指定障害福祉サービス事業者は、事業所の名称・所在地その他の定められた事項に変更があったとき、10日以内に都道府県知事(指定権者)に届け出る義務があります(障害者総合支援法第46条第1項)。障害児通所支援(児童発達支援・放課後等デイサービスなど)も、児童福祉法第21条の5の20で同じく10日以内です。
変更届が要る項目は、施行規則でサービスの種類ごとに決まっています。管理者やサービス管理責任者の交代、運営規程の改正は対象で、忘れやすい届出の代表です。一方、定員を増やす場合や事業をやめる場合は、変更届とは別の手続きになります。この記事では、法律と施行規則の条文にもとづいて、届出が要る項目と期限を整理します。
1. 変更届・体制届・指定の変更の違い
| 手続き | 何のとき | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 変更届 | 名称・所在地、管理者・サビ管、運営規程などの変更 | 変更があってから10日以内 | 障害者総合支援法第46条第1項、施行規則第34条の23 |
| 体制届(加算届) | 単位数が増える加算・報酬区分の算定開始、加算の算定をやめるとき | 15日以前の届出で翌月から算定。算定をやめるときは速やかに | 報酬の留意事項通知 |
| 指定の変更の申請 | 生活介護・就労継続支援A型・B型の定員を増やすとき | 算定したい時期より前(審査に日数がかかる) | 同法第37条、施行規則第34条の22 |
| 廃止・休止の届出 | 事業を廃止・休止しようとするとき | 廃止・休止の日の1か月前まで | 同法第46条第2項、施行規則第34条の23第4項 |
| 再開の届出 | 休止した事業を再開したとき | 再開してから10日以内 | 同法第46条第1項、施行規則第34条の23第3項 |
体制届の期限と算定の開始時期は「障害福祉の体制届(加算届)」で整理しています。
2. 変更届が要る項目
施行規則第34条の23第1項は、サービスの種類ごとに、指定申請の記載事項のうち変更届の対象になる号を挙げています。例として、生活介護・就労継続支援B型・共同生活援助を並べます。
| 項目(指定申請の記載事項) | 生活介護 | 就労継続支援B型 | 共同生活援助 |
|---|---|---|---|
| 事業所の名称・所在地 | 対象 | 対象 | 対象 |
| 申請者(法人)の名称・主たる事務所の所在地、代表者の氏名・住所など | 対象 | 対象 | 対象 |
| 登記事項証明書または条例等(その事業に関するもの) | 対象 | 対象 | 対象 |
| 事業所(建物)の平面図と設備の概要 | 対象 | 対象 | 対象(建物の構造概要を含む) |
| 管理者・サービス管理責任者の氏名・経歴など | 対象 | 対象 | 対象 |
| 運営規程 | 対象 | 対象 | 対象 |
| 協力医療機関の名称・契約の内容 | 対象 | 対象 | 対象(協力歯科医療機関を含む) |
| 関係機関との連携その他の支援体制の概要 | ― | ― | 対象 |
| 利用者の推定数、苦情解決の措置の概要、従業者の勤務の体制 | 条文上の対象外 | 条文上の対象外 | 条文上の対象外 |
ほかのサービス(居宅介護・短期入所・就労移行支援など)も、ほぼ同じ項目が対象です。正確な範囲は、施行規則第34条の23第1項の自分のサービスの号と、指定権者の変更届の手引きで確かめてください。
よくある変更の例
- 管理者・サービス管理責任者の交代:経歴書、研修の修了証、実務経験の証明などを添えます。サビ管の要件は「サービス管理責任者の採用」を参照してください
- 運営規程の改正:営業日・営業時間、利用定員、通常の事業の実施地域、利用者から受け取る費用などは運営規程の記載事項なので、変えたら変更届が要ります
- 法人の代表者・所在地の変更:法人の登記の変更にあわせて届け出ます。複数の事業所があれば、事業所ごとに要るかを指定権者に確かめます
- 事業所の移転・改修:平面図と設備の変更として届け出ます。設備基準を満たすかの確認が要るため、事前の相談を求める指定権者が多くあります
登記事項証明書などは、都道府県知事がインターネットで閲覧できる場合は提出を省略できるとされています。
