障害者グループホーム(共同生活援助)の個別支援計画は、住まいでの暮らしの支援を中心に、日中活動との連携、一人暮らしなど将来の暮らし方の希望、体験利用まで含めて書き、6か月に1回以上見直すのが基本です。基準の上では「共同生活援助計画」と呼ばれ、指定基準第213条が療養介護の第58条を読み替えて準用しています。
グループホームのサービス管理責任者には、計画を作る業務に加えて、第210条の6で、利用前に他の事業所に照会して状況を把握すること、自立した生活ができるかを定期的に検討すること、日中の事業所との連絡調整などの業務が決められています。この業務の結果を計画に反映させるところが、日中活動系の計画との違いです。
この記事は、令和6年度報酬改定・令和8年6月の見直しを踏まえた内容です。令和6年度改定で、会議への本人参加の原則と相談支援事業所への計画の交付が基準に入りました。令和8年6月の期中改定では、6月1日以降に新たに指定を受けるグループホーム(介護サービス包括型・日中サービス支援型)の単価の特例が設けられましたが、計画の作り方は変わっていません。
グループホームの計画を決めている条文
| 条文 | 中身 | 計画への影響 |
|---|---|---|
| 第213条(第58条の準用) | 計画の作成手順と6か月に1回以上の見直し | アセスメント、原案、会議、同意、交付の流れは日中活動系と同じ |
| 第210条の5第1項 | 計画に基づき、地域で日常生活を営めるよう支援し、漫然かつ画一的にならないよう配慮する | 入居者全員に同じ計画を作らない |
| 第210条の5第2項 | 意思決定の支援に配慮する | 本人が決める場面と、その支援の方法を書く |
| 第210条の5第3項 | 入居前の体験的な利用も、計画に基づいて提供する | 体験利用にも計画が要る |
| 第210条の6第1項 | サービス管理責任者の追加の業務(照会、定期的な検討、連絡調整、技術指導) | 他の事業所の利用状況と、一人暮らしなどへの移行の検討を書く |
| 第210条の6第2項 | 自己決定の尊重を原則とし、困難な場合は意思決定支援 | 本人の意向欄と、意向を確かめた方法を残す |
日中サービス支援型(第213条の11)と外部サービス利用型(第213条の22)も、第58条を準用して同じ手順で計画を作ります。
計画に書く項目とグループホームでの書き方
| 項目 | グループホームで書く中身 | 記入の例 |
|---|---|---|
| 本人の意向 | どんな暮らしをしたいか、住居でしたいこと、将来の住まいの希望 | 例えば「休みの日は自分で昼ごはんを作りたい」「いつかは一人で暮らしたい」 |
| 家族の意向 | 帰省の頻度、健康面の心配、金銭管理についての希望 | 本人の意向と違う点は分けて書く |
| 総合的な支援の方針 | 住居での暮らしの方向性 | 例えば「生活の中でできることを増やし、地域での暮らしを続けられるよう支援する」 |
| 課題 | 食事、服薬、金銭管理、入浴・清潔、夜間の過ごし方、他の入居者との関係、通院 | アセスメントで確かめた事実から書く |
| 目標と達成時期 | 住居でできるようになりたいこと、地域の活動への参加 | 例えば「週1回、職員と一緒に買い物に行き、自分で支払いをする(3か月後)」 |
| 支援の内容 | 誰が、どの時間帯に、何をするか。夜間の支援もここに | 例えば「服薬は夕食後に職員が声をかけ、本人が薬を出して飲むのを確認する」 |
| 留意事項 | 体調の変化のサイン、夜間の不安への対応、緊急時の連絡先 | 夜勤の職員が同じ対応を取れる書き方にする |
| 他のサービスとの連携 | 日中の事業所、相談支援、医療機関、居宅介護 | 例えば「日中の事業所とは連絡帳で毎日、体調と出来事を共有する」 |
アセスメントで何を聞いておくかは、アセスメントシートの項目で詳しく整理しています。グループホームでは、他の事業所への照会(第210条の6第1項第1号)の結果もアセスメントに入れておくと、計画の根拠が一続きになります。
グループホームで特に書き分けたい3つの場面
日中活動との連携
日中に生活介護や就労系のサービスに通っている人は、それぞれの事業所で別に計画があります。グループホームの計画には、日中の事業所の目標と矛盾しない、住まいの場面での支援を書きます。 例えば日中の事業所の目標が「休憩を自分から申し出る」なら、住居では「疲れたときに自分から部屋に戻って休める」など、同じ方向の目標を住まいの場面に置き直します。日中の事業所との連絡調整はサービス管理責任者の業務です(第210条の6第1項第3号)。B型に通っている人の日中の計画の書き方は、B型の個別支援計画の書き方で整理しています。
