児童発達支援(児発)の加算は、どの職員がいるかで取れるものが決まる加算と、職員の配置を問わず、やったことに応じて取れる加算の2つに分けると整理しやすくなります。前者は採用の計画と結び付けて考え、後者は計画と記録を整えて取りこぼしを無くす、というのが基本の順番です。
目安は次のとおりです。基準の人員に加えて保育士・児童指導員を1人以上置けるなら児童指導員等加配加算。5年以上の経験がある保育士・児童指導員や、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員などを常勤換算で1以上加えられるなら専門的支援体制加算。専門職がいれば、加配でなくても専門的支援実施加算が計画次第で取れます。そのうえで、家族支援加算・欠席時対応加算・関係機関連携加算のような配置の要らない加算を落とさないようにします。
この記事の単位数は、こども家庭庁が公表している令和8年度の障害児通所支援の報酬算定構造と、障害児通所支援の留意事項通知(平成24年3月30日障発0330第16号、最終改正はこ支障第88号(令和8年3月31日))で確かめました。対象は児童発達支援センター以外の児発事業所で、主として重症心身障害児を通わせる事業所以外の場合です。放課後等デイサービスの加算は放課後等デイサービスの加算一覧で扱っています。
1. 仕組み:加算は2つのまとまりで考える
| まとまり | 主な加算 | 決まり方 |
|---|---|---|
| 人員の配置で決まる加算(体制加算) | 児童指導員等加配加算、専門的支援体制加算、福祉専門職員配置等加算、医療連携体制加算など | 配置と届出があれば、利用した日ごとに算定 |
| 支援の実施で決まる加算 | 専門的支援実施加算、家族支援加算、子育てサポート加算、欠席時対応加算、関係機関連携加算、延長支援加算、送迎加算など | 計画に位置づけて行い、記録があるときに算定 |
体制加算は、職員が辞めたり勤務時間が減ったりすると、区分が下がったり要件を満たさなくなったりします。変更の届出を忘れると、後で返還になるのはこのまとまりです。
2. 人員体制から逆算する:誰がいれば何に届くか
2-1. 児童指導員等加配加算
基準で必要な員数(専門的支援体制加算を取っている場合は、その加算に必要な員数を含む)に加えて、児童指導員等またはその他の従業者を1以上配置した場合に算定します。単位数は、経験年数(5年以上・5年未満)、配置の形(常勤専従・常勤換算)、利用定員で決まります(1日につき)。
| 配置の形 | 定員10人以下 | 11人以上20人以下 | 21人以上 |
|---|---|---|---|
| 常勤専従・経験5年以上 | 187単位 | 125単位 | 75単位 |
| 常勤専従・経験5年未満 | 152単位 | 101単位 | 59単位 |
| 常勤換算・経験5年以上 | 123単位 | 82単位 | 49単位 |
| 常勤換算・経験5年未満 | 107単位 | 71単位 | 43単位 |
| その他の従業者 | 90単位 | 60単位 | 36単位 |
児童指導員等には、児童指導員・保育士のほか、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、心理担当職員などが含まれます。経験年数の数え方や常勤専従の考え方は児童指導員等加配加算の要件で詳しく書いています。
2-2. 専門的支援体制加算
基準で必要な員数(児童指導員等加配加算を取っている場合は、その加算に必要な員数を含む)に加えて、理学療法士等を常勤換算で1以上配置した場合に算定します。単位数は定員10人以下123単位、11人以上20人以下82単位、21人以上49単位です(1日につき)。
ここでいう理学療法士等は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、保育士・児童指導員として5年以上児童福祉事業に従事した人、心理担当職員、視覚障害児支援担当職員です。加配加算と違い、保育士・児童指導員の経験は資格取得・任用の後の児童福祉事業の経験に限られ、特別支援学校などでの教育の経験は含みません。
2-3. 専門的支援実施加算
理学療法士等が、子どもごとの専門的支援実施計画を作り、それに沿って5領域のうち特定の領域に重点を置いた支援を行った場合に、1回150単位を算定します。回数は原則月4回までです。理学療法士等は単なる配置でよく、基準の人員や加配の職員でも構いません。支援した日時と内容の要点を子どもごとに記録します。
2-2と2-3の違い、個別サポート加算との組み合わせは個別サポート加算と専門的支援加算の解説にまとめています。
2-4. そのほかの体制加算
- 福祉専門職員配置等加算:(Ⅰ)15単位、(Ⅱ)10単位、(Ⅲ)6単位(1日につき)。例えば(Ⅰ)は、常勤の直接処遇職員のうち社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・公認心理師の割合が100分の35以上であることが要件です。区分ごとの要件は福祉専門職員配置等加算の要件で確かめられます。
- 医療連携体制加算:看護職員が訪問して看護を行った場合などに、(Ⅰ)32単位から区分に応じて算定します。区分と書類は医療連携体制加算の区分と書類で扱っています。
- 強度行動障害児支援加算:強度行動障害支援者養成研修(実践研修)の修了者を配置し、支援計画シート等に基づいて強度の行動障害のある子どもを支援した場合に1日200単位(算定を始めた日から90日以内は+500単位)。詳しくは強度行動障害児支援加算の算定要件にあります。
3. 配置を問わず、やったことで取れる加算
| 加算 | 単位数 | 主な条件 |
|---|---|---|
| 家族支援加算(Ⅰ)個別 | 300・200・100・80単位 | 計画に位置づけた家族への相談援助。月4回まで |
| 家族支援加算(Ⅱ)グループ | 80・60単位 | 2〜8人の組での相談援助。月4回まで |
| 子育てサポート加算 | 80単位 | 家族が支援場面を観察・参加し、相談援助。月4回まで |
| 欠席時対応加算 | 94単位 | 急な欠席の連絡調整と相談援助の記録。月4回まで(重心児の支援で定員充足率80%未満の場合は月8回まで) |
| 関係機関連携加算 | (Ⅰ)250(Ⅱ)200(Ⅲ)150(Ⅳ)200単位 | 学校・保育所・児童相談所などとの会議。(Ⅰ)〜(Ⅲ)は月1回 |
