障害福祉サービスの請求が国保連で返戻(エラー)になったら、返戻等一覧表に書かれたエラーコードとメッセージから、①受給者証(受給者台帳)、②事業所の体制(事業所台帳)、③上限額管理、④請求データの重複や区分、のどこが食い違っているかを切り分け、直してから次の請求期間に出し直します。 返戻になった請求は支払いが行われていないため、放置すると入金が遅れ続けます。

エラーの多くは、受給者証の内容と請求の中身がずれていること、または体制届で届け出ていない加算を請求していることが原因です。コードを覚えるより、メッセージの頭にある「受付」「資格」「支給量」などの種類を見て、確かめる書類を決めるほうが早く片付きます。

この記事は、令和6年度報酬改定・令和8年6月の見直しを踏まえた内容です。令和8年6月の処遇改善加算の見直しのように、報酬や加算の区分が変わった月は、体制届と請求の内容が揃っているかを特に確かめてください。請求の基本の流れ(請求期間、一次審査・二次審査、過誤の手続き)は、国保連への請求と過誤の流れで整理しています。


エラーと警告が出る仕組み

国保連の審査システムは、事業所が送った請求明細書・実績記録票・上限額管理結果票を、次の2つの台帳と突き合わせます。

台帳作る人中身
受給者台帳市町村利用者の支給決定、支給量、負担上限月額、上限額管理事業所など、受給者証に書かれた情報
事業所台帳指定権者(都道府県・市町村など)事業所の指定の内容、届け出た体制と加算の有無など

大阪府国民健康保険団体連合会の「エラーコード対応マニュアル」は、結果の種類を次のように説明しています。

  • 返戻(エラー):返戻等一覧表に載った請求。支払いは行われていないため、内容を確かめて訂正し、必要に応じて請求し直す
  • 警告:国保連の一次審査では妥当かどうかを判断できないもの。市町村の二次審査で「正常」か「返戻」かが決まる

同じマニュアルは、警告を「※警告」「▲警告(重度)」「★警告(エラー移行対象)」の3種類に分けています。コードの英字だけでは、エラーか警告かは決まりません。 同じマニュアルのエラーの一覧には「E」で始まるコードと「P」で始まるコードの両方があり、警告の一覧にも「E」で始まるコードがあります。返戻等一覧表に載ったのか、警告として通知されたのかで判断します。


メッセージの頭で切り分ける

大阪府国保連のマニュアルでは、エラーメッセージの頭に審査の種類が書かれています。

メッセージの頭何と食い違っているかまず確かめる書類
受付:請求データの重複・区分、事業所台帳の体制、加算の回数の関係など送信の記録、体制届の控え、明細書
資格:受給者台帳(受給者証の内容)受給者証(支給決定、有効期間、負担上限月額、上限額管理事業所)
支給量:上限額管理結果票や実績記録票と明細書の関係結果票、実績記録票、明細書

よく出るエラーコードと直し方

大阪府国保連の「エラーコード対応マニュアル」に載っている、件数の多いエラーの例です。京都府国保連もEG05・EG12・EG13・EG17・EJ16などについて同じような処理方法を公開しています。対応の細かな案内は国保連ごとに違うことがあるため、請求先の国保連の資料で確かめてください。

受給者証(受給者台帳)との食い違い

コード内容主な原因と直し方
EG02受給者台帳に、サービス提供年月時点で有効な認定情報が無い受給者証番号か市町村番号の誤り。受給者証を確かめ、差が無ければ市町村に問い合わせる
EG03・EG13有効な支給決定情報が無い受給者証に無いサービスの種類で請求した、または支給決定期間の前後の月を請求した。受給者証の支給決定を確かめる
EG12有効な負担上限月額の情報が無いサービス提供月が負担上限月額の適用期間の外。受給者証の適用期間を確かめる
EN21利用者負担額②が1割相当額などと合わない1割相当額と市町村が定めた額のうち、低いほうを入れる

上限額管理との食い違い

コード内容主な原因と直し方
EG05上限額管理事業所番号が受給者台帳と一致しない明細書と受給者証の上限額管理事業所を確かめて直す
EG17上限額管理の対象外の受給者受給者証の上限額管理の該当が「無」、または負担上限月額が0円なのに上限額管理の情報を入れた
EJ13管理結果額と上限額管理後の利用者負担額が一致しない2つの金額を揃える
EJ16管理結果と管理結果額の関係が不正管理結果が「1」なら、関係事業所の管理結果額は0円にする
EC08上限額管理結果票が既に受付済み正常に受け付けられた結果票を直すときは「1:新規」でなく「2:修正」で出す
EC09修正・取消の対象の結果票が無い初回の提出、または前回が返戻になった結果票は「1:新規」で出し直す
PP08結果票に無い事業所の明細書がある関係事業所の漏れ。結果票に事業所を加える

