就労継続支援B型の基本報酬(サービス費(Ⅰ)〜(Ⅲ))は、前年度の平均工賃月額がどの区分に入るかで単位数が決まります。 平均工賃月額は「前年度の工賃支払総額 ÷ 前年度の開所日1日当たりの平均利用者数 ÷ 12か月」で計算します。この計算式は令和6年度報酬改定で変わり、利用日数の少ない人を多く受け入れる事業所ほど金額が高く出るようになりました。

その結果、全国平均が押し上げられたことを受けて、令和8年6月からは区分の基準額が一律3,000円引き上げられ、減り幅をおおむね3%に抑えるための中間の区分が加わりました。 同じ工賃実績でも、今年度と昨年度で区分が違うことがあります。

以下では、令和8年度報酬改定(令和8年6月施行の臨時応急的な見直しを含む)の告示・通知にもとづいて、計算方法、区分表、区分を上げるための打ち手を順に整理します。具体的な届出の方法や時期は指定権者(都道府県・指定都市・中核市)で運用が異なるため、必ず指定権者の案内を確認してください。


1. B型の基本報酬の仕組み

就労継続支援B型のサービス費は6種類あります。平均工賃月額で評価されるのは(Ⅰ)〜(Ⅲ)です。

サービス費職員の配置何で評価されるか
(Ⅰ)6:1平均工賃月額(令和6年度改定で新設)
(Ⅱ)7.5:1平均工賃月額
(Ⅲ)10:1平均工賃月額
(Ⅳ)6:1利用者の就労や生産活動等への参加等
(Ⅴ)7.5:1利用者の就労や生産活動等への参加等
(Ⅵ)10:1利用者の就労や生産活動等への参加等

(Ⅰ)〜(Ⅲ)を選ぶ事業所は、工賃向上計画を作成していることが前提です。基本報酬は、この配置と平均工賃月額の区分、さらに利用定員の区分(20人以下・21〜40人など)の組み合わせで決まります。

工賃の支払いそのものも基準で決まっています。「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号)第201条は、生産活動の収入から必要経費を差し引いた額を工賃として支払うこと、1か月当たりの工賃の平均額を3,000円以上にすること、毎年度の工賃の目標水準を設定して利用者に知らせ、都道府県に報告することを定めています。

短時間利用が多いと減算がある

留意事項通知では、利用時間が4時間未満の利用者が全体の50%以上を占める場合、基本報酬を100分の70で算定するとされています。平均工賃月額の計算式が短時間・少日数の利用に配慮したものになった一方で、1日の利用時間が短い人ばかりになると別の減算にかかる点は押さえておく必要があります。


2. 平均工賃月額の計算方法

根拠は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成18年10月31日障発第1031001号。最終改正は令和8年5月28日こ支障第148号・障発0528第1号)です。

令和6年度からの計算式

平均工賃月額 = 前年度の工賃支払総額 ÷ 前年度の開所日1日当たりの平均利用者数 ÷ 12か月

開所日1日当たりの平均利用者数は、前年度の延べ利用者数 ÷ 前年度の開所日数で求めます。

項目取扱い
工賃支払総額前年度に利用者へ支払った工賃の総額
平均利用者数延べ利用者数 ÷ 年間の開所日数
除く人一般就労先で一時的に支援を受けている利用者など、通知で定める人
重度者の加算重度者支援体制加算(Ⅰ)(障害基礎年金1級の受給者が利用者の50%以上)を算定する事業所は、算出した額に2,000円を加えられる
原材料費の高騰など都道府県内のB型事業所の8割で工賃実績が下がるなどの事情があり、都道府県が認めた場合は、前々年度の額(新しい計算式によるもの)を使える

以前の計算式は「工賃支払総額 ÷ 各月の工賃支払対象者の総数」でした。旧式では、月に数日しか来ない人も1人として分母に入るため、利用日数の少ない人を受け入れる事業所ほど金額が低く出ていました。新しい式では分母が「1日当たりの平均人数」になるため、この不利が解消されます。あわせて、旧式にあった「除外できる利用者」の要件は廃止されています。

計算例(仮の数字)

  • 前年度の工賃支払総額:720万円
  • 前年度の延べ利用者数:3,600人、開所日数:240日 → 平均利用者数 15人
  • 平均工賃月額 = 720万円 ÷ 15人 ÷ 12 = 40,000円