| 事業所間連携加算 | (Ⅰ)500(Ⅱ)150単位 | セルフプランで複数事業所を使う子どもについての事業所間の連携 |
| 保育・教育等移行支援加算 | 500単位 | 保育所などへの移行に向けた会議・訪問など |
| 延長支援加算 | 61・92・123単位(重心・医ケア児は128・192・256単位) | 計画の支援時間5時間を超える延長を計画に位置づける |
| 個別サポート加算 | (Ⅰ)120(Ⅱ)150単位 | (Ⅰ)は著しく重度の障害のある子ども、(Ⅱ)は要保護・要支援の子どもへの支援 |
| 視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算 | 100単位 | 重度の視覚・聴覚・言語機能の障害のある子どもに、意思疎通の専門性のある人材を配置して支援 |
| 集中的支援加算 | 1,000単位 | 状態が悪化した強度行動障害の子どもに、広域的支援人材が訪問またはオンラインで集中的に支援。月4回まで |
| 入浴支援加算 | 55単位 | 入浴の支援。月8回まで |
| 送迎加算 | 片道54単位 | 医療的ケア児などは上乗せあり |
| 利用者負担上限額管理加算 | 150単位 | 上限額の管理。月1回 |
詳しい要件は、家族支援加算の要件、関係機関連携加算の要件、延長支援加算の要件と単位数で整理しています。欠席時対応加算は欠席時対応加算の算定要件と記録、送迎加算は送迎加算の算定ルールが詳しい解説です。
4. 放課後等デイサービスと違うところ
- 延長支援加算の前提の時間:児発は計画の支援時間5時間を超える延長が対象です。放デイの授業のある日は3時間が前提になります。
- センターだけの加算:食事提供加算(令和9年3月31日まで)、栄養士配置加算、中核機能強化加算は児童発達支援センターの加算です。児発事業所には、市町村が地域の中核拠点として位置づけた事業所が算定する中核機能強化事業所加算があります。
- 新規指定の減額の率:令和8年6月1日以降に新たに指定を受けた児発事業所は、基本報酬が1000分の988(放デイは1000分の982)になります。減額から外れる子ども・事業所の条件は令和8年度の報酬改定の解説で確かめてください。
処遇改善加算は率で加算するもので、区分ごとの率は処遇改善加算の加算率にまとめています。
5. 打ち手:採用と届出の順番
- 今の体制で届いている加算を洗い出す。勤務表から、基準の人員を満たしたうえで余っている常勤換算を出します。
- 余りの職員をどちらに数えるか決める。保育士・児童指導員なら加配加算、5年以上の経験者や専門職なら専門的支援体制加算も候補です。同じ職員を両方に数えることはできません。
- 採用で届く加算を決めてから求人を出す。例えば定員10人の事業所で常勤専従・経験5年以上の保育士を加配できれば、1日187単位の加配加算の候補になります。
- 届出の締切から逆算する。15日以前の届出で翌月から算定です。
- 配置の要らない加算の仕組みを作る。家族支援・関係機関連携は計画に書く欄を作り、欠席時対応は電話の記録の型を決めます。
6. 落とし穴
- 加配の職員が辞めたのに区分を変えていない:体制加算は変更の届出が要ります。
- 専門的支援体制加算の経験年数に、特別支援学校での教育経験を入れている:この加算の経験には含まれません。
- 専門的支援実施加算で計画が無い:専門的支援実施計画と記録が無ければ、専門職が関わっても算定できません。
- 家族支援加算の計画が「必要に応じて」:計画に位置づけた相談援助であることを示せる書き方にします。
運営指導の前の点検には運営指導の自己点検チェックリストが使えます。要件の細かい運用は指定権者によって違う場合があるので、届出の前に指定権者の資料や窓口で確かめてください。
まとめ
- 児発の加算は、人員の配置で決まる加算と、実施で決まる加算に分けて考える
- 保育士・児童指導員の加配は児童指導員等加配加算(定員10人以下で最大187単位)、5年以上の経験者・専門職の常勤換算1以上は専門的支援体制加算(同123単位)
- 専門的支援実施加算は、加配でなくても専門職がいて計画と記録があれば算定できる
- 家族支援・欠席時対応・関係機関連携などは、計画と記録の型を作って取りこぼさない
- 令和8年6月以降の新規指定は基本報酬が1000分の988。加算の単位数は変わらない
参考資料
- こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」:https://www.cfa.go.jp/policies/shougaijishien/shisaku/r8hoshukaitei
- こども家庭庁「令和8年度 障害児通所支援 報酬算定構造」:https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/2c5e1bb4-ee80-462b-992f-06f0d8c9b774/dd354230/20260326_policies_shougaijishien_shisaku_r8hoshukaitei_03.pdf
- こども家庭庁「障害児通所支援の留意事項通知」(令和8年4月2日時点の全文):https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/2c5e1bb4-ee80-462b-992f-06f0d8c9b774/4aacbf83/20260402_policies_shougaijishien_shisaku_r8hoshukaitei_17.pdf
- こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定に関するQ&A VOL.1(令和8年3月31日)」:https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/2c5e1bb4-ee80-462b-992f-06f0d8c9b774/bdde9194/20260401_policies_shougaijishien_shisaku_r8hoshukaitei_04.pdf
- こども家庭庁「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について」:https://www.cfa.go.jp/policies/shougaijishien/shisaku/hoshukaitei

