障害者グループホーム(共同生活援助)は、地域連携推進会議をおおむね年1回以上開き、事業の運営の状況を報告して、要望や助言を聴く機会を設けなければなりません。 あわせて、構成員が事業所を見学する機会を年1回以上設け、会議の記録を作って公表します(指定障害福祉サービス基準 第210条の7)。

令和6年度の報酬改定で新設され、令和6年度は努力義務、令和7年4月1日から義務になりました。障害者支援施設(施設入所支援)も同じく対象です。この記事では、基準省令と解釈通知、厚生労働省「地域連携推進会議の手引き」をもとに、準備から議事録の公表までを整理します。


1. 基準で決まっていること

項目内容根拠
構成利用者とその家族、地域住民の代表者、共同生活援助について知見を有する者、市町村の担当者等基準 第210条の7第2項
会議おおむね年1回以上。運営の状況を報告し、要望・助言等を聴く同 第2項
見学会議とは別に、おおむね年1回以上、構成員が事業所を見学する機会を設ける同 第3項
記録報告・要望・助言等の記録を作り、公表する同 第4項
適用しない場合外部の者による評価とその実施状況の公表、またはこれに準ずる措置として都道府県知事が定めるものを講じている場合同 第5項
日中サービス支援型上記に加え、協議会等への定期的な報告と評価(従来どおり)同 第213条の10

解釈通知は、さらに次のように定めています。

  • 指定申請の時点で、会議が既に設置されているか、確実に設置される見込みが必要
  • 会議はウェブ会議システム等でも開ける(個人情報保護のガイドラインを守る)
  • 住居が複数ある事業所(サテライト型住居を含む)は、住居ごとに年1回以上、構成員が見学する機会を設ける
  • 居室の見学は、その居室の利用者の了承を得てから
  • 会議の記録は5年間保存する

2. 構成員の選び方

厚生労働省の手引きは、有意義な意見交換ができる人数として5名程度が望ましいとし、利用者、利用者の家族、地域の関係者は必ず選ぶことが必要としています。

構成員手引きが挙げる例・留意点
利用者意思表示が難しい場合は、成年後見人や家族が代理しつつ、本人にもできる限り参加してもらう
利用者の家族上の利用者とは別の利用者の家族が望ましい。参加が難しければ、成年後見人、家族会の会員など家族の代弁者となる人
地域の関係者自治会・町内会、民生委員、商店街、学校関係者、地域の NPO、地域の障害当事者、近隣の住民
福祉に知見のある人地域のほかの障害福祉サービス事業者、介護・児童福祉の事業者、学識経験者。同一法人や系列法人の人は望ましくない
経営に知見のある人福祉サービスの経営に携わる人、財務諸表から経営状況を見て助言できる人
市町村の担当者等障害福祉の所管課の担当者。毎回の参加が難しければ、基幹相談支援センターの職員や自立支援協議会の構成員なども

構成員は、見学のときに利用者の個人情報に触れる可能性があるため、就任の際に秘密保持の約束をしてもらう必要があります。手引きには、参加承諾書(秘密保持の約束を兼ねる)の様式例があります。任期を決め、一度に全員を入れ替えずに段階的に交代するのが望ましいとされています。


3. 会議の進め方

準備の流れ

  1. 構成員の選定
  2. 就任の依頼(構成員向けの説明資料を渡す)と参加承諾書の受け取り
  3. 日程の調整(会議の1か月前までに決めるのが望ましい)
  4. 会場の確保(グループホームの建物内が難しければ、外の会議室でも可)
  5. 議題の検討と資料の作成(個人が特定される情報は載せない)
  6. 会議の開催(2時間程度が目安)
  7. 議事録の作成と、構成員による確認
  8. 議事録・資料の公表

議題の例

手引きは、一方的な報告ではなく双方向で意見を交わせる議題を求め、目的ごとに次のような議事次第の例を示しています。

目的議題の例
事業所と地域の連携障害についての説明、近隣からの苦情等の共有、地域行事の案内
透明性と質の確保利用者の日常生活の様子、経営状況の報告、BCP(業務継続計画)の策定状況
利用者の権利擁護虐待・事故・ヒヤリハットの報告、支援の様子、利用者の意向アンケートの結果

虐待・事故の報告は、構成員が抵抗を感じることもありますが、手引きは共有の意義を説明して理解を得るよう求めています。2回目以降は、前回からの変更点・改善点を報告したうえで、議題を絞って深掘りすると形骸化を防げます。虐待防止の体制は「障害福祉の虐待防止」を参照してください。

見学

構成員は全員が「地域連携推進員」として事業所を訪ねます。手引きの例では、住居が2か所ある事業所は、会議を年1回以上開き、見学を年2回(2か所)以上受け入れます。住居が数十か所ある場合など、全員が全住居を訪ねるのが難しいときは、推進員との調整で回数を柔軟に決めることもできるとされています。


4. 議事録の作成と公表

  • 作成:会議の後速やかに、事業所の報告と構成員の要望・助言を記録します。詳細な逐語録でなく、結果の概要でも可能です
  • 個人情報:利用者や構成員が特定される部分は削ります
  • 確認:参加した構成員に内容を確認してもらいます
  • 公表:ホームページや広報誌への掲載、事業所内の掲示など、多くの人が見られる方法で公表します
  • 保存:記録は5年間保存します

運営指導では、会議の開催、見学の実施、議事録の公表の状況が確かめられます。点検の項目は「運営指導の準備ガイド」で整理しています。

落とし穴

  • 会議は開いたが、住居ごとの見学を実施していない
  • 構成員が同じ法人の職員ばかりで、外部の目になっていない
  • 議事録を作っただけで、公表していない
  • 議事録に利用者の氏名や特定できる情報が残っている
  • 新しく指定を受けるのに、申請の時点で会議の設置の見込みを示せない

チェックリスト

  • 利用者・家族・地域の関係者を含む構成員(5名程度)を選び、参加承諾書を受け取った
  • 会議を年1回以上開く日程を決めた
  • 住居ごとに年1回以上、構成員が見学する機会を設けた
  • 議事録を作り、構成員の確認を受け、公表した
  • 記録を5年間保存している

5. まとめ

  • 共同生活援助と障害者支援施設は、令和7年4月から地域連携推進会議の開催が義務
  • 会議は事業所ごとに年1回以上、見学は住居ごとに年1回以上
  • 構成員は5名程度が目安で、利用者・家族・地域の関係者は必ず入れる
  • 記録を作って公表し、5年間保存する
  • 外部評価とその公表など、都道府県知事が定める措置を講じていれば適用されない

開催の報告の要否や、外部評価として認められる措置は、指定権者によって違うことがあります。所在地の都道府県・市の案内で確かめてください。グループホームの報酬全体は「障害者グループホームの加算一覧」で整理しています。

参考資料

  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第210条の7・第213条の10(e-Gov 法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171
  • 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成18年12月6日障発第1206001号)令和7年3月31日一部改正 新旧対照表: https://www.mhlw.go.jp/content/001494357.pdf
  • 厚生労働省「地域連携推進会議の手引き」: https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001319880.pdf
  • 厚生労働省 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の概要」: https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001204019.pdf