同じ事業所でも、延べ利用者数が変わらず開所日数が多ければ平均利用者数が下がり、平均工賃月額は上がります。分子(工賃総額)と分母(1日当たりの平均利用者数)の両方を見て管理するのが新しい計算式での基本です。

新規指定の事業所

新たに指定を受けた事業所は、1年目は平均工賃月額が1万円未満の区分(八)とみなします。年度途中の指定なら1年目と2年目がこの扱いです。支援開始から6か月を経過した月から年度末までは、その6か月間の平均工賃月額で区分を決めることもできます。


3. 令和8年6月からの区分表

厚生労働省の「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(令和8年2月18日)と告示(令和8年こども家庭庁・厚生労働省告示第5号)によると、就労継続支援B型の区分の基準は令和8年6月から次のように見直されました。

  • 新しい計算式で平均工賃がおおむね6,000円上がったことを踏まえ、区分の基準額をその半分の3,000円引き上げる
  • 下の区分に移る事業所の減り幅をおおむね3%に抑えるため、中間の区分(A〜F)を新設する
  • 平均工賃月額1万5千円未満(七・八)の境目は変えない

サービス費(Ⅰ)(6:1)・定員20人以下の単位数

区分令和8年6月からの平均工賃月額単位(参考)令和6年度改定の区分
48,000円以上83745,000円以上:837
A45,000円以上48,000円未満812
38,000円以上45,000円未満80535,000円以上45,000円未満:805
B35,000円以上38,000円未満781
33,000円以上35,000円未満75830,000円以上35,000円未満:758
C30,000円以上33,000円未満738
28,000円以上30,000円未満73825,000円以上30,000円未満:738
D25,000円以上28,000円未満726
23,000円以上25,000円未満72620,000円以上25,000円未満:726
E20,000円以上23,000円未満705
18,000円以上20,000円未満70315,000円以上20,000円未満:703
F15,000円以上18,000円未満682
10,000円以上15,000円未満67310,000円以上15,000円未満:673
10,000円未満59010,000円未満:590

令和6年度改定では8区分(ほかに経過措置の区分)だったものが、令和8年6月からは14区分になります。定員21〜40人の場合、同じ(Ⅰ)で区分一が746単位、区分八が526単位です。サービス費(Ⅱ)(Ⅲ)も同じ考え方で見直されているため、単位数は告示で確認してください。

たとえば平均工賃月額が36,000円の事業所は、令和6年度改定の表では区分二(805単位)でしたが、令和8年6月からは区分B(781単位)になり、約3%下がります。40,000円の事業所は、どちらの表でも区分二(805単位)のままです。

見直しの対象外になる事業所

厚生労働省の別添資料「就労継続支援B型の基本報酬区分の基準の見直しについて」では、令和6年度改定の前後で区分が上がらなかった事業所は見直しの対象外とし、従来の区分表を使うとしています。令和5年4月以前に指定を受けた事業所なら、令和6年3月と令和6年4月の区分を比べ、変わらないか下がっていれば対象外です。指定を受けた時期によって比べる月が異なり、令和6年4月以降に指定を受けた事業所は対象になります。

平均工賃月額が1万5千円未満(七・八)の事業所は、区分の境目が変わらないため届出は不要とされています。それ以外の事業所は、指定権者の案内に従って体制の届出を確認してください。

令和8年6月以降に新しく指定を受ける事業所

令和8年度の臨時応急的な見直しでは、令和8年6月1日以降に新たに指定を受けるB型事業所の基本報酬を、令和9年度の報酬改定まで所定単位数の1000分の984で算定するとしています(加算を除く)。対象は、費用額が総費用の1%以上、令和6年度の収支差率が5%以上、事業所数が3年続けて5%以上増えているサービスです。重度の障害のある人を支える体制の事業所、特別地域加算の対象地域、合併・事業譲渡などで事業が実質的に続いていると都道府県知事が認める場合などは除かれます。事業譲渡の扱いは既存事業所の承継を考えるときにも関わります。

令和8年度改定の全体像は令和8年度の報酬改定のまとめで確認できます。


4. 全国の平均工賃(令和6年度実績)

厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」によると、令和6年度の就労継続支援B型の平均工賃月額は24,141円(前年度比106.6%、18,245事業所)でした。令和5年度の実績は、新しい計算式による値として22,649円に改められています(当初公表は23,053円)。

