就労継続支援B型の利用者は、事業所の広告を見て直接来るよりも、相談支援専門員、特別支援学校、医療機関、就労選択支援の事業所などを経て事業所を選ぶことが多いサービスです。 利用には市町村の支給決定と、原則としてアセスメントが要るため、その流れの中で事業所を知ってもらう必要があります。

一方で、障害福祉サービスでは、金品を使って利用者を集めることが基準で禁じられています。この記事では、利用までの手続き、令和7年10月から始まった就労選択支援との関係、経路ごとの関係のつくり方、禁じられている集め方を、国の通知にもとづいて整理します。


1. B型を利用するまでの流れ

段階内容事業所の関わり
相談本人・家族が市町村や相談支援事業所に相談する見学・体験の受け入れ
アセスメント原則として就労選択支援(令和7年10月から)で、就労面の課題等を把握するアセスメントの結果の引継ぎ
サービス等利用計画案相談支援専門員が作り、市町村に出す事業所の情報を相談支援専門員が知っているか
支給決定市町村が決め、受給者証を交付する―
契約・利用開始事業所と契約し、個別支援計画を作る重要事項の説明、受給者証への記載

就労選択支援とアセスメント

国の通知(障障発0331第2号、令和7年3月31日)は、B型の対象者の要件に当たらない障害者について、令和7年10月からは就労選択支援事業者によるアセスメントで就労面の課題等を把握したうえでB型を利用するとしています。近隣に就労選択支援事業所がない場合や、待機が生じる場合は、就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経た利用も認められます。

同じ通知は、B型の利用を前提とした形式的なアセスメントや、アセスメントの結果が利用する事業所に引き継がれていない事例があることを指摘しています。受け入れる側としても、アセスメントの結果を受け取り、個別支援計画に反映させることが求められます。個別支援計画は「就労継続支援B型の個別支援計画」で整理しています。


2. 経路ごとの関係のつくり方

経路相手が知りたいこと事業所が用意するもの
相談支援事業所作業の内容、受け入れられる障害の状態、送迎の範囲、空き状況1枚の案内、空き状況の定期的な連絡
特別支援学校実習の受け入れ、卒業後の通所の見通し実習の受け入れ枠、進路説明会での説明
医療機関(精神科・デイケアなど)通所の頻度・時間の柔軟さ、体調不良時の対応短時間からの利用の例、医療との連携の方法
就労選択支援・就労移行支援の事業所アセスメントの結果を引き継げるか、一般就労への移行を支援するか引継ぎの方法、移行の実績
市町村の障害福祉担当課・基幹相談支援センター事業所の特色、空き状況開業時・年度初めの案内
本人・家族(ホームページ・Google マップ)作業の様子、工賃、1日の流れ、見学の方法写真、工賃の実績、見学の申込み

相談支援事業所

利用者の多くは、相談支援専門員が作るサービス等利用計画を経て事業所を選びます。相談支援専門員が比べやすい情報を渡すのが基本です。訪問の方法は「相談支援事業所への営業のコツ」で整理しています。

特別支援学校

国の通知は、アセスメントを特別支援学校内など本人が通いやすい場所で実施できるとしています。在学中の実習の受け入れは、生徒と保護者に事業所を知ってもらう機会になります。学校との関係のつくり方は「学校との連携」も参考になります。

工賃と作業の内容を見せる

B型を選ぶ本人・家族にとって、どんな作業をして、工賃がいくらかは大きな判断材料です。平均工賃月額は報酬の区分にも関わります(「就労継続支援B型の報酬区分」)。作業の写真、1日の流れ、工賃の実績をホームページや案内に載せます。Google マップの整え方は「MEO 対策」を参照してください。


3. やってはいけない集め方

指定障害福祉サービス基準 第38条(B型は第202条で準用)は、相談支援事業者やほかの事業者などに対し、利用者やその家族に事業所を紹介することの対償として金品その他の財産上の利益を供与することと、その反対に受け取ることを禁じています。解釈通知は、さらに次のような行為を違反の例に挙げています(就労移行支援の項。B型もこの項を参照する形で準用)。

  • 利用希望者を紹介した人(障害福祉サービス事業者以外の事業者を含む)に、その対償として金品等を渡す
  • 友人を紹介した利用者と、紹介された友人に金品を渡す
  • 利用開始(一定期間の利用の後を含む)に伴い、利用者に祝い金を渡す
  • 一般就労した利用者に祝い金を渡す
  • 利用者の就職先の事業所に金品を渡す

利益の供与に当たるかは、契約書上の名目にかかわらず、実質的に紹介の対価かどうかで判断されます。ホームページ等への掲載料は情報の掲載に対する対価として違反しないと考えられる一方、個々の利用者の紹介の対価として払っていると判断される場合は違反になるとされています。

違反は運営基準違反として指導の対象になり、指定の取消しなどにつながるおそれがあります。

落とし穴

  • 開業時のキャンペーンとして、利用開始の人に商品券を配る
  • 利用者に「友達を連れてきたら特典」と案内する
  • 利用者を連れてきてくれた人に、1人あたりの謝礼を払う
  • アセスメントの結果を受け取らず、形式的な確認だけで受け入れる
  • 空き状況を知らせず、相談支援専門員が満員だと思い込んでいる

チェックリスト

  • 作業の内容、工賃の実績、1日の流れ、送迎の範囲を1枚にまとめた
  • 地域の相談支援事業所に、空き状況を定期的に伝えている
  • 特別支援学校の実習や見学を受け入れる枠を決めている
  • アセスメントの結果を受け取り、個別支援計画に反映させる手順がある
  • 利用者や紹介者に金品を渡す企画をしていない

4. まとめ

  • B型の利用者は、相談支援専門員、学校、医療機関、就労選択支援などを経て事業所を選ぶ
  • 令和7年10月から、新たな利用は原則として就労選択支援のアセスメントを経る
  • 比べやすい情報(作業・工賃・送迎・空き状況)を、経路ごとに渡す
  • 紹介の対価の金品、利用開始の祝い金、友人紹介の特典は基準で禁じられている

稼働率と収支の全体は「障害福祉の集客方法」で整理しています。支給決定やアセスメントの運用は市町村によって違うため、所在地の市町村の案内で確かめてください。

参考資料

  • 厚生労働省「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」の一部改正について(令和7年3月31日障障発0331第2号): https://www.mhlw.go.jp/content/001473458.pdf
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第38条・第202条(e-Gov 法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100171
  • 厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成18年12月6日障発第1206001号)令和7年3月31日一部改正 新旧対照表: https://www.mhlw.go.jp/content/001494357.pdf