目標工賃達成指導員配置加算は、人員配置6:1のB型(サービス費(Ⅰ)・(Ⅳ))だけが取れる加算で、目標工賃達成指導員を常勤換算1人以上置き、目標工賃達成指導員・職業指導員・生活支援員の合計を利用者数÷5以上にすると、定員に応じて利用者1人1日36〜45単位を算定できます。

さらに、事業所の工賃向上計画に掲げた工賃目標を達成すると、目標工賃達成加算(1日10単位)が上乗せされます。ただし目標額には下限があり、低い目標を達成しても算定できません。

この記事は、令和6年度報酬改定・令和8年6月の見直しにもとづく内容です。単位数は厚生労働省の報酬算定構造、要件は障害福祉サービスの留意事項通知(平成18年障発第1031001号、令和8年5月28日改正を反映)で確かめました。


1. 2つの加算の関係

加算何を評価するか単位
目標工賃達成指導員配置加算工賃を上げるための指導員を上乗せで置く体制定員別に1日36〜45単位
目標工賃達成加算配置加算の対象事業所が、自ら立てた工賃目標を達成したこと1日10単位

目標工賃達成加算は、配置加算の対象となる事業所であることが前提です。体制(配置)と結果(達成)を2段で評価する形になっています。


2. 単位数(利用者1人1日あたり)

利用定員目標工賃達成指導員配置加算
20人以下45単位
21〜40人40単位
41〜60人38単位
61〜80人37単位
81人以上36単位

目標工賃達成加算は定員にかかわらず1日10単位です。どちらも、その日に利用した利用者全員について算定します。出典は報酬算定構造の「就労継続支援B型サービス費」の加算欄です。


3. 配置加算の要件

留意事項通知が定める要件は3つです。

  1. 就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)または(Ⅳ)を算定していること:どちらも人員配置6:1の区分です。7.5:1の(Ⅱ)(Ⅴ)、10:1の(Ⅲ)(Ⅵ)では算定できません
  2. 目標工賃達成指導員を常勤換算方法で1人以上置くこと
  3. 目標工賃達成指導員・職業指導員・生活支援員の総数が、利用者数を5で割った数以上であること

例えば前年度の平均利用者数が18人なら、18÷5=3.6なので、3職種の合計が常勤換算3.6人以上必要です。職業指導員と生活支援員で常勤換算3.0人を置いている事業所は、目標工賃達成指導員を1.0人足せば4.0人となり、要件を満たします。

サービス費(Ⅰ)(Ⅳ)の算定に必要な6:1の配置に目標工賃達成指導員を含めて数えてよいか、また利用者数の端数の扱いは、指定権者に確認してから配置を決めてください。


4. 目標工賃達成指導員の役割

留意事項通知は、目標工賃達成指導員を「各都道府県で作られる工賃向上計画にもとづき、自らも工賃向上計画を作り、その工賃目標の達成に積極的に取り組む指導員」と定めています。取り組みの例として挙げられているのは次の3つです。

  • 国や自治体からの受注を増やす:国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(平成24年法律第50号)にもとづく物品や役務の受注の促進
  • 新しい生産活動を開く:地域と連携した農福連携などの取り組み
  • 利用者の生産能力を上げる:ICT機器などの導入

つまり、日々の作業の指導をする職業指導員とは別に、売上と工賃を上げる計画を作って動かす人という位置づけです。配置加算を取るなら、事業所の工賃向上計画、その進み具合の記録、受注や販路の開拓の記録を残し、実地指導で指導員の働きを説明できるようにしておきます。


5. 目標工賃達成加算の目標額の決め方

留意事項通知では、目標工賃達成加算は次の両方に当てはまる場合に算定できます。

  • ア:配置加算の対象となるサービス費(Ⅰ)(Ⅳ)の事業所が、都道府県の工賃向上計画にもとづいて事業所の工賃向上計画を作り、そこに掲げた工賃目標を達成したこと
  • イ:その工賃目標が、次の式で出した額以上であること

