令和9年度(2027年度)の障害福祉サービス等報酬改定は、令和8年4月28日の報酬改定検討チーム第55回で検討が始まり、8月27日の第62回で「主な論点(案)」が示されました。 9月からは、訪問系、就労系、障害児支援とサービス別の検討に入っています。改定案の取りまとめは令和9年2月頃の想定です。
令和8年度は処遇改善を中心とする臨時の改定(期中改定)でしたが、令和9年度は3年に一度の本来の改定です。令和8年10月1日時点では、改定率も各サービスの単位数も決まっていません。 この記事では、厚生労働省が公表した検討チームの資料にもとづいて、決まっている日程と、示された論点を分けて整理します。令和8年度の改定の中身は「令和8年度の期中改定で何が変わったか」で扱っています。
1. 決まっている日程
検討チームの開催状況(令和8年10月1日時点)
| 回 | 開催日 | 議題 |
|---|---|---|
| 第55回 | 令和8年4月28日 | 令和8年度処遇状況等調査の実施、人員欠如の特例的な取扱い、令和9年度改定に向けた検討の進め方 |
| 第56回〜第61回 | 6月15日〜8月3日 | 関係団体ヒアリング1〜6 |
| 第62回 | 8月27日 | 令和9年度改定に向けた主な論点(案) |
| 第63回 | 9月24日 | 訪問系サービス |
| 第64回 | 9月28日 | 就労系サービス |
| 第65回 | 10月5日(予定) | 障害児支援 |
この先の流れ(スケジュールのイメージ)
第55回の資料と、社会保障審議会障害者部会(第156回、令和8年6月5日)への報告は、次の流れを示しています。
| 時期 | 検討の内容 |
|---|---|
| 6月〜8月 | 関係団体ヒアリング |
| 8月末頃 | ヒアリングの意見のまとめ、主な論点案 |
| 9月〜11月 | 各サービスの報酬等の在り方の検討 |
| 12月 | サービス横断的な報酬等の在り方の検討、報酬・基準に関する基本的な考え方の整理・取りまとめ(政府の予算編成) |
| 令和9年2月 | 報酬改定案の取りまとめ |
| 令和9年3月 | 告示の改正、通知等の発出 |
| 令和9年4月以降 | 改定後の報酬の適用 |
時期は「イメージ」として示されたもので、議論の状況で動く可能性があります。
2. 主な論点(案)の4つの柱
第62回の資料「令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)」は、まず前提として、次の状況を挙げています。
- 利用者は約170万人、国の予算額は約2兆3千億円で、障害者自立支援法の施行時の約4.5倍
- 令和6年度改定(改定率+1.12%)の後、総費用額が+12.1%伸びた(一人あたり+6.0%、利用者数+5.8%)
- 障害者本位ではないサービス提供の事案や、「特段の知識や経験は不要」「利益をあげることができる」として参入を働きかける例が見られる
そのうえで、必要な支援を行っていない事業者ではなく、質の高い支援に資源が使われるよう、メリハリのきいた報酬体系とすることを基本的な考え方に置き、次の4つを論点にしています。
| 柱 | 主な検討事項 |
|---|---|
| 1. 持続可能なサービス提供体制の確保 | 物価の変動への対応、他職種と遜色のない処遇改善、生産性向上の推進 |
| 2. 希望する地域等での生活の支援や多様なニーズへの対応 | 地域移行・地域生活支援拠点等、障害者支援施設の役割、相談支援の質と体制、意思決定支援、強度行動障害・医療的ケアなど重度の児者の受入れ、障害児支援の質の向上と児童発達支援センターの中核機能 |
| 3. サービスの質の確保・向上と制度の持続可能性の確保 | 運営基準・算定要件、管理者等の要件や研修、サービス提供の実態や質に応じた評価、経営状況を踏まえた報酬、就労支援、長期化した経過措置への対応 |
| 4. 地域差や人口減少への対応等 | 令和6年人事院勧告を踏まえた地域区分、国庫負担基準、中山間・人口減少地域のサービスの維持・確保 |
資料は「上記の論点は現時点のものであり、今後議論を進めていく中で変更することがあり得る」としています。
3. 事業所の立場で読むポイント
処遇改善と物価への対応
柱1は、賃上げの状況や経営状況を把握したうえで、物価の変動に適切に対応し、他職種と遜色のない処遇改善を図るとしています。経済財政運営と改革の基本方針2026(令和8年7月21日閣議決定)も、次期の介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定について、同じ方向を示しています。令和8年度に始まった処遇改善加算の上乗せ(Ⅰロ・Ⅱロ)や、誓約で扱った要件がどうなるかは、今後の検討事項です。いまの要件は「令和8年6月からの処遇改善加算の変更点」を参照してください。
