障害福祉サービスの人員基準や報酬の人員配置は、ほとんどが「常勤換算方法」で数えます。 常勤換算は、職員が働いた時間の合計を、その事業所の常勤が勤務すべき時間数で割って、常勤何人分にあたるかを出す方法です。

計算そのものは割り算ですが、1人あたりの上限、時短勤務の扱い、兼務の時間の分け方で数字が変わります。数え方を誤ると、基準を満たしていると思っていた月に人員欠如になり、減算や報酬の返還につながります。この記事では、厚生労働省の解釈通知(障発第1206001号、令和7年3月31日一部改正)の条文にもとづいて、計算の方法と迷いやすい点を整理します。


1. 常勤換算の計算式

解釈通知は、常勤換算方法を次のように定めています。

従業者の勤務延べ時間数 ÷ その事業所で常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする)

  • 勤務延べ時間数:その事業所の、指定を受けたサービスに従事する勤務時間の合計です。勤務表上、サービスの提供に従事する時間や、その準備などを行う時間(待機の時間を含む)として明確に位置付けられている時間を数えます
  • 1人あたりの上限:1人の従業者について算入できる時間は、常勤が勤務すべき時間数が上限です。常勤の人が残業しても、1を超えては数えません
  • 常勤が勤務すべき時間数:就業規則などで事業所が定める時間です。週32時間を下回る場合は32時間が基本です

計算の例

常勤が週40時間の事業所で、生活支援員が次のように勤務している場合です。

職員週の勤務時間常勤換算
Aさん(常勤)40時間(残業で週44時間の週もある)1.0
Bさん(非常勤)24時間0.6
Cさん(非常勤)20時間0.5
Dさん(非常勤)16時間0.4
合計2.5

Aさんの残業分は上限を超えるので数えません。月単位で計算する様式では、月の勤務時間の合計を、常勤の月の勤務時間数で割ります。週か月か、4週か暦月かは、指定権者の勤務形態一覧表の様式に従います。


2. 時短勤務と休業の扱い

短時間勤務は30時間で1と扱える

次の措置が講じられている職員は、週30時間以上の勤務で、常勤換算の計算上1として扱うことができます。

  • 男女雇用機会均等法第13条第1項の母性健康管理措置
  • 育児・介護休業法第23条第1項・第3項、第24条による所定労働時間の短縮等の措置
  • 厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に沿って事業者が自主的に設ける所定労働時間の短縮措置

常勤の要件についても、これらの措置が講じられている人は、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合に、例外的に常勤が勤務すべき時間数を30時間として扱えます。

常勤の人が産休・育休を取ったとき

人員基準に常勤要件がある職種で、常勤の人が産前産後休業・育児休業・介護休業などを取っている期間は、同じ資質を持つ複数の非常勤の人を常勤換算で合わせることで、人員基準を満たすことができます。例えば、常勤のサービス管理責任者が育児休業に入る場合でも、要件を満たす非常勤の人を複数置けば、その期間の常勤要件を満たせる扱いです。対象になる職種と必要な書類は、指定権者に確かめてください。


3. 兼務と併設事業所の扱い

兼務の時間は分けて数える

常勤換算の勤務延べ時間数は、その事業所のサービスに従事する時間だけです。管理者とサービス管理責任者、生活支援員と職業指導員のように1人が複数の職務に当たる場合は、勤務表で時間を職務ごとに分け、それぞれの職種の常勤換算に入れます。同じ時間を2つの職種で重ねて数えることはできません。

併設事業所の常勤

同じ事業者が運営する併設事業所(同一敷地内または道路を隔てて隣接する事業所。管理者は、管理上支障がなければその他の事業所も含む)の職務で、同時並行で行っても差し支えないものは、それぞれの勤務時間の合計が常勤の時間に達していれば「常勤」を満たします。 解釈通知は、生活介護事業所とB型事業所が併設されていて、両方の管理者を兼ねる人の勤務時間の合計が所定の時間に達していれば常勤要件を満たす、という例を挙げています。

