情報公表未報告減算は、障害者総合支援法第76条の3にもとづく情報公表の報告をしていない事業所の、利用者全員の基本報酬を減らす減算です。 施設・居住系(施設入所支援・グループホームなど)は所定単位数の10%、それ以外(生活介護・就労継続支援・居宅介護など)は5%です。令和6年度報酬改定で新設されました。

減算になるのは、報告をしていないことが指定更新や運営指導などで確認され、都道府県が指導しても報告しない場合です。その場合は、未報告になった時点にさかのぼって減算されます。新しく指定を受けた事業所は、都道府県が決めた報告期限の翌月から減算の対象になります。

報告は、独立行政法人福祉医療機構(WAM)が運営する「障害福祉サービス等情報公表システム」から行います。この記事では、留意事項通知(障発第1031001号)、厚生労働省のQ&A(令和6年3月29日のVOL.1と、令和8年8月3日の情報公表制度のQ&A VOL.2)、都道府県・市の案内にもとづいて、報告の期限と流れを整理します。年度の根拠は、令和6年度報酬改定・令和8年6月の見直しにもとづいており、令和8年度の改定で減算の割合は変わっていません。


1. 対象・割合・期間

項目内容
対象すべての障害福祉サービス(障害児のサービスも児童福祉法にもとづき同じ)
10%の対象療養介護、施設入所支援、宿泊型自立訓練、共同生活援助、指定障害者支援施設が行う日中のサービス
5%の対象居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、自立生活援助、短期入所、重度障害者等包括支援、自立訓練(宿泊型を除く)、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援、計画相談支援、地域移行支援、地域定着支援
期間報告をしていない事実が生じた月の翌月(生じた日が月の初日ならその月)から、解消された月まで
対象の利用者事業所の利用者全員
所定単位数各種加算を加える前の基本報酬(報酬算定構造表でこの減算より左の加算を除く)。ほかの減算にも当たる場合は、減算後の基本報酬に割合を掛ける

障害児の分野では、障害児入所施設が10%、児童発達支援・放課後等デイサービス・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援が5%の対象です。

金額の目安

例えば、生活介護で利用者1人1日の基本報酬が800単位、利用者20人、月22日開所なら、5%の減算は1日40単位×20人×22日=月17,600単位です。1単位10円で計算すると約17.6万円で、業務継続計画未策定減算(1%)の5倍にあたります。さかのぼりの期間が長いと、返還の額はさらに大きくなります。


2. 「報告を行っていない事実」とは

Q&A VOL.1の問19は、減算の起点になる「報告を行っていない事実」を次のように説明しています。

  • 必須の報告項目が未報告であることが、指定更新の手続きや運営指導などで確認され
  • 都道府県が報告するよう指導しても、報告しない場合

この場合、未報告となった時点にさかのぼって減算します。例として、ある県が8月に確認し、令和6年4月より前から未報告だったと分かれば、令和6年4月分から減算するとされています。確認のタイミングは各都道府県が決めてよく、災害などやむを得ない事情がある場合は減算の対象外としてよいとされています。

必須の報告項目は、障害者総合支援法施行規則の別表第1号・第2号(児童福祉法施行規則は別表第2・第3)で、施行通知の別添1・2に示されています。

指定更新のときに確かめられる

令和6年度報酬改定では、施行規則の改正で、指定の更新のときに都道府県が情報公表の報告の有無を確かめる仕組みも入りました。Q&A VOL.1の問22は、更新の時点で未報告があれば、事情を確かめて報告するよう指導したうえで更新するとしています。指定の更新の流れは障害福祉の指定更新で確かめてください。


3. 報告の3つの場面と期限

場面期限減算との関係
新規指定のとき都道府県の実施要綱で定める(例:埼玉県は指定から1か月以内)期限の翌月から減算の対象(Q&A VOL.1問21)
毎年度の報告都道府県が決める報告期間(例:埼玉県・大阪市は5月1日〜7月31日)指導しても報告しなければ、未報告の時点にさかのぼる
経営情報(財務状況)の報告毎会計年度の終了後3か月以内令和8年度以降の分は、報告期限の翌月から減算

このほか、事業所の名称・所在地・電話番号などが変わったときは、随時の更新を求める都道府県があります。Q&A VOL.1の問20は、新規指定以降に報告していれば減算の対象にはならないとしつつ、変更があれば適切に更新するよう求めています。