3. 定員を増やす・事業をやめるとき
定員の増加
生活介護・就労継続支援A型・就労継続支援B型は、定員を増やすときに指定の変更の申請が要ります(施行規則第34条の22)。申請には、事業所の名称・所在地、申請者の情報、平面図と設備、従業者の勤務の体制・勤務形態と、利用定員を記載します。これらのサービスは、障害福祉計画との調整で指定に条件が付くことがあるため、所在地の市町村・都道府県の計画の状況を先に確かめる必要があります。
そのほかのサービスで、定員の増加に伴って変更届を出す場合は、従業者の勤務の体制・勤務形態を記載した書類を添付します(施行規則第34条の23第2項)。
廃止・休止
廃止・休止する日の1か月前までに、次の事項を届け出ます(施行規則第34条の23第4項)。
- 廃止・休止しようとする年月日と理由
- 現に利用している人への措置
- 現に利用している人の氏名・連絡先・受給者証番号と、引き続き同じようなサービスを希望するかどうか
- 希望する人に、サービスを継続的に提供するほかの事業者の名称
- 休止の場合は、休止の予定期間
利用している人の行き先を確保してから届け出る仕組みです。事業譲渡で運営する法人が変わる場合は、変更届ではなく、新しい法人の指定申請と旧法人の廃止届になるのが一般的です。「障害福祉のM&A」を参照してください。
4. 届出の手順
- 変更の予定が決まったら指定権者に相談する:移転・改修・定員の変更は、変更の前に相談します。
- 対象の項目を確かめる:施行規則の号と、指定権者の変更届の手引き(添付書類の一覧)で確かめます。
- 変更届と付表・添付書類をそろえる:多くの指定権者は、変更届出書と、サービスごとの付表、変更内容を示す書類(経歴書、平面図、運営規程の新旧対照など)を求めます。
- 10日以内に提出する:変更の日から数えます。提出の方法(郵送・窓口・電子申請)は指定権者の案内に従います。
- 掲示と重要事項説明書を直す:運営規程の概要や管理者の氏名を掲示・説明書に載せている場合は、あわせて直します。
落とし穴
- サービス管理責任者が交代したのに、変更届を出していない
- 営業時間や実施地域を変えたのに、運営規程の変更届を出していない
- 定員を増やしてから届け出ようとして、指定の変更の申請が要ることを知らなかった
- 閉所を決めてから届け出ようとして、1か月前の期限と利用者の移行先の確保が間に合わない
チェックリスト
- 自分のサービスの、変更届の対象項目を施行規則と指定権者の手引きで確かめた
- 管理者・サビ管の交代、運営規程の改正のたびに変更届を出す手順を決めている
- 移転・改修・定員の変更は、事前に指定権者に相談している
- 廃止・休止は1か月前までに、利用者の移行先とあわせて届け出る
- 提出した変更届の控えを保管している
5. まとめ
- 名称・所在地、管理者・サビ管、運営規程などの変更は、10日以内に変更届(障害者総合支援法第46条、児童福祉法第21条の5の20)
- 対象の項目は施行規則第34条の23でサービスごとに決まっている。一般の従業者の入れ替えは条文上の対象外だが、加算に関われば体制届
- 生活介護・A型・B型の定員増は、変更届ではなく指定の変更の申請
- 廃止・休止は1か月前までに、利用者への措置とあわせて届け出る
変更届の様式・添付書類・事前相談の要否は、指定権者によって違います。所在地の都道府県・市の手引きで確かめてください。
参考資料
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第37条・第46条(e-Gov 法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第34条の9・第34条の18・第34条の19・第34条の22・第34条の23(e-Gov 法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100019
- 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第21条の5の20(e-Gov 法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164