上限額管理の結果票の書き方と「1・2・3」の意味は、上限額管理の進め方で整理しています。

体制(事業所台帳)との食い違い

コード内容主な原因と直し方
PA41受給者台帳に食事提供体制加算の情報が無い受給者証の食事提供体制加算の対象の有無を確かめる
PA67 など事業所台帳の加算の登録内容に当たらない請求体制届を出していない加算、または区分の違う加算を請求した。届出の控えと指定権者の登録を確かめる
PB21処遇改善加算のコードが主たるサービスの種類と合わない加算のサービスコードとサービスの種類を確かめる
EQ64地域協働加算の回数が、算定できる基本報酬の回数を超えている加算の回数と基本報酬の回数を揃える

請求データの重複・二重払い

コード内容主な原因と直し方
EC01既に受付済み、または請求情報の中で重複同じ市町村・同じサービス月の請求を2回に分けて送った。分けずに送る。請求書だけの重複は支払いに影響しない
ED01既に支払確定済み支払い済みの請求を過誤の手続きをせずに送り直した。市町村に過誤を申し立ててから請求し直す

よく出る警告の例

同じマニュアルの警告の一覧には、例えば次のものがあります。

  • EG28:明細書の契約支給量が受給者台帳の決定支給量を超えている
  • EG38:実績記録票のサービス実績量が決定支給量を超えている
  • EG60:サービス提供日数が原則の日数(その月の日数から8日を引いた日数)を超えている。利用日数の例外に当たる利用者かを確かめる
  • EN09:サービス提供量が契約支給量を超えている

警告は通っても、二次審査で返戻になることがあります。 実績記録票の書き方はサービス提供実績記録票の書き方を参照してください。


返戻から出し直しまでの手順

  1. 返戻等一覧表を利用者ごとに書き出す:コード、メッセージ、対象月、明細書・結果票のどれかを表にする
  2. メッセージの頭で確かめる書類を決める:資格なら受給者証、受付なら体制届と送信の記録
  3. 原因を直す:事業所の入力の誤りなら請求ソフトで直す。受給者証と請求が合っているのにエラーになるなら市町村、体制の登録が原因なら指定権者に問い合わせる
  4. 関係事業所に知らせる:上限額管理の結果票を直したときは、関係事業所の請求にも影響するため連絡する
  5. 次の請求期間に出し直す:結果票の区分(新規・修正)を間違えない。支払い済みの請求を直すときは、先に市町村へ過誤を申し立てる
  6. 同じエラーを繰り返さない仕組みにする:受給者証の更新月や、加算の体制届を出した月を一覧にし、請求前に照らし合わせる

都道府県によっては、一次審査の結果を公開したあと、決められた期間に請求を差し替えられる仕組みを設けているところがあります(大阪府国保連の独自のシステムなど)。差し替えの可否と期間は、請求先の国保連の案内で確かめてください。


落とし穴

  • 支払い済みの月をそのまま送り直す:ED01のエラーになります。先に過誤の手続きが必要です
  • 受給者証の更新を追っていない:支給決定期間や負担上限月額の適用期間が切れた月の請求は、EG03・EG12などのエラーになります。更新の時期を利用者ごとに管理します
  • 体制届より先に加算を請求する:加算の算定には届出が必要です。届出の締め切りと算定を始められる月は指定権者の資料で確かめてください(体制届と変更届の考え方は指定更新と変更届でも触れています)
  • 結果票を「新規」で出し直し続ける:正常に受け付けられた結果票を直すときは「修正」です

まとめ

  • 返戻は支払いが行われていない請求。原因を直して次の請求期間に出し直す
  • 警告は市町村の二次審査で正常か返戻かが決まる。コードの英字だけでエラーか警告かは決まらない
  • メッセージの頭(受付・資格・支給量)で、確かめる書類を決める
  • 多いのは、受給者証との食い違い、上限額管理の結果票、体制届の無い加算、重複と二重払い
  • 支払い済みの請求を直すときは、先に市町村に過誤を申し立てる

運営指導で請求の誤りが見つかった場合の過誤の扱いは、運営指導(実地指導)の準備で整理しています。


参照した資料

  • 大阪府国民健康保険団体連合会「エラーコード対応マニュアル」(PDF)
  • 京都府国民健康保険団体連合会「返戻通知書等におけるエラーの処理方法について」(掲載ページ)
  • 北海道国民健康保険団体連合会「エラーメッセージ一覧」(掲載ページ)
  • 厚生労働省「介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)」(令和8年7月版。上限額管理事務)(PDF)