障害福祉サービス等の事業者は、毎会計年度の終了後3か月以内に、事業所ごとの収益と費用、職種別の人員数などの「経営情報」を、都道府県知事に報告する義務があります(障害者総合支援法第76条の3、同法施行規則第65条の9の7・第65条の9の8)。報告は、障害福祉サービス等情報公表システムで行います。

経営情報の報告は、従来からある情報公表(サービスの内容や運営の状況)の報告に加わったもので、報告しなければ情報公表未報告減算の対象になります。決算のたびに求められる作業なので、決算の手順に組み込んでおく必要があります。この記事では、条文と厚生労働省の留意事項通知、都道府県の案内をもとに、期限と報告する項目、減算の扱いを整理します。


1. 報告の根拠と期限

項目内容根拠
報告の義務情報公表対象サービス等情報を、事業所の所在地の都道府県知事に報告する障害者総合支援法第76条の3第1項
報告する時提供を始めるとき、都道府県知事が定めるとき、毎会計年度の終了後同法施行規則第65条の9の6
経営情報の期限毎会計年度の終了後3か月以内同 第65条の9の7第1項
経営情報の内容基本情報、収益及び費用の内容、職種別人員数その他の人員に関する事項、その他必要な事項同 第65条の9の8第3号
公表都道府県知事が調査・分析し、その結果を公表する(経営情報そのものは公表の対象外)同 第65条の9の9
障害児通所支援同じく情報公表対象支援情報を報告する児童福祉法第33条の18

令和6年度決算の経過措置

栃木県などの案内では、令和6年度決算(令和6年中に始まった会計年度)の分は、経過措置として令和8年3月31日までに報告することとされていました。令和7年度決算からは、会計年度の終了後3か月以内です。3月決算の法人なら、6月末までが目安になります。


2. 報告する項目

都道府県の案内によると、報告する項目は次のとおりです。

項目必須か中身
事業所の基本情報必須名称、所在地など
収益と費用の内容必須事業所ごとの損益計算書などの内容(サービス活動収益、人件費、事業費、事務費など)
職種別の人員数必須職種ごとの人数
職種別の給与任意職種ごとの給与の額
職員1人あたりの賃金任意1人あたりの賃金

報告の画面と入力の単位(会計の区分、按分の考え方)は、情報公表システムの操作マニュアルと、都道府県の案内で確かめます。

準備しておくこと

  • 事業所ごとの会計の区分:法人全体の決算書だけでは、事業所ごとの収益と費用を出せません。社会福祉法人会計基準や、障害福祉サービスの会計の区分の考え方に沿って、事業所(サービス)ごとに区分しておきます
  • 共通経費の按分:本部費や、複数の事業所で共有する家賃・人件費は、按分の基準(人数・面積・時間など)を決めて毎年同じ方法で配ります
  • 職種ごとの人数:勤務形態一覧表や給与台帳から、決算期の職種ごとの人数を出します。常勤換算の考え方は「障害福祉の常勤換算」で整理しています

3. 報告しないときの減算

令和6年度の報酬改定で、情報公表未報告減算が新設されました。留意事項通知の定めは次のとおりです。

区分減算の割合
療養介護、施設入所支援、共同生活援助、宿泊型自立訓練、障害者支援施設が行う日中のサービスなど所定単位数の10%
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、短期入所、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援、計画相談支援、児童発達支援、放課後等デイサービスなど所定単位数の5%
  • 期間:報告を行っていない事実が生じた月の翌月(事実が生じた日が月の初日ならその月)から、報告していない状況が解消した月まで
  • 対象:その事業所の利用者全員
  • 計算:各種加算の前の所定単位数に対して減算します(複数の減算がある場合は、ほかの減算の後の単位数に対して)

栃木県の案内では、令和6年度決算の経営情報を期限までに報告しない場合、令和8年4月1日にさかのぼって減算の対象になるとされています。さらに、指定の更新の申請があったとき、都道府県知事は情報公表の報告がされていることを確かめます。更新の流れは「障害福祉の指定更新」を参照してください。

減算の全体は「障害福祉の減算一覧」で整理しています。


4. 報告の手順

  1. 決算の確定:法人の決算を確定させ、事業所ごとの会計の区分を締めます。
  2. 按分と集計:共通経費を按分し、事業所ごとの収益・費用と職種別の人数をまとめます。
  3. 情報公表システムにログインする:障害福祉サービス等情報公表システム(WAM NET)の事業者用の画面から入ります。ID とパスワードは担当者が交代しても引き継げるように管理します。
  4. 経営情報を入力して報告する:必須の項目を入力し、報告を完了させます。
  5. 報告の完了を確かめる:報告の状態が完了になっているかを確かめ、控えを保管します。
  6. 情報公表の定期の報告も確かめる:経営情報とは別に、サービスの内容や運営状況の報告(都道府県知事が定める時期)も済んでいるかを確かめます。

落とし穴

  • 経営情報を従来の情報公表の報告と同じものと思い込み、決算後の報告を出していない
  • 法人全体の決算書しかなく、事業所ごとの収益・費用を出せない
  • 情報公表システムのID とパスワードが前任者のままで、期限直前にログインできない
  • 報告を入力の途中で止め、完了になっていない

チェックリスト

  • 自法人の会計年度の終了日から、3か月以内の報告期限を決算の日程に入れた
  • 事業所(サービス)ごとの会計の区分と、共通経費の按分の基準を決めている
  • 職種別の人数を、決算期に合わせて出せる
  • 情報公表システムのログイン情報を、法人で管理している
  • 報告の完了を画面で確かめ、控えを保管している

5. まとめ

  • 経営情報は、毎会計年度の終了後3か月以内に、情報公表システムで都道府県知事に報告する(施行規則第65条の9の7)
  • 報告するのは、基本情報、事業所の収益・費用、職種別の人員数(職種別の給与などは任意)
  • 経営情報は事業所ごとには公表されず、都道府県が分析した結果が公表される
  • 報告しないと情報公表未報告減算(5%、共同生活援助などは10%)。指定の更新でも確かめられる

報告の受付期間、入力の単位、操作の手順は、都道府県ごとの案内と情報公表システムのマニュアルで確かめてください。

参考資料