就労継続支援B型(以下B型)の加算は、令和6年度の報酬改定で作られた形がほぼそのまま続いています。令和8年度に入って変わったのは、就労移行支援体制加算の数え方(4月)、処遇改善加算の率と区分(6月)、6月1日以降に新しく指定を受ける事業所の基本報酬(応急的な報酬単価の特例)の3つです。基本報酬の区分の基準も6月に見直されましたが、これは加算ではなく基本報酬の話です。

最初に確かめたいのは、自事業所が「平均工賃月額に応じた評価」(サービス費Ⅰ〜Ⅲ)と「利用者の就労や生産活動等への参加等をもって一律に評価」する型(サービス費Ⅳ〜Ⅵ)のどちらかです。取れる加算がここで分かれます。

この記事は、令和6年度報酬改定・令和8年6月の見直しにもとづく内容です。単位数は厚生労働省の障害福祉サービス費等の報酬算定構造、要件は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成18年障発第1031001号。以下「留意事項通知」、令和8年5月28日の改正を反映)、令和8年度の変更は令和8年こども家庭庁・厚生労働省告示第5号とQ&Aで確かめました。1単位はおおむね10円で、地域区分に応じて上乗せされます。


1. B型の加算は「報酬の型」で取れるものが変わる

B型の基本報酬は、人員配置(6:1・7.5:1・10:1)と評価の方法の組み合わせで6つに分かれます。加算の中には、特定の型でしか算定できないものがあります。

加算平均工賃型(Ⅰ〜Ⅲ)利用者に応じた評価型(Ⅳ〜Ⅵ)
目標工賃達成指導員配置加算・目標工賃達成加算(Ⅰ)6:1のみ(Ⅳ)6:1のみ
就労移行支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ):定員と平均工賃月額で単位が決まる(Ⅲ)(Ⅳ):定員で単位が決まる
地域協働加算算定できない算定できる
ピアサポート実施加算算定できない算定できる
そのほかの加算共通共通

型によって区分の決め方も違います。平均工賃型は平均工賃月額で区分が決まり、その計算方法と令和8年6月の基準の見直しはB型の報酬区分と平均工賃月額の計算で扱っています。


2. 主な加算の一覧(定員20人以下の単位数)

定員で単位数が変わるものは、定員20人以下の値です。出典の報酬算定構造では、定員21〜40人・41〜60人・61〜80人・81人以上の値が並んでいます。

加算単位数主な要件(要約)
福祉専門職員配置等加算Ⅰ 15/Ⅱ 10/Ⅲ 6(1日)社会福祉士などの資格者の割合、常勤職員の割合や勤続年数
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算Ⅰ 51/Ⅱ 41(1日)重度の視覚・聴覚・言語障害のある利用者が一定割合以上で、意思疎通に対応できる職員を配置
高次脳機能障害者支援体制加算41(1日)高次脳機能障害の利用者が一定割合以上で、研修を修了した職員を配置
重度者支援体制加算Ⅰ 56/Ⅱ 28(1日)前年度の利用者の延べ人数に占める障害基礎年金1級の受給者の割合が100分の50以上(Ⅰ)、100分の25以上50未満(Ⅱ)
初期加算30(1日)利用開始から30日まで
訪問支援特別加算1時間未満187/1時間以上280(1回)利用が途絶えた人の居宅を訪問して支援。月2回まで
欠席時対応加算94(1回)利用予定日の前々日・前日・当日に中止の連絡を受け、相談援助をして記録。月4回まで
就労移行支援体制加算(Ⅰ)93〜48、(Ⅲ)42など(1日)前年度に就職して6か月以上続いている人の数を掛ける
就労移行連携加算1,000(1回)B型から就労移行支援に移る人の支給決定に先立ち、見学同行や情報提供をする
目標工賃達成指導員配置加算45(1日)目標工賃達成指導員を常勤換算1人以上配置し、工賃向上計画を作る
目標工賃達成加算10(1日)工賃向上計画の目標を達成した
医療連携体制加算Ⅰ 32〜Ⅵ 100看護職員の訪問など。区分で要件が違う
利用者負担上限額管理加算150(月1回)利用者負担額の合計を管理した
食事提供体制加算30(1日)低所得の利用者などに食事を提供した
送迎加算Ⅰ 21/Ⅱ 10(片道)送迎の回数と人数で区分。同一敷地内は100分の70
障害福祉サービスの体験利用支援加算Ⅰ 500/Ⅱ 250(1日)施設入所者などの体験利用を支援した
在宅時生活支援サービス加算300(1日)居宅で利用する人に、事業所の負担で居宅介護などの職員を派遣した
社会生活支援特別加算480(1日)医療観察法の対象者や矯正施設を出た人などに特別な支援をした
地域協働加算30(1日)地域と協働した生産活動をし、取組を公表した(Ⅳ〜Ⅵのみ)
ピアサポート実施加算100(月)研修を修了した障害当事者と職員を配置して支援した(Ⅳ〜Ⅵのみ)
緊急時受入加算100(1日)地域生活支援拠点等として、緊急時に受け入れた
集中的支援加算1,000(1回)強度行動障害の状態が悪化した人に、広域的支援人材が訪問などで支援した。月4回まで

