重度訪問介護の加算は、所定単位数に割合で上乗せする加算と、回数・日数・月ごとに単位数を足す加算の2種類に分かれます。割合の加算では、重度障害者等包括支援の対象となる人への100分の15、区分6の人への100分の8.5、特定事業所加算の最大100分の20が大きく、長時間の支援ほど効きます。回数の加算では、移動介護加算(最大250単位)と初回加算(1月200単位)が多くの事業所で使われています。

この記事は、令和6年度報酬改定・令和8年6月の見直しにもとづく内容です。単位数は厚生労働省の報酬算定構造、要件は留意事項通知(平成18年障発第1031001号、令和8年5月28日改正を反映)の重度訪問介護の項で確かめました。令和8年6月の告示改正で訪問系が変わったのは処遇改善加算の率だけで、基本報酬と下の加算の単位数は変わっていません。


1. 対象者と基本報酬の仕組み

重度訪問介護の対象は、区分4以上で、次のどちらかに当たる人です。

  • 2肢以上に麻痺等があり、認定調査の「歩行」「移乗」「排尿」「排便」がいずれも「支援が不要」以外
  • 行動関連項目の合計点数が10点以上

基本報酬は所要時間で決まり、居宅等での支援と入院中の支援で同じ表を使います。

所要時間単位数
1時間未満186
1時間以上1時間30分未満277
2時間以上2時間30分未満461
3時間以上3時間30分未満644
4時間以上8時間未満821に30分ごと+85
8時間以上12時間未満1,505に30分ごと+85
12時間以上16時間未満2,184に30分ごと+81
16時間以上20時間未満2,834に30分ごと+86
20時間以上24時間未満3,520に30分ごと+80

行動関連項目10点以上の人は、行動援護事業者等によるアセスメントや環境調整を行ったうえで支援した場合に算定でき、従業者には重度訪問介護従業者養成研修の行動障害支援課程などの修了が求められます。


2. 割合で上乗せする加算

加算割合条件の要点
重度障害者等包括支援の対象者+100分の15区分6で意思疎通に著しい困難があり、四肢麻痺・寝たきりで人工呼吸器を使う人、最重度の知的障害のある人、または行動関連項目10点以上の人
区分6の人+100分の8.5区分6に該当する人への支援
2人の従業者による支援×100分の200利用者の状態などから2人で支援する必要がある場合
夜間・早朝+100分の25午後6時〜10時、午前6時〜8時
深夜+100分の50午後10時〜翌午前6時
特別地域加算+100分の15中山間地域等に住む人への支援
特定事業所加算(Ⅰ)+100分の20/(Ⅱ)(Ⅲ)+100分の10体制・人材・重度者対応の要件((Ⅳ)は無し)

重度訪問介護従業者養成研修(基礎課程)の修了者が100分の15や100分の8.5の対象者を支援する場合は、緊急時の対応などを学ぶ追加課程または統合課程を修了していることが算定の条件です。特定事業所加算の要件は障害福祉の特定事業所加算の記事で整理しています。重度訪問介護では、24時間の派遣体制と実際の深夜の提供、区分5以上と喀痰吸引等が必要な人を合わせて50%以上、といった重訪に特有の要件があります。


3. 回数・日数・月ごとの加算

加算単位数要件の要点
移動介護加算1時間未満100/1時間以上125/1時間30分以上150/2時間以上175/2時間30分以上200/3時間以上250外出時の移動中の介護
移動介護緊急時支援加算1日240従業者が運転する車で移動中に、利用者の求めで車を止めて喀痰吸引や体位交換などの緊急の支援を行った場合
初回加算1月200新規の計画の利用者に、サービス提供責任者が初回または初回の月に自ら支援するか同行した場合
緊急時対応加算1回100(月2回まで)計画に無い支援を、利用者や家族の求めで24時間以内に行った場合。地域生活支援拠点等は+50
喀痰吸引等支援体制加算1日100喀痰吸引等を行い、特定事業所加算(Ⅰ)の算定が難しい事業所
行動障害支援連携加算584(30日に1回)支援計画シート等を作った人(行動援護事業所等)から、サービス提供責任者が利用者の引継ぎを受けた場合。作成者への費用の支払いを評価するもの
利用者負担上限額管理加算1月150上限額管理を行った場合