目標額の下限 = 目標年度の前年度の事業所の平均工賃月額 +(目標年度の前々年度の全国平均工賃月額 - 前々々年度の全国平均工賃月額)

式で出した額が前年度の事業所の平均工賃月額を下回るとき(全国平均が下がった年など)は、前年度の事業所の平均工賃月額が下限になります。

例えば、前年度の事業所の平均工賃月額が16,000円で、前々年度と前々々年度の全国平均工賃月額の差が仮に600円だった場合は、次のようになります。

立てた目標実績判定
17,000円17,200円下限16,600円以上で達成しているので対象
16,300円17,200円目標が下限16,600円に届かないので対象外
17,000円16,800円目標に届かないので対象外

2行目のように、実績が高くても目標額が下限を下回っていれば算定できません。全国平均工賃月額は厚生労働省が毎年度公表しているので、計画を立てる時点で最新の公表値を使って下限を計算しておきます。事業所の平均工賃月額の出し方はB型の報酬区分と平均工賃月額で整理しています。


6. 収入の試算

例えば、定員20人・1日平均18人・月22日開所の事業所の場合です。

  • 配置加算:45単位 × 18人 × 22日 = 月17,820単位
  • 目標工賃達成加算:10単位 × 18人 × 22日 = 月3,960単位
  • 1単位10円で計算すると、配置加算で月約17.8万円、両方で月約21.8万円

1単位の円換算は地域区分で変わります。配置加算の収入と目標工賃達成指導員1人分の人件費を並べ、差額が工賃向上の取り組み(販路の開拓、設備、ICT)に回せるかを見てから判断します。定員21〜40人の区分では1人1日40単位になり、利用者が多いほど収入は増えます。


7. 届出と記録の手順

  1. 都道府県の工賃向上計画を読む:対象期間と、事業所に求めている取り組みを確かめる
  2. 事業所の工賃向上計画を作る:前年度の平均工賃月額と全国平均の差から目標額の下限を出し、それ以上の目標を置く
  3. 配置を固める:前年度の平均利用者数から3職種の合計の必要数を出し、目標工賃達成指導員を常勤換算1人以上で配置する
  4. 体制届を出す:加算の算定を始める月の前月15日までに届け出れば翌月から、16日以降なら翌々月からです(留意事項通知 第一の1の(4))
  5. 年度末に実績を出す:平均工賃月額を計算し、目標と比べる。目標工賃達成加算の届出の時期と様式は、指定権者に確認する

8. 落とし穴

  • 7.5:1や10:1のまま算定している:対象は(Ⅰ)(Ⅳ)の6:1の区分だけです。人員が減って6:1を満たせなくなった月の扱いは、指定権者に確認してください。
  • 目標額を実績から逆算して低く置く:下限を下回る目標は、達成しても加算の対象外です。
  • 指導員が名前だけになっている:工賃向上計画、受注・販路の記録がないと、実地指導で役割を説明できません。自己点検の進め方は運営指導の自己点検チェックリストを見てください。
  • 平均工賃月額の計算がずれている:基本報酬の区分と目標工賃達成加算で、同じ計算方法の数字を使います。

9. まとめ

  • 目標工賃達成指導員配置加算は、6:1のB型(サービス費(Ⅰ)(Ⅳ))だけが対象で、定員別に1日36〜45単位
  • 要件は、目標工賃達成指導員を常勤換算1人以上置き、3職種の合計を利用者数÷5以上にすること
  • 目標工賃達成加算(1日10単位)は、事業所の工賃目標を達成し、その目標額が「前年度の平均工賃月額+全国平均の差額」以上であることが条件

B型で取れるほかの加算はB型の加算一覧、一般就労に送り出したときの加算は就労移行支援体制加算の計算で整理しています。


10. 参考資料