福祉専門職員配置等加算の区分ごとの要件は福祉専門職員配置等加算の要件に、送迎加算の区分と同一敷地内の扱いは送迎加算の区分と算定ルールにまとめています。


3. 令和8年度の見直しで変わったこと

就労移行支援体制加算(令和8年4月)

報酬告示の改正で、掛け算に使う就労定着者の数に前年度の9月30日時点の利用定員数という上限が付きました。また、過去3年間にほかの事業所も含めて同じ人の就労でこの加算が算定されていれば、ハラスメントなどやむを得ない事情で退職した人など市町村長が適当と認める人を除き、数に入れられません。数え方の詳細は就労移行支援体制加算の計算で説明しています。

処遇改善加算(令和8年6月)

B型の福祉・介護職員等処遇改善加算の率は、令和8年告示第5号で次のようになりました。

区分令和6年度改定の率令和8年6月からの率
加算Ⅰ1000分の93Ⅰイ 105/Ⅰロ 109
加算Ⅱ1000分の91Ⅱイ 103/Ⅱロ 107
加算Ⅲ1000分の7688
加算Ⅳ1000分の6274

新規指定の特例(令和8年6月1日以降の新規指定)

6月1日以降に新たに指定を受けたB型は、令和9年度の報酬改定まで基本報酬が1000分の984になります。加算の単位数は下がりません。令和8年度の改定全体は令和8年度の期中改定のまとめで整理しています。


4. 体制別:どの加算から検討するか

  • 6:1の配置ができている:目標工賃達成指導員配置加算を検討する。さらに1人を配置する費用と、加算の収入を比べる
  • 前年度に一般就労した人がいる:就労移行支援体制加算の対象になるか、定員上限と過去3年の算定実績を確かめる
  • 障害基礎年金1級の利用者が多い:重度者支援体制加算の割合を前年度の実績で計算する
  • 資格者や勤続の長い職員が多い:福祉専門職員配置等加算の区分を確かめる
  • 利用者に応じた評価型:地域協働加算・ピアサポート実施加算の要件を確かめる
  • どの型でも:欠席時対応加算・初期加算・利用者負担上限額管理加算を取りこぼしていないか

5. 届出と算定でつまずきやすいところ

  • 型を変えたのに加算の届出を直していない:目標工賃達成指導員配置加算は(Ⅰ)と(Ⅳ)でしか算定できません。人員配置を7.5:1や10:1の型に変えると、要件から外れます。
  • 就労移行支援体制加算の定着者の数が定員を超えている:令和8年6月から、国保連の審査で最低定員数を超える請求に警告が出る仕組みになりました(令和8年度Q&A VOL.1 別紙6)。4月・5月の請求も確認の対象で、過大なら返還になります。
  • 欠席時対応加算の記録が「欠席連絡あり」だけ:連絡の日時と、利用者の状況を確認して次回の利用を促すなどの相談援助の内容を書きます。
  • 地域協働加算の取組を公表していない:インターネットなどでの公表が要件に入っています。

体制の加算は、配置が崩れた月から算定できなくなります。届出どおりの配置になっているかを毎月の勤務表で確かめてください。


6. 加算ごとの詳しい解説

  • 就労移行支援体制加算:就労定着者の定義、6か月の数え方、定員上限と過去3年の扱いは就労移行支援体制加算の計算で説明しています。
  • 目標工賃達成指導員配置加算・目標工賃達成加算:配置の条件と、工賃目標の立て方で加算の対象外になる例は目標工賃達成指導員配置加算の要件で扱っています。
  • A型との違い:雇用契約を結ぶA型では、スコアで基本報酬が決まり、賃金向上達成指導員配置加算があります。A型の加算一覧と比べると違いが分かります。

7. まとめ

  • B型の加算は令和6年度改定の形が続いており、令和8年度に変わったのは就労移行支援体制加算の数え方、処遇改善加算の率、新規指定の特例
  • 平均工賃型と利用者に応じた評価型で、目標工賃達成指導員配置加算・地域協働加算・ピアサポート実施加算などの取れる範囲が違う
  • 前年度の実績で決まる加算は、4月の届出と根拠書類の保存までを年間の段取りに入れる

届出の様式・締切・添付書類は指定権者ごとに違います。算定の前に指定権者の案内で確かめてください。


8. 参考資料