放課後等デイサービスと児童発達支援の人員基準で数える「児童指導員」は、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第43条に定める10の要件のどれかに当たる人です。 資格の名前ではなく、学歴・免許・実務経験の組み合わせで決まるため「任用資格」と呼ばれます。
人員基準は「児童指導員又は保育士」の合計で、障害児10人までは2人以上(うち1人以上は常勤)です。要件に当たらない人を児童指導員として数えていると、人員欠如として減算や報酬の返還につながるので、採用のときに証明書類で確かめておくことが欠かせません。この記事では、第43条の要件ごとに、確かめ方と証明書類を整理します。
1. 人員基準での位置づけ
「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号)は、放課後等デイサービス(第66条)と児童発達支援(第5条、センターを除く)に、次の従業者を置くとしています。
| 職種 | 員数 |
|---|---|
| 児童指導員または保育士 | 障害児10人まで2人以上。10人を超えると、5人またはその端数を増すごとに1人を加える。うち1人以上は常勤 |
| 児童発達支援管理責任者 | 1人以上(うち1人以上は専任かつ常勤) |
| 機能訓練担当職員・看護職員 | 機能訓練や医療的ケアを行う場合に置く(一定の条件で上の合計数に含められる。その場合も半数以上は児童指導員または保育士) |
かつては「障害福祉サービス経験者」も配置に数えられましたが、令和3年度の改定で人員基準から外れました。いまは、児童指導員の任用資格か保育士資格のどちらかがないと、この合計数に数えられません。
基準の人員に上乗せして児童指導員等を置いた場合の加算は「児童指導員等加配加算」で扱っています。
2. 第43条の10の要件と証明書類
| 号 | 要件 | 主な証明書類(例) |
|---|---|---|
| 1 | 都道府県知事の指定する、児童福祉施設の職員を養成する学校その他の養成施設を卒業 | 卒業証明書 |
| 2 | 社会福祉士 | 登録証の写し |
| 3 | 精神保健福祉士 | 登録証の写し |
| 3の2 | こども家庭ソーシャルワーカー | 資格を証する書類の写し |
| 4 | 大学(短期大学を除く)で社会福祉学・心理学・教育学・社会学を専修する学科またはこれに相当する課程を修めて卒業 | 卒業証明書、成績証明書 |
| 5 | 大学で上の4分野の科目の単位を優秀な成績で修得し、大学院への入学を認められた(いわゆる飛び入学) | 成績・単位修得証明書 |
| 6 | 大学院で上の4分野を専攻する研究科またはこれに相当する課程を修めて修了 | 修了証明書、成績証明書 |
| 7 | 外国の大学で上の4分野を専修する学科またはこれに相当する課程を修めて卒業 | 卒業証明書、成績証明書 |
| 8 | 高等学校等を卒業した人などで、2年以上児童福祉事業に従事 | 卒業証明書、実務経験証明書 |
| 9 | 幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校の教諭の免許状を持ち、都道府県知事が適当と認めた | 教員免許状の写し |
| 10 | 3年以上児童福祉事業に従事し、都道府県知事が適当と認めた | 実務経験証明書(自治体によっては研修の受講証明なども) |
証明書類は、山口県の「児童指導員の資格要件」などの自治体の資料を参考にした例です。求める書類は指定権者ごとに違うので、所在地の都道府県・市の指定申請の手引きで確かめます。例えば山口県は、第10号について、実務経験証明書に加えて研修受講証明書を求めています。
3. 迷いやすい要件の確かめ方
大学の専攻(第4号)
- 短期大学・専門学校は第4号に当たりません。 保育や福祉の専門学校なら、第1号の「指定された養成施設」に当たるかを確かめます
- 学科名に4分野の名前がなくても、「これらに相当する課程」として認められることがあります。成績証明書で、4分野の科目をどれだけ修めたかを見るのが一般的です。判断は指定権者が行うので、迷う場合は事前に相談します
教員免許(第9号)
免許状を持っていることに加えて、「都道府県知事が適当と認めたもの」という条件があります。どの免許状なら認めるかなどの運用を、自治体が定めていることがあるので、指定権者の案内で確かめます。養護教諭や特別支援学校の免許状は第9号の列挙に入っていないため、ほかの号に当たるかを確かめます。
実務経験(第8号・第10号)
