就労継続支援A型の基本報酬は、7つの項目の点数を足した「スコア」(評価点)で区分が決まります。 合計は最大200点で、170点以上から60点未満までの7区分です。配点がいちばん大きいのは1日の平均労働時間(最大90点)と生産活動(最大60点)で、この2つで150点を占めます。一方、就業規則の整備や研修、報告書の公表で取れる項目もあり、翌年度に向けて短期間で動かせる点数と、数年かけて積み上げる点数に分かれます。

この記事では、「厚生労働大臣の定める事項及び評価方法」(令和3年厚生労働省告示第88号、以下スコア告示)と、その留意事項通知(障発0330第5号、令和7年3月31日最終改正)にもとづいて、項目ごとの配点と数え方、区分ごとの単位数、上げる順番を整理します。報酬の単位数は令和6年度報酬改定のもので、令和8年6月の見直しでA型の基本報酬の単位数は変わっていません。スコアとは別に取れる加算は「就労継続支援A型の加算一覧」で扱っています。


1. 7つの項目と配点

項目配点何で決まるか
Ⅰ 労働時間5〜90点前年度の1日の平均労働時間
Ⅱ 生産活動−20〜60点過去3年の生産活動収支が賃金の総額以上だったか
Ⅲ 多様な働き方0〜15点就業規則等に定めた制度の数(8項目)
Ⅳ 支援力向上のための取組0〜15点前年度の研修・発表・視察などの実績(8項目)
Ⅴ 地域連携活動0〜10点地域と連携した活動の報告書の公表
Ⅵ 経営改善計画−50〜0点求められた計画を期日までに出したか
Ⅶ 利用者の知識・能力向上0〜10点一般就労に向けた支援の報告書の公表

Ⅰ 労働時間

前年度に雇用契約を結んでいた利用者の労働時間の合計を、利用者の合計数で割った「1日の平均労働時間」で決まります。

1日の平均労働時間点数
7時間以上90
6時間以上7時間未満80
5時間以上6時間未満65
4時間30分以上5時間未満55
4時間以上4時間30分未満40
3時間以上4時間未満30
2時間以上3時間未満20
2時間未満5

休憩、遅刻・早退・欠勤の時間、賃金が支払われない面談の時間は含めず、年次有給休暇や賃金が支払われる面談の時間は含めます。難病の進行や入院後の復帰など、利用開始時に予見できない事由で短時間になった利用者は、短時間になった日から90日分を限度に計算から除くことができ、その事由を都道府県に届け出ます。

Ⅱ 生産活動

生産活動収支(生産活動の収入から必要経費を引いた額)が、その年度に利用者に払った賃金の総額以上だったかを、前年度・前々年度・前々々年度の3年で見ます。

過去3年の状況点数
3年とも賃金の総額以上60
前年度と前々年度が賃金の総額以上50
前年度のみ賃金の総額以上40
前々年度のみ賃金の総額以上20
前年度と前々年度がいずれも賃金の総額未満−10
3年とも賃金の総額未満−20

ここでいう年度は事業所の会計年度です。前年度の結果が点数を大きく左右するため、改善の効果は翌年度のスコアから表れます。

Ⅲ 多様な働き方・Ⅳ 支援力向上のための取組

どちらも8項目を1点ずつ数え、5点以上で15点、3〜4点で5点、2点以下で0点です。

  • Ⅲ(就業規則等に定めているか。毎年度4月1日時点で評価):資格取得の支援、利用者の職員への登用、在宅勤務、フレックス、短時間勤務、時差出勤、時間単位の年休または年休の計画的付与、傷病休暇
  • Ⅳ(前年度の実績):研修計画にもとづく職員の研修参加、外部の研修・学会等での発表、先進的事業者の視察・実習(受け入れを含む)、販路拡大のための商談会等への参加、人事評価にもとづく昇給の仕組み、障害者ピアサポート研修修了者の配置、第三者評価の受審と公表(過去3年以内)、ISO・JIS・JFS・JAS・GAP・HACCPなどの認証

常時10人未満の事業所には就業規則の作成義務はありませんが、Ⅲの評価のためには就業規則等を作って各事項を定める必要があります。

Ⅴ 地域連携活動・Ⅵ 経営改善計画・Ⅶ 利用者の知識・能力向上

  • Ⅴ:地域の事業所と連携した商品開発や、企業・官公庁での生産活動など、生産活動収入を伴いおおむね3か月以上続く活動について、内容と関係事業者等の意見を書いた報告書(別紙1)を公表すると10点
  • Ⅵ:生産活動収支が賃金の総額を下回り、都道府県等から経営改善計画の提出を求められたのに、期日までに出さないと−50点。出した場合と求められていない場合は0点
  • Ⅶ:ビジネスマナー研修や模擬面接など、一般就労に向けた知識・能力の向上の支援の内容と、利用者・連携先の意見を書いた報告書(別紙2)を公表すると10点