移動介護加算は、同じ事業者が1日に複数回行った場合は1日分の時間を通算し、4時間以上でも250単位です。行動障害支援連携加算は、作成者とサービス提供責任者が同じ人だと算定できません(同じ事業者でも別の人なら算定できます)。上限額管理の事務の流れは利用者負担上限額管理の記事を参考にしてください。


4. 入院中の重度訪問介護

入院中の支援は、区分4以上で、入院の前から重度訪問介護を使っている人が対象です。支援の中心は、利用者が病院の職員と意思疎通を図るための支援で、病院と事業所が病状・治療・支援の内容を共有したうえで行います。

  • 入院時支援連携加算(300単位・1回):入院の前に、事業所の職員が病院を訪ねて利用者の情報を伝え、支援の内容を調整した場合
  • 90日を超える支援:病院での利用開始から90日を超える場合は、コミュニケーション支援等の必要性を市町村が認めたときに限り、所定単位数の100分の80で算定します。90日を超えた後は30日ごとに市町村の確認が必要で、転院して必要性が改めて認められた場合は転院先での利用開始日から数え直します

5. 熟練従業者の同行

新しく入った従業者が支援に慣れるまで、熟練した従業者が同行する場合は、2人それぞれ所定単位数の100分の90で算定します(令和6年度改定で100分の85から引き上げ)。対象は、採用から6か月以内の従業者が区分6の利用者を支援する場合と、100分の15の加算対象者を初めて支援する場合で、同行の時間は120時間以内です。


6. 令和8年6月からの処遇改善加算

区分令和8年4〜5月令和8年6月以降
Ⅰ34.3%Ⅰイ37.2%/Ⅰロ38.2%
Ⅱ32.8%Ⅱイ35.7%/Ⅱロ36.7%
Ⅲ27.3%30.2%
Ⅳ21.9%24.8%

イとロの違いと要件は処遇改善加算の率の記事で、改定の全体は令和8年度の期中改定の記事で確かめてください。


7. 打ち手:取りこぼしを見つける手順

  1. 利用者ごとに区分と加算の対象を並べる:区分6か、100分の15の対象かを受給者証と認定調査の結果で確かめます
  2. 従業者の研修を確かめる:対象者を支援する従業者が追加課程または統合課程を修了しているかを一覧にします
  3. 外出の記録を見直す:移動中の介護の時間が記録に残っていないと移動介護加算は算定できません
  4. 新規の利用者に初回加算を付ける:サービス提供責任者の初回の支援または同行を記録します
  5. 入院の予定を早めに聞く:入院前に病院と調整すれば入院時支援連携加算を算定できます
  6. 体制届を出す:特定事業所加算や喀痰吸引等支援体制加算の届出は、指定権者の締切と様式で確かめてください

8. 落とし穴

  • 研修の追加課程を受けていない従業者で100分の15や100分の8.5を取っている:基礎課程だけでは算定できません。
  • 入院中の90日超を市町村の確認なしで続けている:90日を超えたら市町村の認定が要り、30日ごとの確認も必要です。
  • 同じ事業者が居宅介護の身体介護を重ねて請求している:重度訪問介護を提供する事業者は、原則として居宅介護を併せて算定できません。
  • 減算を見落としている:身体拘束廃止未実施、虐待防止措置未実施、業務継続計画未策定、情報公表未報告の減算があります。内容は障害福祉の減算一覧で確かめてください。

9. まとめ

  • 重度訪問介護の加算は、割合で上乗せするもの(15%・区分6の8.5%・特定事業所加算など)と、回数や月で取るもの(移動介護加算・初回加算など)に分かれる
  • 100分の15と100分の8.5は、従業者の追加課程・統合課程の修了が条件
  • 入院中は区分4以上で入院前からの利用者が対象で、90日を超えたら市町村の認定のうえ100分の80
  • 令和8年6月から処遇改善加算はⅠイ37.2%〜Ⅳ24.8%

10. 参考資料