個別支援計画未作成減算は、個別支援計画が作られていない月や、作り方の手順を踏んでいない月に、その利用者の基本報酬を減らす減算です。 減算が始まった月から2か月目までは所定単位数の100分の70、3か月目以降は100分の50で算定します。期間は、作成されていない状況が生じた月から、解消された月の前月までです。
計画が1枚もないケースより多いのは、見直しの期限切れ、同意の署名の取り忘れ、サービス管理責任者が関わっていない計画です。厚生労働省の留意事項通知は、サビ管の指揮の下で作られていない場合と、基準が定める一連の業務が適切に行われていない場合の両方を対象にしています。
この記事では、留意事項通知(障発第1031001号)、基準省令(平成18年厚生労働省令第171号)、厚生労働省のQ&Aにもとづき、この減算だけを深く扱います。年度の根拠は、令和6年度報酬改定・令和8年6月の見直しにもとづいており、令和8年度の改定でこの減算の割合は変わっていません。ほかの減算との比較は障害福祉の減算一覧にまとめています。
1. 対象・割合・期間
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象サービス | 療養介護、生活介護、施設入所支援、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助 |
| 減算の割合 | 減算が適用される月から3か月未満の月は所定単位数の100分の70、3か月以上の月は100分の50 |
| 期間 | 作成されていない状況が生じた月から、解消された月の前月まで |
| 対象の利用者 | 計画が作成されていない、または手順が行われていない利用者だけ |
| 所定単位数 | 各種加算を加える前の単位数 |
障害児通所支援(児童発達支援・放課後等デイサービス)にも、通所支援計画が作成されていない場合の同じ割合(100分の70・100分の50)の減算があります。
期間の数え方の例
例えば、B型の利用者の計画の見直し期限が6月末で、見直しが終わったのが10月10日だった場合を考えます。
| 月 | 状況 | 算定 |
|---|---|---|
| 7月 | 期限切れ(1か月目) | 100分の70 |
| 8月 | 期限切れ(2か月目) | 100分の70 |
| 9月 | 期限切れ(3か月目) | 100分の50 |
| 10月 | 10日に見直し完了(解消月) | 減算なし |
解消した月は減算しません。例えば基本報酬が1日500単位の利用者なら、7・8月は350単位、9月は250単位で請求することになります。見直しの完了がもう1か月遅れると、減算の月は4か月、100分の50の月は2か月に増えます。
2. 減算になる2つの場面
留意事項通知は、次のどちらかに当たる場合に減算するとしています。
- サービス管理責任者による指揮の下で、個別支援計画が作成されていない
- 基準が定める個別支援計画の作成に関する一連の業務が、適切に行われていない
2の「一連の業務」は、基準省令第58条(療養介護計画。各サービスが準用)が定める次の手順です。
| 手順 | 基準が求めること |
|---|---|
| アセスメント | 利用者の心身の状況・環境・日常生活の状況を評価し、希望する生活と課題を把握する。利用者と面接して行う |
| 原案の作成 | 利用者と家族の意向、総合的な支援の方針、生活全般の質を向上させるための課題、支援の目標とその達成時期、支援を提供するうえでの留意事項などを書く |
| 会議 | 支援にあたる担当者を招集して原案の内容について意見を求める(テレビ電話装置等の活用も可) |
| 説明と同意 | 原案の内容を利用者または家族に説明し、文書で同意を得る |
| 交付 | 作成した計画を利用者と、指定特定相談支援事業者等に交付する |
| モニタリング | 計画の実施状況を把握し、少なくとも6か月に1回以上計画を見直す。定期的に利用者と面接し、結果を記録する |
見直しの頻度は、自立訓練(機能訓練・生活訓練)・就労移行支援・自立生活援助は「3か月に1回以上」に読み替えられています。B型・生活介護・グループホームなどは6か月に1回以上です。
各手順の書き方は個別支援会議の進め方やモニタリングの頻度と記録で扱っています。
3. 未作成と扱われやすい具体的な場面
利用開始のときに計画がない
厚生労働省のQ&A(令和6年度報酬改定等に関するQ&A VOL.1、問82)は、当初の個別支援計画は契約締結後1か月以内に作成するのが基本としています。利用を始めてから計画ができるまでの間の扱いは、指定権者の運用で確かめてください。暫定の計画で支援を始める場合も、アセスメントと同意の記録を残しておきます。
見直しの期限を過ぎている
最も多いのがこの場面です。前回の同意日から6か月(3か月のサービスは3か月)を過ぎても、モニタリングと見直しの記録がない状態です。内容を変えない場合も見直しの手続きは必要で、Q&Aは、変更がない場合も含めて作成・見直しの後は速やかに利用者と相談支援事業所に交付するとしています。
同意の記録がない、または同意日が支援開始より後
同意は文書で得る必要があります。署名のない計画や、同意日の記入がない計画は、手順を踏んでいないと扱われるおそれがあります。原案の作成日と同意日の両方を書いておくと、いつから有効な計画かを説明できます。