ここで満たされるのは「常勤」の要件です。常勤換算の人数は、それぞれの事業所で従事した時間で別々に数えます。

「専従」との違い

「専ら従事する」「専従」は、原則としてサービス提供時間帯を通じて、そのサービス以外の職務に従事しないことです。常勤・非常勤は問いません。専従が求められる職種で兼務を入れる場合は、基準の「ただし、利用者の支援に支障がない場合はこの限りでない」などの例外に当たるかを、指定権者に確かめます。


4. 利用者数の「前年度の平均値」

人員の必要数は、多くのサービスで利用者の数(前年度の平均値)から出します。

  • 計算:前年度(4月1日から3月31日)の利用者延べ数 ÷ 開所日数
  • 端数:小数点第2位以下を切り上げる
  • 生活介護:所要時間3時間未満〜5時間未満の報酬を算定した利用者は利用者数に2分の1を、5時間以上7時間未満は4分の3を掛けて延べ数を出します
前年度の実績利用者の数の扱い
新設・増床から6か月未満利用定員の90%
6か月以上1年未満直近6か月の延べ数 ÷ その期間の開所日数
1年以上直近1年間の延べ数 ÷ その期間の開所日数
減床(定員の減少を含む)の後、3か月以上の実績減床後の直近3か月の延べ数 ÷ その期間の開所日数

例:B型・前年度の延べ4,523人・開所日数245日

4,523÷245=18.46… → 小数点第2位以下を切り上げて18.5人。職業指導員と生活支援員の総数は、基準の10:1なら18.5÷10=1.85人以上、報酬の6:1なら18.5÷6=約3.08人以上が要ります。職種ごとの基準は「職業指導員と生活支援員の配置」で整理しています。


5. 勤務形態一覧表を作るときの注意

  1. 勤務表と実際の勤務を合わせる:数えられるのは、勤務表で位置付けられた時間です。勤務表と実際の勤務が離れていないかは、運営指導で出勤簿やタイムカードと突き合わせて確かめられます。
  2. 職務ごとに時間を分ける:兼務の人は、職務ごとの時間を勤務表に書き分けます。
  3. 上限を超えて数えない:常勤の人の残業は1を超えません。
  4. 時短勤務の根拠を残す:30時間で1と扱う人は、育児・介護休業法などの措置であることを就業規則や申出の書類で示せるようにします。
  5. 毎月確かめる:退職・休職・利用者数の増加で、基準や報酬の人員配置を割り込んでいないかを毎月見ます。割り込んだときの減算は「障害福祉の減算一覧」を参照してください。

落とし穴

  • 常勤の人の残業時間まで足して、1.2などと数えている
  • 管理者兼サービス管理責任者の時間を、生活支援員にも重ねて数えている
  • 時短勤務の人を、措置の根拠がないのに30時間で1と数えている
  • 利用者数を定員で計算し、前年度の平均値で見直していない

チェックリスト

  • 事業所の常勤が勤務すべき時間数(週または月)を就業規則で確かめた
  • 1人の算入時間を、常勤の時間数で頭打ちにしている
  • 兼務の人の時間を、職務ごとに分けて記入している
  • 30時間で1と扱う人の措置の根拠を保管している
  • 前年度の利用者延べ数と開所日数から、平均値を小数点第2位以下切り上げで出した

6. まとめ

  • 常勤換算=勤務延べ時間数 ÷ 常勤が勤務すべき時間数(週32時間を下回る場合は32時間が基本)
  • 1人が数えられるのは1.0まで。残業分は数えない
  • 育児・介護・治療のための短時間勤務は、週30時間以上で1と扱える
  • 兼務は時間を職務ごとに分ける。併設事業所の兼務は、合計で常勤の要件を満たせる
  • 利用者数は前年度の延べ数÷開所日数で、小数点第2位以下を切り上げる

常勤換算の端数の扱いや、勤務形態一覧表の様式は、指定権者によって違うことがあります。所在地の都道府県・市の案内で確かめてください。

参考資料

  • 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成18年12月6日障発第1206001号)令和7年3月31日一部改正 新旧対照表: https://www.mhlw.go.jp/content/001494357.pdf
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)(e-Gov 法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171