重度障害者支援加算は、同じ名前でもサービスごとに区分・対象者・単位数が違う加算です。生活介護と施設入所支援は(Ⅰ)〜(Ⅲ)、グループホームと短期入所は(Ⅰ)(Ⅱ)で、強度行動障害のある人への支援では行動関連項目10点以上が入口、18点以上が上乗せの基準になります。最も大きい区分は生活介護・施設入所支援の(Ⅱ)とグループホームの(Ⅰ)で1日360単位、始めて180日以内はさらに1日500単位が加わります。
この記事は、令和6年度報酬改定・令和8年6月の見直しにもとづく内容です。単位数は厚生労働省の報酬算定構造、要件は留意事項通知(平成18年障発第1031001号、令和8年5月28日改正を反映)の各サービスの項で確かめました。令和8年6月の告示改正で重度障害者支援加算の単位数は変わっていません。
1. サービス別の区分と単位数
| サービス | 区分 | 単位数(1日) | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| 生活介護 | (Ⅰ) | 50 | 事業所の全利用者(重症心身障害者を支える体制) |
| 生活介護 | (Ⅱ) | 360 | 区分6かつ行動関連項目10点以上 |
| 生活介護 | (Ⅲ) | 180 | 区分4以上かつ行動関連項目10点以上((Ⅱ)の対象を除く) |
| 施設入所支援 | (Ⅰ) | 28 | 特別な医療が必要な人などを支える体制 |
| 施設入所支援 | (Ⅱ)(Ⅲ) | 360/180 | 生活介護と同じ考え方 |
| グループホーム | (Ⅰ) | 360 | 重度障害者等包括支援の対象となる人 |
| グループホーム | (Ⅱ) | 180 | 区分4以上かつ行動関連項目10点以上 |
| 短期入所 | (Ⅰ)(Ⅱ) | 50/30 | 研修修了者による支援で上乗せ |
グループホームの重度障害者支援加算は、介護サービス包括型と日中サービス支援型の加算で、外部サービス利用型の利用者と、個人単位で居宅介護等を使う特例の利用者は算定できません。
2. 強度行動障害に関わる要件の仕組み
生活介護・施設入所支援の(Ⅱ)(Ⅲ)と、グループホームの(Ⅰ)(Ⅱ)は、次の3つがそろって算定できます。
- 人員の加配:基準の人員(と人員配置体制加算の人員)に加えて、対象の利用者の支援に必要な数を常勤換算で加配します。留意事項通知の例では、区分6が2人・区分5が2人のグループホームで基準の生活支援員が1.3人(2÷2.5+2÷4)なら、1.4人以上を配置すれば要件を満たします
- 実践研修修了者を1人以上:サービス管理責任者または生活支援員のうち1人以上が強度行動障害支援者養成研修(実践研修)の修了者です。グループホームでは行動援護従業者養成研修の修了者も含まれ、(Ⅰ)では喀痰吸引等研修(第二号)の修了者でもよいとされています。行動障害のある利用者には支援計画シート等を作ります
- 生活支援員の20%以上が基礎研修修了者:実人数で数え、非常勤も含めます。グループホームでは重度訪問介護従業者養成研修(行動障害支援課程)や行動援護従業者養成研修の修了者も含まれます
実践研修修了者は、原則として週1回以上強度行動障害のある利用者の様子を観察し、3か月に1回程度支援計画シート等を見直します。基礎研修修了者は、支援計画シート等にもとづいて個別の支援を行い、支援記録で経過を実践研修修了者に伝えます。
3. 上乗せの仕組み
| 上乗せ | 単位数(1日) | 要件 |
|---|---|---|
| 算定開始から180日以内 | 500(生活介護・施設入所の(Ⅱ)、GHの(Ⅰ))/400(生活介護・施設入所の(Ⅲ)、GHの(Ⅱ)) | 利用初期の手厚い支援。同じ事業所で同じ利用者は1度まで |
| 180日以内で18点以上 | さらに200 | 中核的人材を配置し、行動関連項目18点以上の人を支援 |
| 中核的人材の配置 | 150 | 中核的人材養成研修の修了者(または助言を受けた実践研修修了者)が支援計画シート等を作成し、18点以上の人を支援 |
| 短期入所(Ⅰ)(Ⅱ) | 100/70 | 基礎研修修了者等が、実践研修修了者の作った支援計画にもとづいて支援した日 |
| 短期入所の中核的人材 | 50 | 中核的人材等が作った支援計画にもとづき18点以上の人を支援した日 |
短期入所では、(Ⅰ)の上乗せは区分6、(Ⅱ)の上乗せは区分4以上で、それぞれ報酬告示で定める支援の度合にある人が対象です。障害児は、障害児支援区分と強度行動障害判定基準表の点数(上乗せの基準は20点以上、中核的人材の上乗せは30点以上)で判断します。
4. 生活介護の(Ⅰ)は別の考え方
生活介護の(Ⅰ)(1日50単位)は、強度行動障害ではなく重症心身障害者を支える体制の評価です。人員配置体制加算の(Ⅰ)か(Ⅱ)と、常勤看護職員等配置加算(看護職員を常勤換算で3人以上に限る)を算定したうえで、さらに生活支援員または看護職員を加配した場合に、事業所の全利用者について算定します。(Ⅰ)を算定する事業所では(Ⅱ)(Ⅲ)は算定できません。人員配置体制加算の区分は生活介護の人員配置体制加算の記事で確かめてください。
5. 打ち手:算定までの手順
- 対象者を洗い出す:受給者証の区分と、認定調査の行動関連項目の合計点数(10点以上・18点以上)を利用者ごとに一覧にします
- 研修の修了者を数える:実践研修・基礎研修・中核的人材養成研修の修了証を集め、生活支援員の実人数に対する基礎研修修了者の割合を出します。20%に届かなければ受講計画を立てます
- 加配の人数を計算する:基準の人数を区分ごとの割り算で出し、それを超える配置を勤務表で確かめます
- 支援計画シート等を作る:実践研修修了者(18点以上の人は中核的人材の助言)が作成し、週1回の観察と3か月ごとの見直しを記録に残します
- 体制届を出す:届出の締切と様式は指定権者ごとに違うため、指定権者の案内で確かめてください
サービスごとのほかの加算は、生活介護の加算一覧と共同生活援助の加算一覧でまとめています。
6. 落とし穴
- 基礎研修修了者の割合を常勤換算で数えている:実人数で数えます。非常勤を分母から外すと割合が過大になります。
- 180日以内の上乗せを同じ利用者に2回取っている:同じ事業所では1度までです。
- グループホームの(Ⅰ)と(Ⅱ)を同じ利用者に取っている:(Ⅰ)の対象者は(Ⅱ)を算定できません。
- 支援計画シート等の見直しが記録に残っていない:週1回の観察と3か月ごとの見直しは、運営指導で確認される点です。
- 令和8年6月以降に開設したグループホームで単価を誤る:新規指定の単価特例(1000分の972)は、重度障害者支援加算を算定する利用者がいる月には従来の単価になります。詳しくは令和8年度の期中改定の記事で確かめてください。
7. まとめ
- 重度障害者支援加算はサービスごとに区分と単位数が違い、強度行動障害では行動関連項目10点以上が入口、18点以上が上乗せの基準
- 要件の柱は加配・実践研修修了者1人以上・基礎研修修了者20%以上(実人数)の3つ
- 算定開始から180日以内は1日500単位または400単位の上乗せがあり、中核的人材を置けば18点以上の人に150単位が加わる
8. 参考資料
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」
- 厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」
- 厚生労働省「留意事項通知の新旧対照表(令和8年5月28日改正)」