毎年度の報告

情報公表制度のQ&A VOL.2は、例年5月初旬にシステムからメールが届くとしています。大阪市は令和7年度分の報告期間を令和8年5月1日から7月31日までとし、年1回の更新を求めています。期間は都道府県・市で違うため、指定権者の案内で確かめてください。

経営情報(財務状況)の報告

情報公表制度のQ&A VOL.2(令和8年8月3日)は、財務状況の報告は省令上の義務であり、必要な財務諸表を報告するとしています。

  • 経営情報は、毎会計年度の終了後3か月以内に報告します(令和7年8月から運用)
  • 職員全体の給与は必須の項目で、職種別の給与は任意です
  • 令和7年度分の経営情報(令和6年度の決算)が令和8年3月末までに報告されておらず、指導しても報告しない場合は、令和8年4月1日にさかのぼって減算します
  • 令和8年度以降の経営情報は毎年の報告が必要で、未報告なら報告期限の翌月から減算の対象です

就労選択支援は、システムが整うまで減算しない扱いで、令和8年5月からシステムに加わりました。経営情報は、令和8年度に限り令和8年末までの報告とされています。


4. 報告の流れ

  1. ログインIDを確かめる:情報公表システムに入るためのIDを確かめます。大阪市の例では、ログインIDは法人単位で1つです。IDの発行の方法や、分からなくなったときの問い合わせ先は、指定権者の案内で確かめます
  2. 報告の期間を確かめる:新規指定なら指定からの期限、既存の事業所なら毎年度の報告期間を、指定権者の案内で確かめます
  3. 必須項目を入力する:施行規則の別表に定められた必須項目を入力します。前年の内容を引き継いでいる場合も、職員や利用者の数など、変わった項目を最新に直します
  4. 経営情報を入力する:会計年度の終了後3か月以内に、財務諸表と職員全体の給与を入力します
  5. 報告を完了させる:入力しただけで報告を完了させていない状態が残らないようにします。大阪市は、報告後に「未承認」や市からの「差戻し」の状態であれば減算の対象外としていますが、差戻しの内容は速やかに直して再報告します
  6. 記録を残す:報告した日と画面の控えを残し、運営指導や指定更新で見せられるようにします

システムの操作は、福祉医療機構のヘルプデスク(0570-056-722)に問い合わせることができます。

チェックリスト

  • 情報公表システムのログインIDを把握している
  • 新規指定のときの報告を期限内に済ませた
  • 今年度の報告を報告期間内に済ませた
  • 経営情報を会計年度の終了後3か月以内に報告した
  • 名称・所在地・電話番号などの変更を反映している
  • 報告後の差戻しに対応している
  • 報告した日と画面の控えを保存している

5. 落とし穴

  • 担当者の退職でIDが分からなくなる:法人でIDを1つ持つ自治体では、担当者だけが把握していると引き継ぎで途切れます。IDと報告の時期を法人の業務の一覧に載せておきます
  • 事業所を増やしたときの報告を忘れる:新しい事業所の報告は、毎年度の報告とは別の期限です。指定を受けた月のうちに確かめます
  • 経営情報を別の報告と思い込む:経営情報の報告も情報公表の一部で、未報告なら減算の対象になります。決算の確定から3か月以内に入れる流れを、決算の作業に組み込みます
  • ほかの減算と重なる:業務継続計画未策定減算も利用者全員にかかります。両方に当たると、それぞれの割合で基本報酬が減ります。要件は障害福祉のBCP未策定減算で確かめてください

運営指導で確かめられる書類の準備は運営指導への備えで、ほかの減算の割合は障害福祉の減算一覧で整理しています。


6. まとめ

  • 情報公表未報告減算は、施設・居住系が10%、それ以外が5%で、利用者全員の基本報酬にかかる
  • 減算になるのは、未報告が指定更新や運営指導で確認され、都道府県が指導しても報告しない場合。その場合は未報告の時点にさかのぼる
  • 新規指定は都道府県が決めた期限の翌月から減算の対象
  • 毎年度の報告期間と新規指定の期限は、指定権者の要綱で確かめる(例:埼玉県・大阪市は5月1日〜7月31日)
  • 経営情報は会計年度の終了後3か月以内。令和7年度分が令和8年3月末までに無く、指導しても報告しなければ令和8年4月1日にさかのぼる

参考資料