延長支援加算は、子どもごとの計画に書いた支援の時間を超えて、あらかじめ計画に位置づけた延長支援を行ったときに算定する加算です。前提となる支援の時間は、児童発達支援(児発)が5時間、放課後等デイサービス(放デイ)の授業のある日が3時間です。延長の時間は1時間以上で計画に書き、実際に延長した時間で61単位・92単位・123単位の区分が決まります(重症心身障害児・医療的ケア児は128・192・256単位)。

「計画に書いていない日にたまたま長く預かった」だけでは、原則として算定できません。緊急の預かりは算定できる場合がありますが、理由と時間の記録が要ります。以下、根拠と数え方を順に整理します。根拠は、障害児通所支援の留意事項通知(平成24年3月30日障発0330第16号、最終改正はこ支障第88号(令和8年3月31日))の第二の2の(1)の⑮(放デイは(3)の⑮で準用)と、こども家庭庁の令和6年度報酬改定Q&A(VOL.3、令和6年5月2日)です。


1. 仕組み:何を評価する加算か

令和6年度の報酬改定で、基本報酬が支援の時間で分かれる形になりました。延長支援加算は、その基本の支援時間を超えて支援した分を評価します。

  • 留意事項通知は、計画に定める標準的な発達支援時間を5時間とし、その時間に加えて延長支援時間を計画にあらかじめ位置づけている子どもについて、支援の前後の時間帯に延長支援を行った場合に算定する、としています。
  • Q&A(VOL.3 問2)は、この支援時間を「5時間(放デイ平日は3時間)」と示しています。
  • 延長支援加算は基本報酬があっての加算です。基本報酬を算定できない日に、延長支援加算だけを算定することはできません。

基本報酬の区分と計画の時間の関係は放デイの時間区分の決め方で詳しく書いています。


2. 単位数(令和8年度)

令和8年度の報酬算定構造で、児発・放デイ(主として重症心身障害児を通わせる事業所以外)の延長支援加算は次のとおりです(1日につき)。

延長した時間障害児(重心・医ケア児を除く)重症心身障害児・医療的ケア児
30分以上1時間未満61単位128単位
1時間以上2時間未満92単位192単位
2時間以上123単位256単位

30分以上1時間未満の区分は、利用者の都合などで延長の時間が計画より短くなった場合に限って算定できます。計画の段階で1時間未満の延長を組むことはできません。

主として重症心身障害児を通わせる事業所、共生型、基準該当の事業所は、別の形で算定します。運営規程の営業時間が8時間以上で、営業時間の前後に支援を行った場合に、延長に要した時間に応じて算定する形です。子どもの実際の利用時間は問われません。この形では、保育所など一般の子育て支援の受け皿が足りないなどのやむを得ない理由があり、原則としてその理由が障害児支援利用計画に書かれていることが求められます。これらの事業所の区分と単位数は、算定構造で確かめてください。


3. 要件のチェックリスト

留意事項通知の要件を、点検しやすい形に並べます。

項目内容
延長が必要な理由子どもの状態、家族の事情、保育所など一般の子育て支援での受け入れ先の不足など
計画への位置づけ延長が必要な理由と延長の時間を通所支援計画に書く
保護者の同意計画に位置づける前に同意を得る
延長の長さ1時間以上で設定。支援の前後の両方で延長するなら、前・後それぞれ1時間以上
送迎の時間延長の時間に含めない
人員配置延長の時間帯の子どもが10人以下なら従業者2人以上。10人を超えたら、10人またはその端数ごとに1人を加える(例えば23人なら4人)
基準上の従業者上の人数のうち1人以上は、基準で配置する従業者(児発管を含む)
医療的ケア児延長の人員のうち看護職員を1人以上(喀痰吸引等だけが必要な子どもだけなら認定特定行為業務従事者でも可)
営業時間運営規程の営業時間が6時間以上
記録子どもに提供した延長の時間を記録する

4. 区分の数え方:よくある場面

区分は実際に延長した時間で決めるのが基本です。ただし実際の延長が計画より長くなっても、計画に書いた延長の時間が上限です。

場面算定
計画どおり後ろに1時間延長92単位
計画は1時間だが、実際は1時間40分預かった計画の1時間で92単位
計画は1時間だが、保護者の迎えが早く40分で帰った利用者の都合なので30分以上1時間未満の61単位
前に1時間・後ろに1時間延長合計2時間で123単位(92単位を2回ではない)
前後に1時間ずつの計画で、利用者の都合で前が20分・後ろが30分になった合計50分なので30分以上1時間未満の61単位
利用者の都合で支援の開始が遅れ、後ろの延長は計画どおり行った基本報酬は計画の時間、延長は計画の時間を基準に実際の時間で算定
支援の前の延長の途中で体調不良で帰り、本来の支援を受けなかった延長支援加算は算定できない(欠席時対応加算を検討)

前後の合計で数える点(Q&A VOL.3 問4)と、利用者の都合で開始が遅れた場合の扱い(同 問1)は、請求ソフトの設定と食い違いやすいところです。


5. 打ち手:計画・勤務表・記録を揃える

  1. 延長が必要な子どもを洗い出す。保護者の就労の時間や、預け先が無い事情を聞き取り、延長の理由を計画に書ける形にします。
  2. 計画に理由と時間を書き、同意を得る。「17時30分〜18時30分(1時間)」のように時間を書きます。
  3. 延長の時間帯の勤務表を作る。延長を使う子どもの最大人数から必要な従業者の数を出し、基準上の従業者が1人以上入るようにします。医療的ケア児がいる日は看護職員も入れます。
  4. 日々の記録に延長の実時間を残す。前後に分かれる場合は前と後ろを分けて書きます。
  5. 急な延長は理由と時間を記録する。計画で延長を位置づけている子どもについて、延長の設定が無い日に緊急の預かりが必要になった場合は算定できます。急な延長が続くなら、計画を見直します。

6. 落とし穴

  • 計画に延長の時間を書いていない:理由も時間も無ければ、長く預かっても算定できません。
  • 延長を1時間未満で計画している:30分以上1時間未満の区分は、利用者の都合で短くなった場合だけです。
  • 前後の延長を別々に算定している:合計して1つの区分で算定します。
  • 延長の時間帯の人員が足りない:子どもが少ない時間帯でも2人以上が要ります。職員が1人になる時間があると要件を満たしません。
  • 送迎の時間を延長に含めている:送迎は延長の時間に入りません。
  • 営業時間が6時間未満:営業時間が短い事業所は、この形での算定ができません。

算定要件を満たしていなかった場合は、過誤調整で返還することになります。運営指導に向けた点検は運営指導の自己点検チェックリスト、放デイの加算全体は放課後等デイサービスの加算一覧で確かめられます。延長の必要性の判断や、緊急の預かりの範囲などは指定権者の運用で差が出ることがあるので、迷うときは指定権者に確認してください。


まとめ

  • 延長支援加算は、計画の支援時間(児発5時間、放デイの平日3時間)を超える延長を評価する
  • 延長の理由と時間を計画に書き、保護者の同意を得る。延長は1時間以上で設定する
  • 区分は実際の延長時間で決まるが、計画の時間が上限。前後の延長は合計で1つの区分
  • 延長の時間帯は従業者2人以上(10人超は加配)、1人以上は基準上の従業者
  • 基本報酬を算定しない日は、延長支援加算だけの算定はできない

参考資料