障害福祉サービスの上限額管理は、複数の事業所を使う利用者の1か月の利用者負担額の合計が、受給者証の負担上限月額を超えないように、1つの「上限額管理事業所」が他の事業所(関係事業所)の負担額を集めて調整する仕組みです。関係事業所はサービス提供月の翌月3日までに「利用者負担額一覧表」を上限額管理事業所に出し、上限額管理事業所は「利用者負担上限額管理結果票」を作って利用者の確認を受け、翌月6日までに関係事業所に送ります。

誰が上限額管理事業所になるかは、国の事務処理要領が順番を決めています。グループホームなどの居住系サービスは、利用者から依頼が無くても上限額管理事業所になります。 日中活動系や訪問系は、利用者からの依頼に基づいて引き受けます。

この記事は、令和6年度報酬改定・令和8年6月の見直しを踏まえ、厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」(令和8年7月版)の「第6 利用者負担の上限額管理事務」に沿って整理しています。


上限額管理が必要になる仕組み

対象になる人

事務処理要領は、支給決定のときに定率負担が負担上限月額を超える可能性があると市町村が認定した人のうち、次の人を上限額管理の対象としています。

  • 同じ月に、事業所番号が異なる複数の事業所からサービスを使う人(月の途中で事業所を変えた場合を含む)
  • 同じ保護者の複数の障害児の場合(複数障害児)で、1つの事業所からサービスを使う人

市町村は、対象者の受給者証の「利用者負担上限額管理対象者該当の有無」欄に「該当」などと書き、依頼届出書を渡します。受給者証のこの欄を契約時に必ず確かめることが、上限額管理の出発点です。

負担上限月額

厚生労働省・こども家庭庁「障害福祉サービス・障害児通所支援等の利用者負担認定の手引き」(令和8年6月版)の負担上限月額は次のとおりです。

所得区分負担上限月額
生活保護0円
低所得(低所得1・2)0円
一般1(居宅で生活する障害者、20歳未満の施設入所者など)9,300円
一般1(居宅で生活する障害児)4,600円
一般237,200円

上限額管理事業所の決まり方

事務処理要領は、提供するサービスの量、利用者との関係、サービス管理責任者の配置、事務処理の体制などを総合的に考えて、次の順番で上限額管理事業所を決めるとしています。

順番上限額管理事業所になる事業所依頼の要否
1居住系:療養介護、障害者支援施設、宿泊型自立訓練、共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型・外部サービス利用型。体験利用を除く)など依頼なしでなる
2計画相談支援の継続サービス利用支援の期間が「毎月ごと」の人:指定特定相談支援事業所依頼なしでなる
3日中活動系と就労選択支援:生活介護、自立訓練、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型・B型。複数ある場合は原則として契約日数の多い事業所利用者の依頼に基づく
4訪問系:居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援。複数ある場合は要領の優先順位、同順位は原則として契約時間数の多い事業所利用者の依頼に基づく
5就労定着支援・自立生活援助利用者の依頼に基づく
6短期入所:複数ある場合は原則としてその月に最後に提供した事業所利用者の依頼に基づく
7共同生活援助の体験利用:複数ある場合は原則としてその月に最後に提供した事業所利用者の依頼に基づく

事務処理要領は、どの場合も、事業者が契約のときに上限額管理の趣旨・決まり方・事務の概要を利用者に説明し、上限額管理事業所になることを含めて合意しておくことが適当としています。グループホームの計画と合わせた考え方はグループホームの個別支援計画の書き方でも触れています。


市町村への届出

  1. 上限額管理事業所に決まった事業所は、利用者に説明して合意し、「利用者負担上限額管理事務依頼(変更)届出書」の事業者記入欄を書いて利用者に渡す
  2. 利用者が、届出書と受給者証を支給決定をした市町村に出す
  3. 市町村が受給者証の「利用者負担上限額管理事業所名」欄に事業所名を書いて返す
  4. 利用者が、上限額管理事業所と関係事業所に受給者証を見せて報告する