サビ管が関わっていない
サビ管以外の職員が作成し、サビ管が確認していない計画は、1の「サビ管の指揮の下で作成されていない」に当たり得ます。サビ管の退職で不在になった期間の計画も同じです。この場合は、サビ管の欠如による人員欠如減算も別にかかります。
相談支援事業所に交付していない
計画は、利用者だけでなく指定特定相談支援事業者等にも交付します。Q&Aは、セルフプランで相談支援事業所がない場合は交付しなくても基準違反にはならないとしています。
4. 運営指導での指摘の例
東京都の令和6年度集団指導の資料では、実地検査の主な指摘事項として「個別支援計画の見直しを行っていない」が挙げられています。同じ資料は、次の点に留意するよう求めています。
- アセスメントの面接の要点を記録する
- 会議の議事の要点を記録する
- 計画に作成責任者の氏名を書く
- 署名による同意を得て、原案の作成日と同意日を明記する
- 相談支援事業所にも都度交付する
- 面接とモニタリングの結果を記録する
- 少なくとも6か月に1回、計画を見直す
東京都の資料は障害児通所支援向けですが、手順の考え方は障害福祉サービスの個別支援計画でも同じです。記録の保存期間は自治体の条例で定められている場合があるため、指定権者の基準で確かめてください。
5. 見つけたときの直し方
- 対象の利用者と期間を特定する:計画ごとに同意日と次の見直し期限を並べ、期限を過ぎている利用者と、過ぎた月を洗い出します
- すぐに手順をやり直す:アセスメント(面接)→原案→会議→説明・同意→交付の順で進めます。日付をさかのぼって書くことはしません
- 請求を直す:減算の対象になる月の請求は、100分の70・100分の50で算定し直します。請求済みの月は、指定権者の指示に従って過誤の手続きを行います
- 指定権者に相談する:運営指導で見つかった場合は、改善の報告を求められます。留意事項通知は、指導に従わない場合、特別な事情がない限り指定の取消しを検討するとしています
- 期限の管理を仕組みにする:同意日から自動で次の期限が出る台帳を作り、期限の1か月前にモニタリングを入れます
チェックリスト
- 全利用者の計画について、同意日と次の見直し期限を一覧にしている
- 見直しの期限を、6か月(自立訓練・就労移行・自立生活援助は3か月)で管理している
- アセスメントを利用者との面接で行い、記録している
- 会議の記録と、出席した担当者が分かる
- 計画にサビ管の氏名があり、原案の作成日と同意日が書いてある
- 同意を文書(署名)で得ている
- 利用者と相談支援事業所に交付した記録がある
- 内容を変えない見直しでも、モニタリングの記録と交付がある
6. 落とし穴
- サービス内容の変更だけを見直しと考える:支給決定の更新や利用日数の変更のときだけ計画を作り直し、6か月ごとの見直しを忘れる例です
- 同意日を支援の開始日にそろえて書く:実際に同意を得た日と違う日付を書くと、記録全体の信用を失います
- サビ管の名前だけを入れる:サビ管が面接や会議に関わっていない計画は、名前があっても指揮の下で作成したと説明できません
- B型の計画の書き方と混同する:B型は工賃の目標や作業の内容も計画に入ります。書き方は就労継続支援B型の個別支援計画で確かめてください
7. まとめ
- 個別支援計画未作成減算は、減算の月から2か月目までは100分の70、3か月目以降は100分の50
- 期間は作成されていない状況が生じた月から、解消した月の前月まで。その利用者だけにかかる
- 対象はサビ管の指揮の下で作られていない場合と、アセスメント・会議・同意・交付・見直しの一連の業務が行われていない場合
- 見直しは6か月に1回以上(自立訓練・就労移行・自立生活援助は3か月)。変更がなくても手続きが要る
- 当初の計画は契約後1か月以内の作成が基本。見つけたら手順をやり直し、請求を直し、期限の管理を仕組みにする
参考資料
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基本相談支援に要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(障発第1031001号)新旧対照表: https://www.mhlw.go.jp/content/001705650.pdf
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第58条: https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171
- 厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1」(令和6年3月29日): https://www.mhlw.go.jp/content/001260473.pdf
- 東京都福祉局「実地検査における主な指摘事項と行政処分について」(令和6年度集団指導): https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/r6syudan-syogai-c1-pdf