実務経験に数える「児童福祉事業」について、大阪市などの自治体は、社会福祉法第2条に定める事業のうち児童福祉法に規定するものと案内しています。
| 区分 | 主な事業 |
|---|---|
| 第一種社会福祉事業 | 乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設 |
| 第二種社会福祉事業 | 障害児通所支援事業(児童発達支援・放課後等デイサービスなど)、障害児相談支援事業、放課後児童健全育成事業、一時預かり事業、小規模保育事業、病児保育事業、保育所、児童厚生施設 など |
確かめるときの注意:
- 学習塾、スポーツ教室、ベビーシッターなど、この範囲に入らない仕事の経験は数えられません
- 事務職や送迎の運転手など、児童の支援に直接従事していない期間は、自治体の運用で数えられないことがあります
- 年数の数え方(在籍の期間か、従事した日数か)は指定権者の様式に従います。実務経験証明書には、業務の内容と従事の期間を具体的に書いてもらいます
- 前の勤め先が閉鎖していて証明書をもらえない場合の扱いは、指定権者に相談します
4. 採用のときの確かめ方
- 応募の段階で、どの号に当たるかを本人に書いてもらう:履歴書に加えて、第43条のどの号で児童指導員になるのかを記入してもらいます。
- 証明書類を取り寄せてもらう:卒業証明書、成績証明書、実務経験証明書は、発行に時間がかかることがあります。内定の前後で依頼しておきます。
- 指定権者に確かめる:専攻や免許、実務経験の判断に迷う場合は、配置に数える前に確かめます。
- 配置に数える日を決める:証明書類がそろい、要件を満たすことを確かめた日から、人員基準に数えます。
- 写しを保管する:証明書類の写しを職員ごとにまとめ、運営指導で提示できるようにします。
落とし穴
- 「福祉系の大学卒」と聞いて、短期大学だったことに後で気づく
- 実務経験3年と聞いて採用したが、放課後児童クラブの補助的な業務の期間が数えられなかった
- 証明書類がそろう前から配置に数え、要件を満たさない期間ができる
- 保育士登録証(保育士証)を確かめず、養成校の卒業だけで保育士として数えている
チェックリスト
- 児童指導員として数える職員ごとに、第43条のどの号に当たるかを記録した
- 卒業証明書・成績証明書・実務経験証明書・登録証などの写しを保管している
- 実務経験は、児童福祉事業の範囲と従事の内容・日数を証明書で確かめた
- 判断に迷う人は、配置に数える前に指定権者に確かめた
- 保育士は登録証で確かめた
5. まとめ
- 児童指導員は、第43条の10の要件のどれかに当たる人。資格の名前ではなく任用の要件
- 放デイ・児発の人員基準は「児童指導員又は保育士」の合計で数える。障害福祉サービス経験者はいまは数えない
- 大学は短期大学を除き、4分野の専修が要る。教員免許と3年以上の実務経験は「知事が適当と認めた」ことが条件
- 求める証明書類と実務経験の数え方は指定権者で違う。配置に数える前に確かめる
児童発達支援管理責任者の要件や採用は「児発管の採用」、放デイの加算の全体は「放課後等デイサービスの加算一覧」を参照してください。
参考資料
- 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)第43条(e-Gov 法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100063
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)第5条・第66条(e-Gov 法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/424M60000100015
- 大阪市「児童指導員について」: https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/cmsfiles/contents/0000601/601754/jidousidouin.pdf
- 山口県「児童指導員の資格要件」: https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/188258.pdf
- 厚生労働省「令和3年度障害福祉サービス等報酬改定について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202214_00007.html