年度B型の平均工賃月額計算式
令和4年度17,031円旧式
令和5年度22,649円新式
令和6年度24,141円新式

同じ資料で、都道府県別では徳島県が30,231円で最も高く、山形県が19,621円で最も低くなっています。京都府は24,743円、東京都は24,283円、大阪府は19,747円です。自分の事業所の平均工賃月額が区分表のどこにあるかに加えて、都道府県の平均と比べておくと、工賃向上計画の目標を立てやすくなります。

令和4年度から令和5年度の大きな伸びは、計算式の変更によるものです。旧式の数字と新式の数字をそのまま比べないよう注意してください。


5. 区分を上げるための打ち手

区分は前年度の実績で決まるため、打ち手の効果は翌年度に表れます。分子と分母に分けて考えると整理しやすくなります。

分子(工賃支払総額)を増やす

  • 生産活動の収支を作業ごとに出す:工賃は生産活動の収入から必要経費を引いた額が原資です。作業ごとの売上・経費・時間を記録し、時間当たりの利益が低い作業を見直します。
  • 単価の交渉と受注先の分散:下請けの軽作業は単価が低くなりがちです。受注量が安定している先から単価の見直しを申し入れ、1社への依存を下げます。
  • 官公需を取りにいく:国や自治体には、障害者就労施設等からの物品・役務の調達を推進する法律(国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律)にもとづく調達方針があります。自治体や共同受注窓口の窓口を確認します。
  • 都道府県の工賃向上計画と連携する:都道府県は工賃向上計画を定めています(「工賃向上計画を推進するための基本的な指針」平成24年4月11日障発0411第4号)。計画にもとづく支援事業や、目標工賃達成加算の要件を確認します。

分母(1日当たりの平均利用者数)を管理する

  • 開所日数と利用日数の関係を見る:開所日を増やせば1日当たりの平均人数は下がりますが、職員配置と人件費も増えます。工賃総額が増えない開所日の追加は、平均工賃月額を上げても収支を悪くすることがあります。
  • 短時間利用の比率に注意する:前述のとおり、4時間未満の利用者が50%以上になると基本報酬が100分の70になります。

報酬体系そのものを見直す

平均工賃月額が低い段階では、(Ⅳ)〜(Ⅵ)(利用者の就労や生産活動等への参加等で評価)のほうが事業所の実態に合う場合があります。職員配置を6:1にするか7.5:1にするかも、人件費と単位数の差で判断します。処遇改善加算の取得状況も収支を大きく左右するため、処遇改善加算の算定要件とあわせて試算してください。

就労移行支援や自立訓練を同じ事業所で行う形も選択肢です。多機能型にするときの定員と人員の要件を参照してください。


6. よくある落とし穴

  • 旧式と新式を混ぜて比べる:前年度の区分を旧式で出していた資料と比べると、伸びを過大に見積もります。
  • 令和8年6月の見直しの対象外かどうかを確かめていない:令和6年度改定の前後で区分が上がらなかった事業所は従来の区分表を使います。新しい表で試算して届け出る前に、対象かどうかを確認してください。
  • 工賃の原資を取り違える:基準省令第201条は、生産活動の収入から必要経費を引いた額を工賃として支払うと定めています。生産活動の会計と事業全体の会計を分けて管理してください。
  • 目標工賃の報告を忘れる:基準省令第201条は、目標水準と前年度の実績を都道府県に報告することを求めています。
  • 区分を上げるために利用者を選ぶ:障害の重い人や利用日数の少ない人を受け入れにくくする運用は、B型の役割と逆行します。重度者支援体制加算(Ⅰ)による2,000円の加算など、通知上の配慮を正しく使ってください。

7. まとめ

  • B型のサービス費(Ⅰ)〜(Ⅲ)は、前年度の平均工賃月額の区分で単位数が決まる
  • 平均工賃月額は「工賃支払総額 ÷ 開所日1日当たりの平均利用者数 ÷ 12」(令和6年度改定から)
  • 令和8年6月から区分の基準額が3,000円上がり、中間の区分A〜Fが加わって14区分になった(令和6年度改定の前後で区分が上がらなかった事業所は対象外)
  • 令和6年度の全国平均は24,141円
  • 打ち手の効果は翌年度に出る。分子(工賃総額)と分母(平均利用者数)を分けて管理する

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