障害福祉サービスの個別支援会議は、令和6年度報酬改定から、原則として本人が同席して行う会議になりました。 本人の病状が悪化して面会ができないなど、やむを得ない場合に限り、テレビ電話装置の活用など同席以外の方法で本人の意向を改めて確かめることが認められます。その場合は、同席以外の方法にした理由を記録に残します。
会議の目的は、職員が原案を確認することだけでなく、本人が望む生活とサービスについての意向を、会議の場で改めて確かめることです。本人が言葉で話すことが難しい人でも、本人の様子を直接確かめて意思と選好を推定することが求められています。
この記事は、令和6年度報酬改定・令和8年6月の見直しを踏まえた内容です。令和8年6月の期中改定では、個別支援会議のルールは変わっていません。
本人参加が求められる仕組み
基準の条文
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)第58条第6項は、計画の作成に係る会議を次のように定めています。
- 利用者と、サービスの提供にあたる担当者等を招集して行う会議
- テレビ電話装置等を活用して行うことができる
- 利用者の生活に対する意向等を改めて確認し、原案の内容について意見を求める
この条文は、生活介護、就労継続支援、共同生活援助など多くのサービスで準用されています。
令和6年度改定で何が変わったか
こども家庭庁・厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」は、相談支援専門員が行うサービス担当者会議と、サービス管理責任者が行う個別支援会議について、利用者本人が参加するものとし、生活に対する意向等を改めて確認すると整理しています。同時に、作成した個別支援計画を相談支援事業所に交付することが義務になりました。
Q&Aが示した「やむを得ない場合」
厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日)は、本人参加について次のように答えています。
| 問 | 答えの要点 |
|---|---|
| 問80 | 本人参加を求めるのは、本人が希望する生活とサービスへの意向を改めて確かめるため。発言が難しい状態でも、本人の状態を直接確かめて意思と選好を推定する。やむを得ない場合は、病状が悪化して面会謝絶の状態にある、参加を求めることで状態の悪化が見込まれるなど、限定的な場合を想定 |
| 問81 | 本人を含めた関係者が参加する会議を行ったうえで、追加でサービス管理責任者と職員だけの会議を行うことは可能 |
| 問42 | 個別支援会議は原則として本人が同席。病状で同席が極めて困難な場合などは、例外的にテレビ電話装置の活用など同席以外の方法で意向を確かめてよい |
「本人が会議を嫌がる」「日程が合わない」は、Q&Aが想定する限定的な場合には当たりにくいと考えられます。 会議の時間や場所、進め方を本人に合わせて工夫し、それでも同席が難しい理由があるときに例外を使います。
会議の参加者と役割
| 参加者 | 位置づけ | 役割 |
|---|---|---|
| 本人 | 原則として同席(第58条第6項・令和6年度改定) | 希望する生活とサービスへの意向を話す、または様子から推定してもらう |
| サービス管理責任者 | 会議を開く人 | 原案を説明し、意向を確かめ、意見をまとめる |
| サービスの提供にあたる職員 | 条文上の参加者 | 日々の支援から見た原案への意見を出す |
| 家族 | 本人が望む場合など | 家族の意向と、家での様子を伝える |
| 相談支援専門員 | 必要に応じて | サービス等利用計画との整合を確かめる |
職員が多い事業所では、支援にあたる全員が出席できないこともあります。欠席した職員の意見を事前に集めて会議で紹介し、議事録に残すと、原案に意見を求めたことが記録で分かります。
会議の進め方
- 原案を事前に本人に渡す:分かりやすい言葉や写真を使った資料にし、会議の前に一緒に読む時間を取る
- 本人の意向から始める:原案の説明より先に、本人の希望する生活を聞く。原案の目標と本人の言葉が合っているかをその場で確かめる
- 職員の意見を聞く:支援にあたる職員から、原案の目標と支援内容に意見を求める
- 原案を直す点を決める:変える点を本人に分かる言葉で確かめる
- 必要なら職員だけの会議を追加する:本人を含めた会議の後に、支援の細かい分担を職員だけで話し合う(Q&A問81)
- 原案を完成させ、説明・同意・交付へ進む:同意日は会議の日以降にする
会議の前提になるアセスメントの項目はアセスメントシートの項目と面接、原案の書き方はサービスごとにB型の個別支援計画とグループホームの個別支援計画で整理しています。
議事録に残す項目
水戸市の資料は、会議の内容(日時、参加者、意見)を記録して保存するよう示しています。和歌山市の実地指導の指摘事例では、会議を開いていても、出席者や出た意見が分かる議事録が無かったことが、個別支援計画の注意点として挙げられています。議事録には次の項目を残します。
| 項目 | 書く中身 |
|---|---|
| 日時・場所・方法 | 対面か、テレビ電話装置等か |
| 参加者 | 本人、サービス管理責任者、職員、家族などの氏名と立場 |
| 本人の意向 | 本人の言葉。発言が難しい場合は、様子から推定した内容とその根拠 |
| 職員の意見 | 原案の目標・支援内容に対する意見(欠席者から事前に集めた意見を含む) |
| 原案から変えた点 | 何をどう変えたか |
| 本人が同席しなかった場合 | 同席しなかった理由と、意向を確かめた方法(横浜市の資料は、同席以外の方法で実施した理由も記録に残すよう求めています) |
落とし穴
- 会議の日付より前の同意日:会議で原案を直す前に同意を取っている形になり、手順が成り立ちません。和歌山市の指摘事例でも挙げられている点です
- 例外の理由が書かれていない:本人不在の会議を開いたのに理由が無いと、原則どおりに行わなかった説明ができません
- 職員だけの会議で済ませる:Q&A問81が認めているのは、本人を含めた会議を行ったうえで追加する職員だけの会議です。職員だけの会議に置き換えることではありません
- 会議の後に本人の意向を書き足す:議事録は会議で確かめたことを残すものです。後から分かった意向は、日付を分けて記録します
会議を含む作成の手順が抜けると、個別支援計画未作成減算の対象になり得ます(詳しくは障害福祉の減算の一覧)。
まとめ
- 個別支援会議は、令和6年度改定から原則として本人が同席して行う
- 例外は病状の悪化など限定的な場合で、テレビ電話装置の活用など同席以外の方法で意向を確かめ、その理由を記録する
- 本人を含めた会議の後に、職員だけの会議を追加することはできる
- 議事録には、日時・方法、参加者、本人の意向、職員の意見、原案から変えた点を残す
- 同意日は会議の日以降。見直しの会議も同じ手順で行う(モニタリングと見直し)
運営指導で会議の記録がどう確かめられるかは、運営指導(実地指導)の準備と運営指導の自己点検チェックリストで整理しています。
参照した資料
- e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号。第58条)(条文)
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日。問42、問80〜問83)(PDF)
- こども家庭庁・厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(障害者関係)」(PDF)
- 横浜市「個別支援計画を作成するにあたって」(令和6年8月)(PDF)
- 水戸市「個別支援計画の作成について」(PDF)
- 和歌山市「実地指導における主な指摘事例」(PDF)