2. 区分ごとの単位数

就労継続支援A型サービス費(Ⅰ)(職員配置7.5:1)の単位数(1日あたり)は次のとおりです。

評価点定員20人以下定員21〜40人
170点以上791710
150点以上170点未満733656
130点以上150点未満701626
105点以上130点未満666594
80点以上105点未満533474
60点以上80点未満419373
60点未満325288

職員配置10:1のサービス費(Ⅱ)は別の表で、単位数は(Ⅰ)より低くなります。定員20人以下の(Ⅰ)では、105点を境に666単位と533単位で133単位の差があり、ここがいちばん大きな段差です。


3. 上げる順番

まず失点を防ぐ

  1. Ⅵの−50点を避ける:経営改善計画を求められたら、必ず期日までに出します。令和7年度以降は、その年度の上半期を目安に都道府県等が期限を設けます
  2. 公表を落とさない:スコアの公表をしないと基本報酬が100分の85になります。4月中の公表を毎年の予定に入れます

次に、1年以内に動かせる点数

  1. ⅤとⅦの報告書(最大20点):活動そのものは必要ですが、すでに地域の企業と組んだ生産活動や就職に向けた研修をしているなら、報告書にまとめて公表することで点数になります
  2. Ⅲの就業規則(最大15点):8項目のうち5つを整えれば15点です。4月1日時点の規定で評価されるので、年度が始まる前に改定と周知を済ませます。労使協定が要る項目(時間単位年休など)もあります
  3. Ⅳの取組(最大15点):前年度の実績で数えるので、今年度の中で研修参加、商談会、視察などを計画的に行い、記録を残します

時間をかけて積み上げる点数

  1. Ⅱ生産活動:前年度の生産活動収支が賃金の総額を上回れば、少なくとも40点になります。受注単価や作業の効率を見直し、会計年度ごとに収支と賃金総額を比べます
  2. Ⅰ労働時間:配点の幅がいちばん大きい項目です。ただし、労働時間は利用者本人の希望と障害の特性にもとづいて決めるもので、点数のために一律に延ばすものではありません。短時間勤務を希望する人を受け入れる事業所では、Ⅲ・Ⅳ・Ⅴ・Ⅶで点数を補う組み立てになります

4. 届出・公表・記録

手続き時期と内容
区分の届出算定区分をスコアの詳細とあわせて、4月中に都道府県へ(根拠資料は求められたときに提出)
公表合計点と詳細を別紙2-1・2-2の様式で、4月中に原則として情報検索サイトで(事業所のホームページでも可能な限り)
根拠資料の常備利用者の始業・終業の記録、3年分の生産活動収支と賃金台帳・就労支援事業の会計書類、就業規則等、研修・発表・視察などの記録、報告書

届出の締切と算定開始の関係は「障害福祉の体制届(加算届)」を参照してください。

新規指定の扱い

  • 初年度(年度の途中の指定なら初年度と2年度目)は、評価点80点以上105点未満の区分とみなす
  • 生産活動は、2年度目は前年度の実績のみで、3年度目は初年度と2年度目の実績で評価する
  • 初年度(年度の途中の指定なら2年度目まで)はスコアを算出できないため、公表は要しない

落とし穴

  • Ⅳの実績を記録していない:研修や商談会に参加しても、日時と内容の記録がないと根拠を示せません
  • 就業規則の改定が4月2日以降になった:その年度のⅢには反映されません
  • 有給休暇を労働時間から外して計算した:平均が低く出ます
  • 会計年度が3月末でないのに、4月〜3月で生産活動収支を集計した:スコアの年度は事業所の会計年度です

項目の解釈や添付書類は、都道府県等によって運用が異なることがあります。届出の前に指定権者に確認してください。


5. まとめ

  • A型の基本報酬は7項目・最大200点のスコアで決まり、配点の大半は労働時間(90点)と生産活動(60点)
  • 定員20人以下の(Ⅰ)では105点を境に133単位の差がある
  • まず経営改善計画の未提出(−50点)と公表漏れ(100分の85)を防ぐ
  • 報告書の公表(Ⅴ・Ⅶ)、就業規則(Ⅲ)、研修などの実績(Ⅳ)は1年以内に動かせる
  • 生産活動と労働時間は、事業と利用者の希望にもとづいて数年かけて積み上げる

事業の収支の考え方は「経営・財務」の記事にまとめています。

参考資料