放課後等デイサービス(放デイ)の加算は、令和6年度の報酬改定で大きく組み替えられ、その形が令和8年度の改定後も続いています。令和8年度の改定で児童の支援にかかわる加算が変わったのは、処遇改善加算の区分の追加だけです。あとは、令和8年6月以降に新しく指定を受ける事業所の基本報酬が下がりました。

取る順番の目安は次のとおりです。常勤の保育士・児童指導員がいれば、まず児童指導員等加配加算を検討します。5年以上の経験がある保育士・児童指導員や PT・OT・ST がいれば専門的支援体制加算専門的支援実施加算です。子どもの状態に応じて個別サポート加算・強度行動障害児支援加算を積み、どの事業所でも欠席時対応加算・家族支援加算を取りこぼさないようにします。

この記事の単位数は、こども家庭庁が公表している令和8年度の報酬算定構造と、障害児通所支援の留意事項通知で確かめました。留意事項通知は平成24年3月30日障発0330第16号で、最終改正はこ支障第88号(令和8年3月31日)です。資料はこども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について」にまとまっています。1単位はおおむね10円で、地域区分に応じて上乗せされます。

1. 加算の全体像:4つのまとまりで考える

放デイの加算は、性質で分けると次の4つになります。

まとまり主な加算考え方
体制の加算児童指導員等加配加算、専門的支援体制加算、福祉専門職員配置等加算人を配置していれば、利用した全員について毎日算定
支援を実施したときの加算専門的支援実施加算、家族支援加算、子育てサポート加算、入浴支援加算、延長支援加算、送迎加算計画と記録があって、実施した回数だけ算定
子どもの状態に応じた加算個別サポート加算、強度行動障害児支援加算、医療連携体制加算、人工内耳装用児支援加算、視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算対象の子どもがいて、要件を満たすときに算定
連携・その他関係機関連携加算、事業所間連携加算、欠席時対応加算、利用者負担上限額管理加算、処遇改善加算手続と記録で算定

体制の加算は、配置が崩れた月から算定できなくなります。届出の区分と実際の配置がずれていないかを毎月確かめるのが基本です。

2. 主な加算の一覧(放課後等デイサービス・令和8年度)