届出の後に新しい事業所と契約した場合は、その事業所が受給者証に契約内容を書き、受給者証に書かれた上限額管理事業所に連絡します。複数障害児の場合は、受給者証の特記事項欄に「上限額管理対象者(複数障害児)」と、合算の対象となる他の障害児の氏名・受給者証番号が書かれます。


毎月の流れ

期限上限額管理事業所関係事業所
月中自分の事業所だけで負担上限月額に達したら、その時点で関係事業所に「一覧表は不要」と通知する通知があれば一覧表は出さない
翌月3日まで一覧表の提出を依頼する事業所番号単位で負担額を計算し、「利用者負担額一覧表」を出す
翌月6日まで「利用者負担上限額管理結果票」を作り、利用者の確認を受けて、関係事業所に送る結果票を受け取る
請求のとき明細書に実績記録票と結果票を付けて請求する明細書に実績記録票と結果票を付けて請求する

実績記録票の書き方はサービス提供実績記録票の書き方、請求全体の流れは国保連への請求の流れで整理しています。

結果票の「管理結果」の書き分け

番号意味書き方の要点
1上限額管理事業所で負担額を充当したため、他の事業所の負担は発生しない関係事業所の総費用額・負担額の記載は要らない
2負担額の合計が負担上限月額以下のため、調整しない「管理結果」欄の記載は要らない
3負担額の合計が負担上限月額を超えるため、調整した徴収の順番に沿って各事業所の管理結果後の負担額を書く

徴収の順番

合計が負担上限月額を超えるときは、次の順番で、上位の事業所から負担上限月額に達するまで負担額を徴収する形で調整します。

  1. 上限額管理事業所(指定特定相談支援事業所が管理する場合は2以降の順)
  2. 日中活動系サービスを提供した事業所
  3. 訪問系サービスを提供した事業所
  4. 就労定着支援・自立生活援助を提供した事業所
  5. 短期入所を提供した事業所
  6. 共同生活援助(体験利用に限る)を提供した事業所

同じ順番に複数の事業所がある場合は、原則として総費用額の多い順です。


利用者負担上限額管理加算

令和8年6月施行の報酬算定構造では、利用者負担上限額管理加算は1回につき150単位、月1回を限度です。上限額管理事業所の総費用額には、この加算を含めて計上します。基準該当事業所は、運用で上限額管理を行っても加算を算定できません。


落とし穴

  • 受給者証の上限額管理事業所名と違う事業所番号で結果票を出す:国保連の審査で、受給者台帳の上限額管理事業所番号と合わないエラーになります
  • 結果票を「新規」と「修正」で取り違える:一度送った結果票を直すときの区分を誤るとエラーになります。エラーの読み方は国保連の返戻とエラーコードで整理しています
  • 関係事業所の漏れ:結果票に載っていない事業所が明細書を出すと、警告やエラーの原因になります。月の途中に契約した事業所を必ず確かめます
  • 利用者の確認を省く:事務処理要領は、結果票の内容について利用者に確認を求めるとしています

まとめ

  • 上限額管理は、複数の事業所を使う利用者の負担を負担上限月額に収める仕組み。対象かどうかは受給者証で確かめる
  • 居住系と「毎月ごと」の計画相談の事業所は依頼なしで管理事業所になり、それ以外は利用者の依頼に基づく
  • 関係事業所は翌月3日までに一覧表、管理事業所は翌月6日までに結果票を送る
  • 結果票は1(充当)・2(上限以下)・3(調整)で書き分け、調整は決められた順番で行う
  • 加算は1回150単位・月1回まで

運営指導で請求の書類がどう確かめられるかは、運営指導(実地指導)の準備で整理しています。


参照した資料

  • 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」(令和8年7月版。第6 利用者負担の上限額管理事務)(掲載ページ、PDF)
  • 厚生労働省・こども家庭庁「障害福祉サービス・障害児通所支援等の利用者負担認定の手引き」(令和8年6月版)(PDF)
  • 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬算定構造」(令和8年6月施行)(PDF)
  • 大阪府国民健康保険団体連合会「エラーコード対応マニュアル」(PDF)