一人暮らしなど、次の住まいへの希望
第210条の6第1項第2号は、自立した日常生活を営むことができるかを定期的に検討し、できると認められる人には必要な支援を行うことを求めています。本人が一人暮らしを望んでいるなら、その希望を意向欄に書き、長期目標と支援内容に落とし込みます。 退居に向けた支援を加算で算定する場合は、加算の要件で計画の見直しや会議が求められることがあります。厚生労働省のQ&A VOL.1(令和6年3月29日)の問42は、自立生活支援加算に関する会議についても、個別支援会議は原則として本人が同席したうえで行うとしています。
体験利用
入居前の体験利用も、計画に基づいて提供します(第210条の5第3項)。和歌山市が公開している実地指導の指摘事例では、体験利用の計画が無かったことが挙げられ、体験利用でも計画を作り、文書で同意を得るよう注意しています。体験利用の計画には、体験の期間、体験で確かめたいこと(生活リズム、他の入居者との関係、夜間の過ごし方など)、本入居に移るかを判断する方法を書いておきます。
作成から見直しまでの手順
- 利用の申し込みを受けたら、他の事業所への照会で身体・精神の状況とサービスの利用状況を把握する
- 面接してアセスメントを行う
- 原案を作る。夜間の支援と日中の事業所との連携を必ず入れる
- 個別支援会議を開く。原則として本人が同席する。参加の考え方と議事録の残し方は個別支援会議の本人参加を参照
- 本人または家族に説明し、文書で本人の同意を得る
- 本人と相談支援事業所に交付する
- 6か月に1回以上モニタリングし、入院・長期の外泊・日中の事業所の変更などがあれば随時見直す。記録の残し方はモニタリングの頻度と記録で整理しています
指摘されやすい落とし穴
- 入居者全員が同じ計画:第210条の5第1項は、支援が漫然かつ画一的にならないよう求めています。夕食・入浴・服薬の支援を全員同じ文言で書いた計画は、見直しの対象になります
- 夜間の支援が計画に無い:夜間支援等体制加算を算定しているのに、計画に夜間の支援の内容や夜間の不安への対応が書かれていないと、その支援を誰に何のために行っているかを説明しにくくなります
- サービス提供の記録と計画がつながっていない:記録には、外泊や入院をしている場合はその旨を書き、利用者の確認を受けます(和歌山市の資料では、利用者の確認は毎月一括でも可能としています)。実績記録票の入院・外泊の書き方はサービス提供実績記録票の書き方を参照してください
- 代筆の扱い:本人が署名できない場合の代筆は、和歌山市の資料ではサービス管理責任者以外の人が行い、代筆者の氏名と続柄を書くよう示しています
- 上限額管理を忘れる:グループホームは、利用者が他のサービスも使って負担上限月額を超えそうなとき、依頼が無くても上限額管理を行う側になります。手順は上限額管理の進め方で整理しています
まとめ
- グループホームの計画は「共同生活援助計画」。第213条で第58条を準用し、6か月に1回以上見直す
- サービス管理責任者は、他の事業所への照会、自立した生活ができるかの定期的な検討、日中の事業所との連絡調整も行い、その結果を計画に反映する
- 日中活動との連携、一人暮らしなどの希望、体験利用の3つの場面を書き分ける
- 夜間の支援と入院・外泊時の扱いを計画と記録の両方に残す
運営指導で見られる書類の全体像は運営指導(実地指導)の準備、虐待防止の委員会や研修など住居の運営で求められる措置は虐待防止の義務で整理しています。
参照した資料
- e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号。第58条、第210条の5、第210条の6、第213条、第213条の11、第213条の22)(条文)
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日。問42、問80〜問82)(PDF)
- こども家庭庁・厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(障害者関係)」(PDF)
- 和歌山市「実地指導における主な指摘事例(居住系 共同生活援助、施設入所支援)」(PDF)
- 横浜市「個別支援計画を作成するにあたって」(令和6年8月)(PDF)