定員10人以下の事業所の単位数です。定員によって変わるものは「定員10人以下/11〜20人/21人以上」の順に書いています。

加算単位数主な要件(要約)
児童指導員等加配加算常勤専従・経験5年以上 187/125/75
常勤専従・5年未満 152/101/59
常勤換算・5年以上 123/82/49
常勤換算・5年未満 107/71/43
その他の従業者 90/60/36(1日)
基準の人員に加えて児童指導員等を1人以上配置する
専門的支援体制加算123/82/49(1日)PT・OT・ST、5年以上の保育士・児童指導員、心理担当職員などを常勤換算で1人以上配置する
専門的支援実施加算150(1回)専門的支援実施計画にもとづき30分以上の支援をする。月の回数に上限あり
個別サポート加算(Ⅰ)イ 90(基礎研修修了者の配置で+30)
ロ 120(1日)
イは就学児サポート調査表で13点以上、ロは食事・排せつ・入浴・移動のうち3つ以上で全介助の子ども
個別サポート加算(Ⅱ)150(1日)要保護児童・要支援児童について、関係機関と情報を共有する
個別サポート加算(Ⅲ)70(1日)不登校の状態にある子どもについて、学校・家族と連携する
強度行動障害児支援加算(Ⅰ)200/(Ⅱ)250(1日)
開始から90日間は+500
(Ⅰ)は児基準20点以上で実践研修修了者、(Ⅱ)は30点以上で中核的人材養成研修修了者も必要
家族支援加算(Ⅰ)訪問1時間以上300、1時間未満200、事業所で対面100、オンライン80
(Ⅱ)対面80、オンライン60(1回)
計画にもとづいて家族に相談援助をする。(Ⅰ)は個別、(Ⅱ)はグループ。それぞれ月4回まで
子育てサポート加算80(1回)家族が支援の場面を観察・参加し、関わり方について相談援助を受ける。月4回まで
欠席時対応加算94(1回)前々日〜当日の欠席連絡に相談援助をして記録する。月4回まで
延長支援加算30分以上1時間未満 61、1時間以上2時間未満 92、2時間以上 123(1日)基本の支援時間(授業終了後3時間、休業日5時間)の前後に延長する
送迎加算片道54居宅・学校と事業所の間を送迎する。医療的ケア児などは上乗せあり
医療連携体制加算(Ⅰ)32〜(Ⅶ)250看護職員が事業所を訪問して看護をする、などの区分がある
関係機関連携加算(Ⅰ)250/(Ⅱ)200/(Ⅲ)150/(Ⅳ)200学校・医療機関・就職先などとの連携。(Ⅰ)〜(Ⅲ)は月1回まで
事業所間連携加算(Ⅰ)500/(Ⅱ)150セルフプランで複数の事業所を使う子どもについて、事業所間で情報を共有する。月1回まで
入浴支援加算70(1回)医療的ケア児・重症心身障害児への入浴支援。月8回まで
自立サポート加算100(1回)高校2・3年生の卒業後に向けた支援。月2回まで
通所自立支援加算60(1回)一人で通えるよう、職員が付き添って計画的に支援する。開始から90日間
人工内耳装用児支援加算150(1日)人工内耳を装用している子どもへの支援
視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算100(1日)重度の視覚・聴覚・言語機能の障害がある子どもに、意思疎通の専門性がある職員を配置して支援する
福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)15/(Ⅱ)10/(Ⅲ)6(1日)社会福祉士などの割合や、常勤・勤続年数の割合
利用者負担上限額管理加算150(月1回)複数の事業所を使う子どもの上限額を管理する

処遇改善加算は、上の単位数の合計に一定の率を掛けて算定します。令和8年度の区分と率は処遇改善加算の解説で確認してください。

3. 児童発達支援で違うところ

児童発達支援(児発)にも、同じ名前の加算がほぼそろっています。単位数や上限が違うのは次のところです。

  • 個別サポート加算は、児発では(Ⅰ)120単位(著しく重度の子ども)と(Ⅱ)150単位です。不登校の(Ⅲ)はありません。
  • 強度行動障害児支援加算は、児発では区分が1つで200単位です(児基準20点以上、実践研修修了者)。
  • 専門的支援実施加算の月の上限は、児発では利用日数12日未満で4回、12日以上で6回です。放デイでは6日未満2回、12日未満4回、12日以上6回です。
  • 自立サポート加算・通所自立支援加算は放デイだけの加算です。
  • 児童指導員等加配加算の単位数は、児童発達支援センター以外の児発事業所なら放デイと同じ表です。センターは別の単位数です。

4. 令和6年度・令和8年度で何が変わったか

令和6年度改定:加算の組み替え

いまの加算の形は、令和6年度の改定でできました。主な変更は次の3つです。

  • 児童指導員等加配加算は、PT・OT などの専門職を上乗せで評価する部分を専門的支援体制加算へ移しました。代わりに「常勤専従か常勤換算か」と「児童福祉事業の経験5年以上か」で評価する形になりました。
  • 専門的支援加算・特別支援加算は、体制を評価する専門的支援体制加算と、計画的な個別支援を評価する専門的支援実施加算に分かれました。
  • 個別サポート加算に、要保護・要支援の(Ⅱ)と不登校の(Ⅲ)が加わりました。放デイの(Ⅰ)は、ケアニーズの高い子ども(イ)と著しく重度の子ども(ロ)に分かれました。

あわせて、放デイの欠席時対応加算(Ⅱ)(30分以下で支援を中止した場合)が廃止されました。強度行動障害児支援加算も、研修の要件と単位数が変わりました。

令和8年度改定:加算はそのまま、2つの変更

令和8年度の改定(令和8年2月18日の報酬改定検討チーム「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」)で、放デイ・児発に関係するのは次の2点です。

