以上で、研修を修了した職員を配置 |
| 重度者支援体制加算 | Ⅰ 56/Ⅱ 28(1日) | 前年度の利用者の延べ人数のうち障害基礎年金1級の受給者が100分の50以上(Ⅰ)、100分の25以上50未満(Ⅱ) |
| 初期加算 | 30(1日) | 利用開始から30日まで |
| 訪問支援特別加算 | 1時間未満187/1時間以上280(1回) | 利用が途絶えた人の居宅を訪問。月2回まで |
| 欠席時対応加算 | 94(1回) | 前々日・前日・当日の中止連絡を受け、相談援助をして記録。月4回まで |
| 就労移行支援体制加算 | (Ⅰ)93〜50、(Ⅱ)90〜47(1日) | 前年度の就労定着者の数を掛ける。評価点で単位が変わる |
| 就労移行連携加算 | 1,000(1回) | 就労移行支援に移る人の支援をした |
| 賃金向上達成指導員配置加算 | 70(1日) | 賃金向上達成指導員を常勤換算1以上、基準の人員に加えて配置 |
| 医療連携体制加算 | Ⅰ 32〜Ⅵ 100 | 看護職員の訪問など。区分で要件が違う |
| 利用者負担上限額管理加算 | 150(月1回) | 利用者負担額の合計を管理した |
| 食事提供体制加算 | 30(1日) | 低所得の利用者などに食事を提供した |
| 送迎加算 | Ⅰ 21/Ⅱ 10(片道) | 送迎の回数と人数で区分。同一敷地内は100分の70 |
| 障害福祉サービスの体験利用支援加算 | Ⅰ 500/Ⅱ 250(1日) | 施設入所者などの体験利用を支援した |
| 在宅時生活支援サービス加算 | 300(1日) | 居宅で利用する人に、事業所の負担で居宅介護などの職員を派遣した |
| 社会生活支援特別加算 | 480(1日) | 医療観察法の対象者や矯正施設を出た人などに特別な支援をした |
| 緊急時受入加算 | 100(1日) | 地域生活支援拠点等として緊急時に受け入れた |
| 集中的支援加算 | 1,000(1回) | 強度行動障害の状態が悪化した人への集中的な支援。月4回まで |
賃金向上達成指導員配置加算の単位数は、定員21〜40人で43、41〜60人で26、61〜80人で19、81人以上で15です。定員が大きいほど1人あたりの単位は小さくなります。福祉専門職員配置等加算の区分ごとの要件は福祉専門職員配置等加算の要件で説明しています。送迎加算は、利用者と雇用契約を結ぶA型の性格を念頭に置いて実施するよう留意事項通知に書かれています。区分の考え方は送迎加算の区分と算定ルールを見てください。
3. A型に特有の加算の要件
賃金向上達成指導員配置加算
留意事項通知では、次の3点を求めています。
- 基準の人員に加えて、賃金向上達成指導員を常勤換算方法で1以上配置する
- 賃金向上計画を作る。経営改善計画書を賃金向上計画とすることができる
- キャリアアップの措置を講じている。昇格・昇進・昇給の仕組みが就業規則に書かれている必要がある
3は、実際にキャリアアップした利用者がいなくても構いません。ただし、仕組みがあるのに合理的な理由なく該当者がいない場合は、要件を満たしていないとされることもある、と留意事項通知は書いています。
採算の目安として、例えば定員20人で1日平均18人が月22日利用する場合、70単位×18人×22日で月27,720単位です。1単位10円なら月約28万円で、常勤1人分の人件費と比べて判断します。
就労移行連携加算
A型の利用を経て就労移行支援の支給決定を受ける人について、支給決定に先立って次のような支援をしたときに、A型でのサービス提供の最終月に1,000単位を算定します。
- 就労移行支援事業所の見学への同行や、就労移行支援事業者との事前の連絡調整
- サービス等利用計画を作る特定相談支援事業所に、利用者の同意のもとで、A型での支援の状況などを文書で提供する
労働時間の延長や休職からの復職のために一時的にA型を使っている人は対象外です。
就労移行支援体制加算
1人あたりの単位数に、前年度の就労定着者の数を掛けて、利用者全員について毎日算定します。令和8年4月からは定着者の数に定員の上限が付き、過去3年間にほかの事業所で算定された人は原則として数えられません。計算の手順は就労移行支援体制加算の計算で説明しています。
4. 令和8年度の見直し:処遇改善加算の率
A型の福祉・介護職員等処遇改善加算の率は、令和8年告示第5号で次のようになりました。
| 区分 | 令和6年度改定の率 | 令和8年6月からの率 |
|---|---|---|
| 加算Ⅰ | 1000分の96 | Ⅰイ 108/Ⅰロ 112 |
| 加算Ⅱ | 1000分の94 | Ⅱイ 106/Ⅱロ 110 |
| 加算Ⅲ | 1000分の79 | 91 |
| 加算Ⅳ | 1000分の63 | 75 |
加算Ⅰロ・Ⅱロの要件と配分のルールは令和8年度の期中改定のまとめから追えます。
5. 年間の段取りと落とし穴
- 4月の届出:スコアの区分や就労移行支援体制加算など前年度の実績で決まるものは、4月中の届出で4月から算定できる扱いです(留意事項通知 第一の1の(5))。前年度の就職者名簿と、6か月の継続を確かめた記録をそろえておきます。
- スコアの公表:スコアの自己評価の結果を公表していないと、基本報酬が100分の85になる減算があります(報酬算定構造)。
- 賃金向上達成指導員が兼務になっている:基準の人員に「加えて」の配置なので、職業指導員・生活支援員の員数に数えている時間は加算の配置に入りません。
- 重度者支援体制加算の割合:障害基礎年金の受給資格がない20歳未満の人は、利用者の数から除いて計算します。
B型と比べると、A型は平均工賃ではなくスコアで報酬が決まり、目標工賃達成指導員配置加算の代わりに賃金向上達成指導員配置加算がある点が違います。B型の側はB型の加算一覧、就労移行支援の側は就労移行支援の加算一覧で整理しています。
6. まとめ
- A型の基本報酬はスコアで決まり、加算は体制と実績で別に積み上げる
- スコアで単位数が変わる加算は就労移行支援体制加算。令和8年4月から定着者の数に定員の上限が付いた
- 賃金向上達成指導員配置加算は、基準に加えた常勤換算1以上の配置、賃金向上計画、キャリアアップの仕組みの3つがそろって算定できる
- 令和8年6月の新規指定の特例はA型には掛からない。処遇改善加算の率は上がった
届出の様式・締切・添付書類は指定権者ごとに違います。算定の前に指定権者の案内で確かめてください。