質に応じた評価と「メリハリ」
柱3は、事業所数や利用者数が営利法人を中心に大きく増えているサービスがあることを挙げ、制度の趣旨に沿わない加算の算定への更なる対応や、就労継続支援・共同生活援助などのガイドラインを踏まえた対応を検討するとしています。虐待防止措置、情報公表、業務継続計画など、事業者に求められる対応を着実に進めるための検討や、カスタマーハラスメント対策も挙がっています。
減算や算定要件が厳しくなる方向の見直しは、運営の基本が整っているかで影響が分かれます。 個別支援計画、記録、人員配置、情報公表の報告など、いまの基準を満たしているかを先に確かめておくことが備えになります。点検の項目は「運営指導の準備ガイド」で整理しています。
就労支援と障害児支援
就労支援は、就労選択支援の状況や「障害者就労に係る雇用福祉横断検討会」の議論を踏まえて検討するとされ、9月28日の第64回で就労系サービスの検討が行われました。障害児支援は、人材育成・チーム支援、支援体制の評価、医療的ケア児・重症心身障害児への支援、インクルージョンと家族支援が論点に挙がり、第65回(10月5日予定)で検討されます。
地域区分
国家公務員の地域手当の見直し(令和6年人事院勧告)を踏まえ、市町村の意向を確かめながら地域区分を検討するとしています。地域区分が変わると、同じ単位数でも1単位の単価が変わります。 所在地の区分がどうなるかは、改定案で確かめます。
4. いま事業所がやっておくこと
- 収入の内訳を出す:基本報酬と主な加算・減算が、月の収入のどれだけを占めるかを出しておきます。改定案が出たときに、影響を素早く試算できます。
- 加算の根拠書類を点検する:算定している加算ごとに、要件と記録がそろっているかを確かめます。算定要件の厳格化は、記録が弱い加算から影響を受けます。
- 処遇改善加算の誓約を片付ける:令和8年度に誓約した要件は、令和9年3月末が期限です。改定と同じ時期に重なるので、早めに整えます。手順は「障害福祉のキャリアパス要件」を参照してください。
- 国の調査に答える:処遇状況等調査などの依頼が届いたら、正確に回答します。調査の結果は改定の材料になります。
- 資料を追う:検討チームの資料は厚生労働省のページに掲載されます。自事業所のサービスの回の資料は、目を通しておきます。
チェックリスト
- 基本報酬と主な加算・減算の、月の収入に占める割合を出した
- 算定している加算の要件と記録を点検した
- 令和8年度に誓約した処遇改善加算の要件の整備の予定を立てた
- 自事業所のサービスを扱う検討チームの回の資料を確かめた
5. まとめ
- 令和9年度改定は、令和8年4月に検討が始まり、8月に主な論点(案)、9月からサービス別の検討に入った
- 改定案の取りまとめは令和9年2月頃、告示・通知は3月頃の想定
- 論点は、処遇改善と物価、地域生活と多様なニーズ、質の確保と持続可能性、地域差と人口減少の4つ
- 質の高い支援に資源を向ける「メリハリ」が基本の考え方。運営の基本を整えておくことが備えになる
この記事は令和8年10月1日時点の公表資料にもとづいています。改定率や単位数は決まり次第、厚生労働省・こども家庭庁の告示と通知で確かめてください。
参考資料
- 厚生労働省「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」(開催一覧): https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai_446935_00001.html
- 厚生労働省 第55回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(令和8年4月28日)資料: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72919.html
- 厚生労働省 第62回障害福祉報酬改定検討チーム(令和8年8月27日)資料2「令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001742921.pdf
- 厚生労働省 社会保障審議会障害者部会 第156回(令和8年6月5日)資料1「令和9年度障害福祉サービス等報酬改定について(報告)」: https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001702861.pdf
- 厚生労働省 第64回障害福祉報酬改定検討チーム(令和8年9月28日)資料: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76389.html