  • 処遇改善加算の区分が増えました。(Ⅰ)と(Ⅱ)に、それぞれイ・ロができています。

  • 臨時応急的な見直しが入りました。令和8年6月1日以降に新たに指定を受けた事業所は、基本報酬が児発で1000分の988、放デイで1000分の982になります(令和9年度の改定まで)。ただし、次の子どもの基本報酬はこの減額の対象外です。

    • 医療的ケア区分を算定する子ども
    • 強度行動障害児支援加算を算定する子ども
    • 人工内耳装用児支援加算や視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算を算定する子ども

    主として重症心身障害児を支援する事業所、特別地域の事業所、合併・事業譲渡で事業を引き継ぐ場合なども対象外です。

この記事で扱う加算の単位数と要件は、令和8年度の改正後も同じです。改定全体の流れは令和8年度の報酬改定の整理にまとめています。

5. 人員体制別:どの加算から取るか

加算は「いまいる職員で取れるもの」から順に検討するのが現実的です。

いまの体制まず検討する加算確かめること
基準どおりの人員だけ欠席時対応加算、家族支援加算、送迎加算、利用者負担上限額管理加算欠席連絡の記録様式、個別支援計画への家族支援の書き込み
基準+常勤の保育士・児童指導員が1人児童指導員等加配加算(常勤専従の区分)その人の児童福祉事業の経験年数と証明書、専従できる勤務か
基準+パートで常勤換算1以上児童指導員等加配加算(常勤換算の区分)またはその他の従業者の区分職種と経験年数が混ざると、低いほうの区分で算定する
5年以上の保育士・児童指導員、PT・OT・ST、心理職がいる専門的支援体制加算、専門的支援実施加算加配加算とは別枠で常勤換算1以上いるか、実施計画を作れるか
行動面の支援が必要な子どもが多い個別サポート加算(Ⅰ)イ、強度行動障害児支援加算調査表・児基準の点数、実践研修修了者の配置
学校や児童相談所との関わりが多い子どもがいる個別サポート加算(Ⅱ)(Ⅲ)、関係機関連携加算情報共有の頻度と記録

採用の優先順位を決めるときは、1人の配置で算定できる加算が、その人の人件費にどれだけ届くかで比べます。加配加算は利用した子ども全員に毎日つくので、稼働率が高いほど効きます。専門的支援実施加算は回数に上限があるので、対象の子どもの数と利用日数で見込みを立てます。

6. 算定でよく指摘されるところ

札幌市は「障害児通所支援における適正な給付費の算定等について」(札障第2123号、令和7年8月25日)で、放デイ・児発の算定でよくある誤りを具体例つきで示しています。どの自治体の運営指導でも見られやすい点なので、点検の目安になります。

  • 標準的な提供時間を個別支援計画に書いていない:基本報酬の時間区分や延長支援加算の前提になります。
  • 専門的支援体制加算の配置が常勤換算1を下回っている月がある:退職や休職で割り込んだ月は算定できません。
  • 専門的支援実施計画がない、または月の上限を超えて算定している
  • いつものプログラムを専門的支援として算定している:専門職の評価にもとづき、5領域のどこに重点を置いた支援かが分かる必要があります。
  • 家族支援の内容が「必要に応じて相談援助」のように具体性を欠く:モニタリングの面接や利用料の説明は、家族支援加算の対象になりません。
  • 5年以上の職員が辞めたのに、加配加算の区分を変えていない
  • 多機能型で、児発管が保育所等訪問支援の訪問支援員を兼ねている時間がある:その時間は放デイ・児発の児発管が欠如している扱いになります(児発管の欠如減算)。

算定要件を満たしていなかったと分かったときは、過誤調整で返還します。運営指導の前に自分で点検するなら、運営指導の自己点検チェックリストも使えます。

7. 加算ごとの詳しい解説

それぞれの加算の要件・記録・よくある誤りは、次の記事で詳しく書いています。